隠し事
部活を終えて、いつものように私達は家路を共にする。
しかし、大もコウも口数が少ない。
まあ、全く会話がなかった昨日よりはマシか…
「…ねぇ、コウ?原田やつどうだった?見込みある?」
ふとコウに訊いた。
あいつはなかなか見込みがあるかもしれないと思っているからこその質問だ。
「…まあ、現段階ではなんとも言えないが、身体能力はかなりのものがあるかもな」
コウが淡々と話す。
「やっぱり?あいつに2発食らわせた時、どちらも完全に入らなかったんだよねぇ。おそらく、咄嗟に反応して避けんだと思う。結構、あいつは剣道部の戦力になるかもよ?」
私がコウに言うと、大が不服そうな表情を浮かべているのが目に入る。
「…何よ?何か言いたそうな顔してるけど?」
大に顔を近づけて訊いた。
「…別に。ただ、やたらとあいつを買っているんだなって思っただけ…」
大が顔を背けながら言った。
…何それ?
私は大の態度に苛立ちを覚えた。
「…何なのよ?大体、部活の時から態度が変じゃない?昨日だって、帰り道は無言だし…何かあったの?」
「…何もない。なあ、コウ?」
大が相変わらず無愛想な表情でコウに訊く。
「…ああ、そうだな」
…いやいや、絶対何かあるだろ!?
私は二人を睨め付けるように歩く。
大もコウも私から目を逸らしていた。
…もういい!
頬を膨らませて、一人つかつかと先を歩き始める。
「ちえっ」
すると、コウが小走りで私に追いつく。
だけど、私はペースを落とさない。
「何よ何よ…!私に隠し事?私達の仲はそんなもんだったの?」
コウは私のペースに合わせて歩き、横に並んだ。
「…そんなんじゃない。俺や大だってそりゃ色々あるし、全てをちえに話す訳ないだろう?ちえは俺達に隠し事は一切ないのか?」
コウに言われて、すぐに原田の告白が頭に浮かんだ。
「…ない訳じゃないけど…でも、別に隠してる訳じゃないし」
しどろもどろに答える。
「ほら?ちえだって俺達に話したくないことの一つや二つあるだろう?俺たちはもう高校生だ。今までのように仲良し三人組とはいかないんじゃないか?」
私はピタリと歩みを止める。
コウも私の横で立ち止まった。
…そんなことは分かってる。
「…なんか寂しいね」
分かっていたけど、受け入れられないんだ。
「そんな顔するな。それでも俺たちの絆は変わらない」
コウが優しく私の頭をポンっと叩く。
私は想像しないようにしていたんだ。
いつか来るであろうそれぞれの道を…
「…うん、ありがとう」
コウに慰められながら、残りの家路を辿った。
大とは一切、話さないまま…




