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第16話 義妹の花嫁肖像

王都婚礼展示会当日。私はヘルミーネとルーファスに伴われ、正面入口から会場へ入った。


 中央の壁には大判の花嫁肖像。イリスが誇らしげに人々へ手を振り、その下でバルテルが『本物の令嬢の系譜を示す名画』と口上を述べている。


「姉さま、まだ絵に未練がおあり?」


 イリスは白い手袋で口元を隠し、笑った。


「今からでも遅くないわ。北辺へ持って行った古い絵のことを黙ってくれるなら、わたくしの侍女席くらいは」


「要りません」


 私は肖像の前へ進み出る。


「その絵の裏面を見せてください」


 ざわめきが走る。バルテルが拒もうとした瞬間、ヘルミーネが監査命令書を掲げた。修復士がキャンバスを慎重に外す。背面に塗り重ねられた黒を、私が指先でなぞる。


 白い文字が浮かぶ。


 原画題、エルマ・ヴァインベルク婚約肖像。


 場内が静まり返る。さらに縁の一角を剥がすと、下から私の百合ブローチの輪郭が現れた。


「これはわたくしの婚礼肖像でした」


 私が告げると、イリスの顔色が初めて変わった。


「そんなの、ただの言いがかりよ!」


「では、次にこちらをご覧ください」


 私は母の素描帳とフォルカーの残した下塗り布を差し出した。もう言い逃れできる余白は、どこにも残っていなかった。


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