また来世で!約束をしお別れをする2人
突然の出来事にノアは驚き「うわー!なに?!」と叫び、あまりの眩しさに目を閉じる。しばらくして恐る恐る目を開けると、部屋の中に見知らぬ男性が立っていた。2度目の驚き。
「うわー!」と叫んでから神様の秘書の方だと察し、慌てて姿勢を正す。
「失礼しました。」深々とお辞儀をする。
「驚かしてしまったようで申し訳ありません。ノアさん、初めまして。私、神様の秘書的存在の田中守と申します。」田中氏も深々とお辞儀をする。
「は、は、初めまして。赤木ノアと申します。この度は斗真が…斗真さんがお世話になります。」さらに深々とお辞儀をする。
「斗真さん、ノアさん、有意義な1日を過ごす事が出来ましたか?そろそろ斗真さんを天国へお連れする時間ですが、気持ちの整理はついてますか?」
斗真とノアは顔を見合わせ頷き合い「はい。」と同時に返事をする。いよいよお別れかと思うとノアの鼓動が早まる。斗真が
「田中さん、お別れの時僕がノアに見送られるのではなく、僕がノアのことを見送ろうと思ってます。ノアが寝室に入って眠りについてから天国に旅立つ感じでも大丈夫ですか?」
それを聞いたノアは驚きを隠せない。
「えっ?斗真…初耳なんだけど…。私が斗真を見送りたい。」
「ノアごめん。天国へ旅立つ姿を最後の思い出にしてほしくないんだ。この部屋で、いつも通りに楽しく笑って過ごしている日常を、僕とノアの最後の思い出にしたいんだ。」斗真の想いを聞いたノアは、素直に受け入れる事が出来た。田中氏が再度確認をする。
「ノアさん、それでよろしいのですね?」
「はい。斗真の最後の姿が、天国に旅立つ姿なのは…確かに寂しいです。」
「承知しました。では…斗真さん。お見送りの方よろしくお願いします。」と田中氏は気を利かせ後ろを向いて待っていた。
斗真は頷き「ノア。」と呼び2人で向き合う。
「この1年間本当に本当にありがとう。ノアと出会い、ノアを好きになって、ノアの彼氏になれて、一緒の時間を過ごせて….こんな贅沢な日々は生きている頃でさえなかったよ。とっても楽しかった。ノア、大好きだよ。」
「私も斗真と一緒の想いだよ。斗真と出会わなかったら、こんなに楽しいって思える人生に出会えなかったと思う。命を救ってくれてありがとう。たくさん話しを聞いてくれてありがとう。私を好きになってくれてありがとう。私も斗真が大好き!」
2人とも触れることの出来ない手と手を重ねる。
「ノア…また来世で。」
「うん。また来世で。来世では絶対一緒になろうね。」と言った後、小声で
「天国に行って神様に会うことが出来たらお願いしておいてね。」とウインクして見せた。斗真も指でOKをしウインクする。
「じゃあ行くね。斗真、本当にありがとう。天国でゆっくり休んでね。」
「うん。ノアも今世でたくさんたくさん幸せになるんだよ。」
笑顔で頷きノアがクルリと斗真に背を向け寝室へ向かう。
ドアを開け中に入る。最後まで笑顔で手を振りドアを閉めた。部屋に静寂が戻った。田中氏が振り返り
「悔いなくお別れ出来ましたか?」と声を掛ける。
「はい。今…正直とっても辛いですけど…大丈夫です。前を向いて次のステップに進みたいと思います。」
「とても良い心構えです。ではノアさんが眠りにつくまで、この先の天国に着いてからの注意事項や過ごし方などの説明をさせていただきます。」淡々と話し始めた。
ノアは寝室に入るなりすぐに布団に潜り込みギュッと目をつぶった。
眠りたくない。眠ってしまったら斗真が行ってしまう。でも眠らないと斗真と田中さんが旅立てず迷惑をかけてしまう。眠らなきゃ…斗真…眠らなきゃ…眠らな…。この1週間気を張っていたのもあり、いつの間にかノアは眠りに落ちていた。
1時間後
「そろそろ深い眠りについている頃だと思われますので、一旦確認しに行ってきます。」田中氏が斗真に声を掛ける。
「はい。よろしくお願いします。」
田中氏はスーッとノアの寝室の壁をすり抜け入っていった。暑かったのか布団を蹴飛ばしスースー寝ていた。
田中氏はしばらく様子を伺っていたが、起きる気配のないノアに安心し斗真の元に戻り
「深い眠りについているのを確認できました。」と報告した。
その頃寝室でグッスリ眠っていたノアが目を覚ました。気配を感じたのか、田中氏が部屋を出てすぐに目を覚ましてしまったのだ。ガバッと起き上がりリビングの方の壁を見つめる。そしてソロソロと壁際まで歩いて行き(もう行ってしまったかな?)と耳を澄ませる。ボソボソと声が聞こえる。(まだいる!)何をはなしているのか気になり壁に耳を当てる。斗真の声が聞こえる。
「田中さん、約束していたお願い事を叶えて頂けますか?」
「もちろんです。約束は守ります。ただ…本当にノアさんから斗真さんの記憶を消してしまってもよろしいのですか?」
(えっ?斗真の記憶を消す?えっ…どうゆう事?)
ノアは息を飲みさらに強く壁に耳を押し当てる。
「はい。僕の記憶が今後ノアの人生の邪魔をする事もあると思って…。特に恋愛に関して。ノアにはこの先ちゃんと恋愛をして結婚して幸せな家庭を築いてほしいのです。」
(えっ…やだ!絶対にやだ!斗真の記憶がなくなるなんて絶対に無理!やだ!!)頭の中が混乱状態。
(どうしたらいい?逃げる?どこに?)パニック状態になっていると田中氏の声が聞こえてきた。
「承知しました。斗真さんの最後の願い叶えさせていただきます。では、もう一度ノアさんの所に行って参ります。」
(田中さんが来ちゃう!どうしよう。)焦ったノアは、とりあえず布団に戻り、頭から布団をかぶる事しか出来なかった。
最後まで読んでいただきありがとうございます!
ノアは斗真の記憶を消されてしまうのか…。
次のお話しもよろしくお願いします!




