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生きて会えたら  作者: みりな
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19/20

斗真と離れて1年後 最終話

1年後

「ノアさ〜ん、聞いてくださいよ!また鮫島さんに嫌味言われました。」

「気にすることないよ。鮫島さん、新人いじめるの好きな人だから、そのうち言わなくなるよ。私なんて嫌味どころじゃなかったよ。いじめられてたから。」

「そうなんですか?それでも辞めない根性凄いです。」

「支えてくれる人がいたからかな。もし、あまりにも酷いこと言われた時は教えて。私がガツンと意見申すから。」

「ありがとうございます。頼りになります。」

1年の間にノアにも何人かの後輩ができ、それなりに頼られる存在に成長していた。

「おい!ノア!またコーヒーの設定温度間違ってるぞ!」

遠くから鮫島が怒鳴っていた。

「はい!すみません!」

慌てて鮫島のもとに走って行くノアを見て、後輩達が

「ガツンと言ってもらえそうもないね。」とクスクス笑っていた。


帰り際、佐々木さんとすれ違った。

「ノアちゃん、音楽の方は進んでる?」

佐々木さんにだけは将来の夢を話していた。

「はい。この1年間でどうにかアルバム1枚出せるんじゃないかな〜くらいの曲は出来ました。」

「凄いじゃん!ノアちゃん忙しいと思ってなかなか誘えなかったけど、今度聞かせて欲しいな。」

「もちろんです!じゃあ今度カラオケ行きませんか?」

「行く行く!結婚して辞めた鈴木さんも呼んじゃおうかな。」

「あっ!いいですね!久しぶりに3人で盛り上がりたいです。」

「ノアちゃんの都合の良い日があったら後で教えて!よーし!久しぶりに飲むぞー!」

すでに酔っているかのように千鳥足で佐々木さんは去って行った。



今年も花見の季節がやって来た。帰り道、桜がちらほら咲いてる公園を歩いて帰る。

「あれから1年…斗真はゆっくり過ごせてるかな、」

落ちている桜の花びらを3枚程拾いハンカチに包み、大切に持ち帰り、斗真の似顔絵の前に花びらを置く。

「斗真。桜咲いてきたよ。」今でもこうして日々の出来事を毎日斗真に報告していた。

夕食を済ませた後は寝る時間まで音楽に集中する時間と決めていた。斗真と離れた後は、雨の日以外は毎日屋上で歌を歌っている。

「斗真、今日も行って来るね。」声を掛け、くま太とギターを持ち屋上へ。

「今日も星が綺麗。最高のステージだ。」くま太をフェンス越しに座らせ、街並みに向かって歌い出す。気持ち良く歌い終えた後、背後からパチパチパチパチと拍手をする音が聞こえてきた。ノアは驚きギターを抱え振り向いた。そこには見知らぬ男性が立っていた。咄嗟に危険を感じ、くま太を庇うように後ろにジリジリと退く。怯えているノアの様子を見た男性は、慌てて自己紹介をし始めた。

「驚かしてしまってごめんなさい。決して怪しい者ではありません。その…僕はこのマンションの602に住んでいる篠原雅人と言います。」

「えっ!602ですか?私601に1年前に越してきた赤木ノアです。近隣のご挨拶もせず申し訳ありません。」

「いえいえ。挨拶に来る人なんていませんから気にしないで下さい。それより…実は…僕…赤木さんの歌…毎日聴いてました。」

「えっ?毎日?」

「はい。部屋の中で外から聞こえてくる歌声を。最初は何気に聞いてましたけど、そのうちこの時間が楽しみになっていて、いつしか赤木さんの歌声に癒されるようになって、ファンになってしまいました。」とうとう言えた!と自分を讃え小さくガッツポーズをする。

「ごめんなさい。他の人の部屋にまで聞こえてるなんて思ってもいませんでした。迷惑かけてしまってごめんなさい。」

「迷惑じゃないです。会社で嫌な事があっても、夜になればあの人の歌が聴けると思うと元気が出たんです。沢山の勇気と癒しをありがとうございます!」

「そんな風に思ってくれてる人がいたなんて…。本当に嬉しいです。ありがとうございます。」

お互いにお礼の言葉が止まらなく、最後には2人で吹き出し笑ってしまった。

「赤木さん。これからも応援させてもらってもいいですか?」

「もちろんです!と言うかお願いします。」

「あの…応援するにあたって…赤木さんって呼ぶより…えっと…名前で呼ぶ方のがいいかなって。ノアちゃんって呼んでもいいですか?」

そう言った後に見る見る顔が赤くなる。幸いなことに夜の屋上は照明もなく月明かりだけだったので、ノアに気付かれる事はなかった。

「はい。名前で呼んで下さい。じゃあ私も雅人くんって呼んでもいいですか?」

「はい。喜んで!嬉しいです!」

「じゃあ雅人くん、敬語もやめませんか?」

「はい。あっ…うん!ため口で。」

「よろしくね!」と微笑む。

「もしかしてだけど、僕がノアちゃんのファン1号だったりする?」

ファン1号…その言葉を聞いて斗真の事を思い出した。

(ノアちゃんのファン1号は僕だからね!)

出会ったばかりの頃、そんな風に言ってくれてたな…。

「ごめんなさい。えっと…ファン1号は…います。なのでファン2号になってくれますか?」

「そっか…。そうだよね。ファンいない訳ないもんな…。うん!喜んでファン2号になる!それと、良かったらなんだけど、もう1曲だけ聴かせてもらえないかな?」

「うん!歌う!聴いてほしい!」

胸に抱き締めていたギターを肩にかけ、一度空を見上げ

(斗真も聴いてね!)と呟き、星いっぱいのステージで心を込めて歌うノアだった。


最後まで読んでいただきありがとうございます!

とうとう最終話を迎えさせていただきました。が…もう一話だけ…お付き合い下さい(^^)

最後の最後までよろしくお願いします!

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