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第6話 義妹から届いた展示会招待状
王都から届いた封筒には、香水を染み込ませた薄桃色の香りがついていた。
差出人はイリス。文面は笑うほど丁寧だった。
『北辺でお元気かしら。来週、わたくしの婚礼展示会がございますの。姉さまも一度くらい華やかな壁をご覧になれば、未練が薄れるかもしれませんわ』
最後に、金箔押しの追伸が添えられていた。
『母上の古い絵も、わたくしの方で美しく飾って差し上げます』
私は便箋を握りしめた。飾る、ではない。盗んだうえで、上から別の名前を貼りつけるつもりなのだ。
封蝋の裏へ指を触れると、掠れた下書きが浮かび上がる。
婚礼展示会主題。
本物の令嬢の系譜。
「本物の令嬢……」
「わざわざ主題にするあたり、血筋を見せびらかしたいのだろう」
ルーファスが手紙を返しながら言う。
「見せたいものほど、裏面を見られたくない」
その日の午後、私は収蔵庫の若い修復士たちへ事情を話した。王都への反感もあるのだろう、皆すぐに協力を申し出てくれる。
「姉上の絵を取り戻す展示会にしましょう」
修復士のユーディトが拳を握った。
私はようやく頷いた。招待状は屈辱ではなく、相手が自分から居場所を教えた札だ。なら使わない手はない。




