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第17話 王宮画廊局の監査

展示会はその場で打ち切られ、王宮画廊局全体の監査へ移行した。


 ヘルミーネの指揮のもと、私は回送台帳、額装控え、寄進票、婚礼展示申請書を順に照合していく。ルーファスは北辺側へ送られた荷の記録を持ち込み、数字の食い違いを一つずつ塞いでいった。


「三一八番だけじゃない」


 私は積み上がる台帳の中から別の欠番を示す。


「母の肖像を起点に、似た手口で七件。家紋つきの絵だけが意図的に抜かれている」


「売れるからだ」


 ルーファスが淡々と言う。


「血筋を飾りたい家も、正統性を買いたい役人もいる」


 バルテルは最後まで白を切ったが、裏書読解で浮かんだ押印時刻と、倉庫番の証言が一致した時点で崩れた。


「全部、展示のためだった! 王宮は見栄えが要るんだ!」


「だから誰の母の絵でもいいと?」


 私が問うと、彼は黙った。


 イリスもまた、自分の肖像に母の百合紋を使わせたことを否定できなくなっていた。彼女は最後まで『姉さまの方が何もかも持っていてずるかった』と繰り返したけれど、その言葉こそが、盗んだ理由の全部だった。


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