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とらいあぐる  作者: おきゆむ
高校一年 夏
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105/107

なるほどなぁ

関東大会本戦。


我が新撰高校男子は一回戦を5対0で難なく勝ち上がった。


…が、二回戦の相手はあの海援高校だった。


先鋒を務めたコウは勝ったものの、次鋒、中堅と連続で負けた。


副将はあの坂本だ。


あっさり一本を取られ、後がなくなる。


山崎先輩とずっとやっきてきた三年生が必死になって喰らいつく。


その執念からかあの坂本から一本を取ってみせた。


が坂本に一本を取られて負けてしまう。


海援高校の勝ちは決まったが、大将戦がまだ残っている。


相手は二年生で主将の沢村だ。


そして、新撰高校は山崎先輩が務める。


互いに譲らない戦いが続き、山崎先輩が先に一本取るも、次に一本取られてしまう。


そして、三本目は山崎先輩が決めた。


試合は海援高校に負けたが、山崎先輩の試合でなんだか勝ったくらい私は喜んでしまったのだ。


「まあ、負けは負けだろ?最後勝ったからといって勝敗は変わらないんだからよ」


と月曜日の放課後、部活で会った原田に関東大会の話をしたら、原田がそんなことを言う。


ムカッときて体操服姿の原田のスネを思いっきり蹴った。


原田が堪らずしゃがんでスネを押さえる。


「い、いってぇーな!何すんだよ!」


「試合に行けなかったからせっかく教えてあげたのに、何その言い方?山崎先輩の大将戦は本当に凄かったんだから!あの沢村に剣道をさせず、最後は見事な面ありの一本!アンタも見てたらきっと興奮したはずよ」


と原田を見下ろす。


「…沖田って根っからの剣道好きなんだな?」


原田が私を見上げて言った。


「当たり前でしょ?剣道が好きなんだから」


と答える。


「まっ、そんな剣道好きな沖田が俺は好きなんだけどな」


原田がスッと立ち上がり、今度は原田が私を見下ろした。


「なっ…何言ってるのよ?部活よ!今は練習!こんなところで変なこと言わないで!」


と慌てて周囲を見ると、私の方を見ていた相馬先輩が私に気づいて目を逸らす。


…もう、原田の馬鹿。


「ん?ところで谷くんは?」


原田は今日から練習に復帰する。


だから、てっきり谷くんも復帰するのかと思っていたからだ。


「いや、谷はまだ無理だってさ。俺はまあ怪我に慣れてっから治りは早いけどな。って近藤も練習休んでんだろ?」


「うん、二週間は安静にって医者に言われたから、今週いっぱいは部活に来ないって。部活に来ると練習したくなるから、完全に治るまで我慢するみたい」


私の話に原田が頷いた。


「だから斎藤もいないのか。なるほどなぁ」


「…何がなるほどなのよ?」


と目を細くする?


「だって、あの二人最近めちゃくちゃ良い感じじゃねーか?たまに見かけるけど、なんかいつも一緒にいる感じがするんだよな。なあ、沖田?やっぱりアイツら付き合ってるのか?」


原田がそう言って、私に顔を近づけた。


その瞬間、原田の頭にチョップが落ちる。


原田が頭を押さえながらしゃがんだ。


すると、原田の後ろにコウの姿があった。


「馬鹿野郎。大が休んでいる時でも斎藤さんはちゃんとマネージャーとして部活に来ている。ただ、今日は大の病院の日だから、ちゃんと逃げないように斎藤さんに付き添いを頼んでいるんだ」


コウの説明に私もこくこくと頷く。


「仮に二人が付き合っていようが、お前がいちいち気にすることじゃない。お前が気にしないといけないのは、その訛った身体で俺のしごきに耐えられるかどうかだ。来い、原田!」


と袴姿のコウに原田が連れて行かれる。


「相変わらずだな原田は…」


その光景を見て、思わず笑う。


「嫉妬かな?」


急に隣に現れた相馬先輩にびっくりして、後退りした。


「…び、びっくりさせないでください」


と心臓を押さえる。


「ごめんごめん、気になってね。原田くんのさっきの台詞を土方くんが聞いていたんじゃないかな?それで、苛立っているんだと私は思うな」


相馬先輩がどこかドヤ顔で私に言った。


「ああ、負けは負けだと、山崎先輩の大将戦の頑張りを馬鹿にしたことですね?」


と相馬先輩の顔を見て頷く。


「んっ…?」


相馬先輩が目を見開いた。


「えっ…?」


と首を傾げる。


「…当人がこれじゃあ、二人があまりにも(あわ)れね」


相馬先輩がそう言って、練習に戻っていく。


私は再度、首を傾げて練習の準備に取り掛かった。

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