↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/14

03 乱世を呼ぶ蝦蟇の妖術

挿絵(By みてみん)


 平太郎は、その後も、

 猿や鹿を相手に剣を学び、

 鳥を射て弓を学び、

 放し飼いされた馬を乗り回して馬術を学ぶなど、

 出家する気配は全くなかった。


 そしてある日、猿や鹿を追って筑波山の奥に足を踏み入れた。

 そこで、虹のように輝く白い煙を吐き出している不思議な洞窟を見つける。

 驚いて中を覗く平太郎。

 そこには、大きな目を光らせながら白い煙を吐く巨大な蝦蟇がいた。

 平太郎は、その蝦蟇に向かって弓を弾こうとする。

 すると、蝦蟇の姿は煙に覆われた。

 煙が消えた後には、仙人のような姿をした白髪の老人が立っていた。

 その仙人は言う。


 自分は、天竺蝦蟇仙人から妖術を習った三千歳になる蝦蟇の肉芝仙だ。

 そして、ずっと平太郎のことを探していた。

 なぜなら、平太郎が将門の息子だからだ。

 さらに一つの髑髏を取り出して言う。

 これは将門の髑髏だ。

 追討軍が将門の首を都に届ける途中、自分が妖術で奪い取ったのだ。

 お前が本当の将門の息子かどうか調べたい。

 この髑髏の上にお前の血を注げ。


 こう言われた平太郎は、自分が将門の息子であるらしいことを初めて知る。

 そして、その髑髏を受け取ると、自分の指を切って出た血を髑髏に注いだ。

 すると、血を浴びた髑髏の額から炎が燃え上がった。

 これを見た肉芝仙は言う。


 これでお前が将門の息子であることが確かめられた。

 これから、お前に妖術を授ける。

 お前はその妖術を使い、父将門の果たせなかった「夢」を果たせ。

 その「夢」とはもちろん、朝廷を打倒し、この国の新しい王となることだ。

 自分は戦乱の世を好むでの、妖力を使ってお前を助ける。


 平太郎は、肉芝仙の妖術に魅入られたようになり、髑髏を持って家に戻った。

 そして、如月尼に向かって、自分は将門の息子なのかと問いただした。

 如月尼は、仕方なくそれを認める。

 そして平太郎に向かって言う。


 だからこそ、おかしな気を起こさずに、父の菩提を弔うため出家しろ。

 

 しかし平太郎は、そんな言葉にはまったく耳を傾けない。

 それどころか、父の髑髏を片手に、蝦蟇に習った呪文を唱え始めた。

 すると、今まで穏やかだった如月尼の顔が急に夜叉のように変わった。

 そして、別人のような声で言う。


 父の菩提を弔うために出家した自分こそが間違っていた。

 自分がやるべきことは、父の恨みを晴らすことだ。

 そして朝廷を倒し、平太郎を新しい皇帝とし、父が望んだ新しい国を作るのだ。


 そう、これもまた蝦蟇の仕組んだ妖術の現れだった。


 そこへ突然、平太郎を探して旅に出た安方が飛び込んで来る。

 話を聞いていた安方は、持っていた太政官の印を見せ、平太郎と如月尼を思いとどまらせようとする。

 しかし今の二人は、そんな話を聞く気はない。


 平太郎は、安方に斬りかかり、太政官印を奪う。

 斬られた安方は、自ら腹を切って平太郎たちを諌めようとする。 

 それを見た如月尼は、怒り狂い、平太郎に安方の首を刎ねろと言う。

 平太郎は、即座に安方の首を刎ねる。

 こうして太政官印を手に入れた平太郎は言う。


 自分は、今から父の名を取って「良門」と名乗る。

 そして、これを持って全国を周り、自分の味方の兵力となる者たちを探す。

 自分が味方を連れて戻るって来るまで、姉上はここで待っていてくれ。


 それを聞いた如月尼は、喜んで平太郎を見送った。


ここまでお読み頂き、ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。