表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
12/20

第12話 公開展示日のざわめき

北辺収蔵庫での公開展示日。雪国の町から集まった人々が、修復途中の絵まで熱心に見上げていた。


 私はあえて母の下絵帳や裏書の写しも並べた。正面の美しさだけではなく、絵がどこから来て、誰の手で守られてきたかを見てもらうためだ。


「この百合紋、王都で見た婚礼案内の紋と違う」


 客の一人が呟く。ざわめきが広がったその時、展示台の脚元で鋭い音がした。何者かが小刀で修復中の額布を裂こうとしていたのだ。


 だが一歩早く、ルーファスが犯人の手首を掴んでいた。


「ここは市場ではない。証拠を切り売りする場でもない」


 捕まったのは王都から来た下働きで、懐にはバルテルの署名入り通行証が入っていた。ヘルミーネがそれを押収し、淡々と告げる。


「局の監査に切り替えます」


 私は割かれかけた布を見つめた。正面の絵だけを見せたい側は、裏面の話が出ることに焦っている。その事実自体が、新しい証拠だった。


 展示を終えたあと、ルーファスが裂け目の入った布を私へ渡す。


「怖かったか」


「少しだけ」


「なら次は、私のそばで説明しろ」


 それは命令のようでいて、妙に温かかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ