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第18話 剥がれた絵具の証言会
王宮監査会議室で行われた証言会は、まるで絵の裏面だけを並べた展示のようだった。
母の手紙。素描帳。下塗り布。空箱の控え。割れた額縁。剥がしたニス片。私は一つずつ机に並べ、どこから何が見えたのかを静かに説明する。
「表面は塗り替えられても、裏書と木釘の位置までは完全に偽装できません」
私は母の婚礼肖像の裏板を示した。
「この絵はクララ・ヴァインベルクの持参絵画であり、正当な継承先は長女である私です」
さらに修道院の記録が続く。イリスの母はヴァインベルク家へ後から再婚で入っただけで、母クララの血筋を引いてはいない。イリスが悪いわけではない。ただ、その事実を隠すために私の絵と名前を奪ったことが問題なのだ。
フォルカーの証言で花嫁肖像の描き替えが確定し、レオンハルトの承認印が最後の蓋を閉めた。
「どうして、わたくしばかり責められるの」
イリスは涙声で言った。
「姉さまは最初からちゃんとした顔も、ちゃんとした絵も持っていたのに」
私は静かに首を振る。
「持っていたのではなく、母が残してくれたものを守ろうとしていただけよ」
剥がれた絵具は、誰の顔より雄弁だった。もう誰も、正面だけを見て済ませることはできない。




