09 将門の忠臣無惨
さて、父・将門の意志を継いで良門と名乗り、反乱軍の味方となる者を探して旅をする平太郎。
越後越中の境にある「親知らず子知らず」と呼ばれる難所を越えようとしていた。
海に面した断崖絶壁に作られた細い道を、およそ10キロメートルに渡って歩かなければならない場所だった。
その日は、運悪く風が強く波も高いため、さすがの良門も、それ以上先に進めずにいた。
こういう時のために、岩壁には所々横穴が掘られていた。
そこで、旅人は、波風がおさまるまで、しばらく休むことができた。
良門が休むことにしたその横穴の奥から、かすかに鐘の音と経を読む声が聞こえる。
腹が減っていた良門は、こう声をかけた。
「修行者の方ですか?私は、旅の者ですが、何か食べ物を持っていないでしょうか?」
すると返事があり、現れたのはなんと則友だった。
則友は、安方夫婦の亡霊から良角のこと聞き、彼を諌めるために旅をしていた。
まさかこんな所で会うことになるとは。
良門と則友は、良門が小さい時に会ったことがあった。
則友は、安方の亡霊から聞いたことを良門に伝えた。
そして、何とかして謀反の企みを諦めるよう、良門を説得し始めた。
しかし良門は、そんな話には聞く耳を持っていなかった。
そしてなんと、持っていた刀で則友の首を切り落としてしまった。
しばらくすると、則友と一緒に旅をしていた千代童が戻って来た。
彼は、父と母の仇である老熊を探して、則友と旅をしていたのだった。
この場所で則友が体調を崩したため、千代童は、則友を残して薬を買いに行っていた。
しかし、この時すでに良門の姿はなかった。
そして、首を切り落とされた則友の亡骸が無惨に転がっていた。
これを見た千代童は、絶望し、海に身を投げて死のうとする。
その時、一人の旅の僧が現れ、千代童を引き留めた。
この僧が何者かは、後に語ることとする。
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