02 将門の忠臣たち
同じ頃、陸奥国の外浜(今の青森県)に善知安方という男が住んでいた。
彼の父親は、六郎公連という将門の元家臣だった。
六郎公連は、朝廷に対して反乱を起こそうとしている将門を諌めようとした。
しかし聞き入れられず、彼は自害して果てた。
この時、息子の安方は追放され、妻の錦木と共に落ち延び、外浜で暮らすようになったのだ。
そして二人は、夏は海で漁をし、冬は山で狩りをして、なんとか生計を立てた。
その後、安方は、将門の乱のことを耳にした。
すると、今は追放された身とはいえ、親類の安否が気になった。
そして、はるばる常陸国まで出かけた。
そこで、かつての仲間の武蔵五郎が朝廷の追討軍に囲まれて戦っているところに出くわす。
武蔵五郎は、敵を蹴散らしながらも、自らも敵の矢で射られ、瀕死の重傷を負う。
安方が慌てて駆け寄る。
すると武蔵五郎は、安方の顔を見て、驚くべきものを彼に手渡す。
それはなんと、当時の最高官庁である太政官が公文書に押した公印、太政官印だった。
なぜそんなものがここにあるのか?
武蔵五郎はこう説明した。
同じ頃、瀬戸内海で朝廷に対して反乱を起こした藤原純友という者がいた。
彼の腹心である海賊の伊賀寿太郎が、この印を朝廷から奪い取った。
そして彼は、純友に命じられて、この印を将門に渡した。
その後、将門は、陣中にいた武蔵五郎にこの印を渡したのだった。
そして武蔵五郎は、こうも言った。
将門には、もうすぐ生まれる息子がいる。
しかしこうなると、その息子も朝敵として狙われることだろう。
そうなる前に、この太政官印を朝廷に返して欲しい。
そして、その代償として、将門の息子の命を助けてもらうことはできないだろうか?
将門の息子が出家することを条件に。
ここまで話した後、武蔵五郎は息を引き取る。
これを聞いた安方は、すぐに将門の息子の行方を探す。
しかし何の手がかりも見つからず、断念して外浜に戻る。
やがて息子の千代童が生まれる。
この千代童が夜になるとよくうなされた。
そしてそれは必ず、安方が狩猟に出た時のことだった。
安方と錦木は考える。
これは、安方に殺生を止めろという暗示だろうか?
そして二人は、将門の息子のことを思い出す。
安方は、狩猟を止める。
そして、太政官印を持ち、再び将門の息子を探す旅に出た。
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