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05 忠臣・則友と安方の亡霊

挿絵(By みてみん)


 数日後、修行者の姿をした一人の男が安方の家を訪ねる。

 この男は、鷺沼太郎則友といい、安方の妻である錦木の兄だった。

 彼の父親は、将門の乱で亡くなった。

 その父親たちを弔うため、則友は、修行者となり全国を行脚していた。

 その途中、旧知である安方の亡霊に出会う。

 安方の亡霊は、自分が亡くなったことを、外浜に住む自分の妻子に伝えて欲しいと言う。

 また、反乱を目論む良門たちを諌めて欲しいと言う。

 そして、自分の着物の袖を破って何か書くと、則友に手渡した。

 この約束を果たすため、則友は外浜を訪ねて来たのだった。


 するとそこには、妹の錦木がいた。

 則友は、安方が亡くなったことを錦木に伝えた。

 それを聞いた錦木は嘆き悲しむ。 

 そして則友に言う。

 「長旅で疲れたでしょうから、とにかく今日は休んで下さい」

 そう言われて、自分がとても疲れていることに気づき、すぐに床につく則友。

 朝、目を覚すと、そこに錦木はいない。

 そこへ千代童が現れる。

 老熊の家で、彼は、気絶していたところを村人に助けられた。

 そして、今は元気になっていた。

 千代童は、錦木が老熊に殺されたことを則友に伝える。

 そこで則友は、昨晩会ったのは錦木の亡霊だったと気づく。

 則友と千代童の二人は、錦木の仇打ちのため、老熊を探す旅に出ることにした。


 その時、安方が則友に手渡した着物の袖が、二羽の黒い鳥になって飛び立つ。

 「うとううとう」

 「やすかたやすかた」

 二羽の鳥は、そう鳴いているように聞こえた。

 その着物の袖には、次のような歌が記されていた。


 陸奥(みちのく)の 外が浜なるよぶこ鳥 なくなる声は 善知安方(うとうやすかた)

 

ここまでお読み頂き、ありがとうございました。

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