ノア、人生初の告白をする
いよいよ今日はクリスマス。
彼氏がいる訳でもないのに何で?とからかわれたがノアは気にせず休みを取っていた。街中は1ヶ月前からクリスマス仕様の街並みになっている。外を歩いているだけでワクワクする。その気分を斗真にも味わって欲しく、ノアの部屋も1ヶ月前からクリスマス仕様になっている。なので部屋の飾り付けはすでに完璧に仕上がっていた。後はクリスマス料理の準備。(ほぼ出来上がっている料理を買ってくるだけ。)その為お昼過ぎには家を出た。
今日は斗真に想いを告げる日。緊張よりも早く伝えたいという思いでいっぱいだ。外はとても寒かったので、買い物の前にカフェに寄り、温かいカフェオレを注文して体を温める。斗真の事を考えながら、ノアの本当の気持ちを手紙に書き出してみた。気付いたらかなりの長文になっている。(こんなに長く想いを伝えていたら斗真くんも退屈してしまうかしら)手を温めるようにカフェオレを両手で持ちしばらく考える。そして頑張って書いた手紙をクシャクシャと潰した。斗真の前で手紙を読むより斗真の目を見てしっかり想いを伝えようと決めた。
カフェオレを飲み干し店を出る。せっかく温まった体も一瞬にして凍る程の寒さだ。さっさと買い物を済ませ家に帰ろうと買い物リストをチェックし、小走りにお店を回るのだった。
「ただいまー!」元気よく帰って来たノアを見て、斗真は感謝の気持ちでいっぱいになった。両手に沢山の荷物を持ち、顔と手は寒さで真っ赤だったのだ。自分も手伝えたらと申し訳ない気持ちになり「おかえり。」ではなく
「ごめんね。本当にごめん。」と言葉が出てしまった。ノアは
「何が?」と全く気にしていない様子だ。
「それより見て!ケーキ!美味しそうでしょう!すぐ準備するからね。」とても楽しそうだ。ノアが楽しそうにしている姿を見ると、斗真も自然と楽しい気持ちになり心が温かくなる。ノアと出会う前より出会った後の方が、自分で命を終わりにした事への後悔が大きい。生きてノアちゃんと出会いたかった。
パーティーの準備が整った所で、まずはくま太を座らせノアも座り
「斗真くんもここに座って。」丸テーブルをくま太と2人で囲むように座りグラスにシャンパンを注いだ。
「メリークリスマス!!」とノアが叫び、遅れて斗真も
「メリークリスマス!」と叫んだ。と同時にノアがクラッカーを鳴らした。大きな音に驚きビクッとしたが、ノアに気付かれずホッとする。小心者と思われたくないという斗真の小さなプライドだ。そしてシャンパンで乾杯!斗真もくま太もグラスを持てないので、代表でノアがグラスを持ち斗真のグラスに乾杯するが…勢い余り斗真のグラスが倒れそうになる。咄嗟に斗真の手が出るが空を切るだけ。危機一髪、ノアの手がグラスを支える事に成功。セーフ!とオーバーリアクション!そんな些細な事でも2人だと何故かおかしくて顔を見合わせて大笑いした。
クリスマス料理を食べながら2人で今までどんなクリスマスを過ごして来たのかなど、お互いの知らない時間を沢山語り合った。そしていつの間にか夜も更け、パーティーもお開きになる頃、ノアがコホンと咳払いをし斗真の方を向いた。
「斗真くん…実は斗真くんに聞いてもらいたいことがあります。」真面目な顔で言ったので、斗真は吹き出した。
「えっ、まだ話す事あるの?全然いいけど…ノアちゃん眠くない?」斗真は今までの話しの延長戦かと勘違いしているようだ。
「違う違う!その…昔話じゃなくて…はい!」と顔を両手で叩き気合いを入れ、フーと深呼吸をする。
「今から私の気持ちを伝えます。聞いて下さい。えっと…私は…私は…斗真くんが好きです。自分の気持ちに気付かず、この何ヶ月か一緒に過ごして来ました。正直、幽霊さんに恋する気持ちを持つなんて思ってもいなくて…でも…好きって気持ちに気付いたら…もう生きてるとか生きてないとか関係ないって思えたの。こんな形でも一緒にいられるだけで幸せで…お出掛け出来なくてもこの部屋で一緒に過ごすだけで幸せで…もう斗真くんのいない人生は考えられなくなってる。この先私は斗真くんの年齢を超えてどんどん歳を取って、いつかはシワシワのおばあちゃんになってしまうけど、嫌でなかったらずっと一緒にいて欲しいです。斗真くんが天国に行く日が先か、私の寿命が尽きるのが先か分からないけど…斗真くん!私の彼氏になってもらえませんか?」真剣な眼差しで斗真を見る。最後まで黙って聞いていた斗真の目から涙が溢れた。
「ノアちゃん…本当に本当にありがとう。こんなに嬉しい気持ちになれたの初めてだよ。僕を暗闇から救ってくれて、楽しい日々を過ごさせてくれて…それだけで充分幸せなのに…こんな自分を好きなんて言ってくれて…あまりにも急すぎて気持ちの整理が追いつかないよ。」と涙を拭う。しばらく沈黙が続いた後、ノアの目を見て言葉を選びながら話し始めた。
「ノアちゃん、僕にも言わせて欲しい。僕はたぶん…ノアちゃんが僕に好意を抱いてくれる前からノアちゃんに惹かれてました。ノアちゃんの純粋なところや一生懸命なところ…そして優しくて相手のことを思って行動するところ…全部…全部…大好きです。日に日に好きっていう思いが募ってました。でも自分は生きた人間ではないし…こんな風に想いを伝える事なんて永遠にないって思ってた。だからノアちゃんの気持ちを聞いて、自分の気持ちを伝える事が出来て本当に嬉しい。そして命を絶ってしまった事への後悔も…今強く感じてる。」うつむく斗真にノアは優しく言葉をかける。
「斗真くんも私を好きでいてくれたなんて…なんか信じられないよ。本当に嬉しい。嬉しいよ。本当にありがとう。そして斗真くん…後悔はしないで。後悔しても現状は変わらない。だから…この出会いはきっと来世で結ばれる為に出会わせてもらえたんだって思うようにしようよ。この先一生懸命生きる事で神様が願いを叶えてくれるような気がするんだ。今斗真くんは終わりにしてしまった事への罰をしっかり受けている。だから私は今を一生懸命生きる!2人の来世の為に!」斗真を励ます言葉、そしてノアの前向きな言葉が斗真の心にグッと刺さり、一瞬にして斗真の心も前向きになれた。
「そうだね…後悔したところで何も変わらないんだよね。来世が明るい人生であるよう僕もしっかりと罰を受ける。ノアちゃんが側に居てくれたら頑張れる!でもノアちゃん…一つだけお願いがあるんだ。この先ノアちゃんには夢もあるし沢山の出会いがある。そんな中、好きな人が出来るかもしれない。」それはないない!と手を左右に振るノアを遮り
「絶対ないなんてことはあり得ないんだよ。だからその時はちゃんと自分の気持ちに正直に僕に伝えて欲しい。一生懸命生きるって決めたでしょう。嘘の人生は駄目だよ。来世で一緒になれなくなっちゃうからさっ!」優しい笑顔でノアを見つめる。
「うん!分かった!斗真くんの思いはちゃんと守るから。だからそうならない限り一緒にいて下さい。」
「はい!よろしくお願いします!今凄く幸せだよ。ノアちゃん大好きだよ。」ノアの顔が真っ赤になる。
「私も斗真くんが大好き。初めて彼氏が出来た。」
触れることは出来ないが、斗真の隣に座り夜遅くまでたくさん話しをし幸せな2人の時間を過ごした。
こうして前代未聞の人間と幽霊のカップルが誕生したのだった。
最後まで読んで頂きありがとうございます!
前代未聞の人間と幽霊のカップルがこの先どうなるのか…。
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