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鈴木さん一号に代わってお仕置きよ!

今回とある人物が極限まで追い詰められます。人は追い詰められた時どうなるのか。それをその目でしっかりと見届けて下さい。

この小説、推理小説の一面もありますが、分類上ローファンタジー+ミステリーというジャンルだと考えられます。これは現実を舞台としているのに、魔法や不思議な事が起こってしまう世界の事を言い、アニメ


『とある科学の超電磁砲』


などの世界観と考えてもらえればイメージしやすいと思います。対にあるハイファンタジーというジャンルでは、魔法や不思議な力が存在するのは同じですが、中世の街並みにあるギルドで仲間を集め、洞窟に探検するような世界観です。因みにこの人物の変化を完璧に予想できる方は誰一人としてもいないと思います。それ程の奇想天外な事が起こります。まあこれもフィクションならではでしょう。そして少し滑稽な変化ですが決して笑ってはいけません。彼もどうしようもなくてこの道を選んだのですから。命を懸け起こした変化。これを笑う人間など存在する筈もないでしょう。そして、それを目の当たりにした皆さんはこう思うでしょう。


「自分が如何に有利だとしても、100パー負けないとしても、とことんまで追い詰めるような行動は避けるようにしなくては」


とね。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ふん!」

ボギィ コロン


「え?」

なんと!


「あ、頭で、折れた!? ステンレスだぞ……どうなってる?」


「甘い!」


「あ、ありえねえ……おい土志田? 何突っ立ってんだ? お前も行け!」


「は、はいい……こ、これからあなたを殺害しますがよろしかったでしょうかあ?」

ゴン メキッ

鉄の棒は鬼熊殺の頭にぶつかると逆にへし折れていた。当然無傷! そして……


「ぎゃああ。腕があ」

腕を支え転がる土志田。ありえぬ方向に曲がっちゃったあ。これは、折れたな。


「あらあら、身の丈に合わない重い棒なんか振り回すから……」


「ぬぬぬ」

歯を食いしばる木林。


「私でなければ死んでいましたよ? 私は昔アメフトをやっていました。タックルの練習相手は野生のヒグマにしていましたが、すぐに壊れてしまってね……新しいヒグマを調達するのに苦労しましたよ」


「熊さんかわいそう」


「いえ、人里を襲ったヒグマ限定で殺っています」


「そうなんだ……自業自得ま」


「自業自得まか……フフ……それに並の人間ではタックルで吹き飛んでしまいますので練習になりません。そして、ヒグマの屍の山を見た人々はいつしか私を


【鬼熊殺】


と呼び、恐れたのです。本来熊谷という名字なのですが、気に入ったのでこれを名乗ってます。さあ、こんな軽い攻撃で私を殺せませんよ? 諦めなさい」


「鬼熊殺さん? それって役所に報告したの?」


「え? フフ……そうですね。まあ異名みたいな物ですし、そんな事はしていないです」


「そういえばそうね。でも、かっこいいよ!」


「ありがとう。おや? まだ懲りないみたいですね?」


「目玉だ! 目玉を潰せ! 流石にそこは鍛えられねえだろ! 行け! 川谷」

的確な指示を出す木林。流石社長と言ったところだ。そして……


「はいい」

その殺人指示を何の迷いもなく従う川谷。もう個人の意思はないのだろう。言われるがままに動く傀儡なのだ。

川谷は細い棒を鬼熊殺の目に向けて突く。

ビュン


「いい加減にしなさい木林! これ以上罪を重ねさせては駄目だ!!」

バキッ ガッ ポーイ グシャ

手刀で棒を叩き落とし、川谷を投げ飛ばす。


「いたいやだあ」

仰向けになりジタバタし号泣する川谷。


「語彙力が最低限まで落ち込んでるわよ? 本当に子供ね川谷はwそういえばお前、鈴木さんの靴に切りくず入れちゃダメよ」


「な、なずぇそれを?」


「お坊ちゃんだからさ」


「答えになってないだろ……いてえええ話しかけるなこのチビめ……」

バタッ


「あーあ遺言が


【チビめ……】


か。悲しいガキだったわね」

気絶しただけだよ。


「やめろおおおお鬼熊殺!」


「臭え雑音を発するなカスwあと、さん付けな? お前いつの間に鬼熊殺さんより偉くなったんだ? 審査する側とされる側でお前はされる側だろうが! 対等に話していいお方じゃないのは分かっているだろ? お前とでは格が違う」

臭い雑音か。口臭が臭く、耳障りな音をこう例えたのか!


「持って来ました……すいません」

山本山という男が観念して鬼熊殺の元へパソコンを持って来る。そして、受け取るや否やパソコンを立ち上げ、素早くデータを検索する。


「あった……指示書のデータ……この日付で検索かけて、内藤のやった部分のみを書き出すんだったよね?」


「そうよ。指示書の裏に内藤のスタンプが押してある筈だから、それだけを抜き出して。面倒な作業になるけど頑張って!」


「私はこの道のプロだよ! 面倒じゃない。これにやりがいを感じている!」


「あ、そうだよねごめん!」


「止めて……」


「勝手に喋るなw分かっているだろうが、お前に


【だけ】


は発言権はないwまあ今まで上手く隠せたとしても外部から正しい情報が入ってくりゃこんな風に隠蔽は崩壊するのよ。一瞬でな!」


「ほう……12月5日 M30 6580Y型カバー1台 2時間…… 12月7日FAR100 1セット 5時間 12月8日 プロテクター20台 4時間……あれ? それしかない? 次の日も、翌週も? 一日一品目しかやっていない? これは……おかしい……時間が……足りていないじゃないか!」


「そう、1日8時間労働の筈なのよ! なのに1日一品目しか完成していないし8時間分働いてない! これはおかしい!」


「うん! 12月5日だったら2時間で終わったのなら、同日に他の仕事をやっていなければいけない筈。なのにそれしかやっていない? 本当だ。どこを探しても他に2007年の12月5日の内藤さんの加工した指示書のデータがないんだ。本来その日の内藤の手掛けた仕事は2時間なんだから、後6時間分何かをやっているデータが残っていなくてならない筈なのに……どう探しても2時間分しかない」


「これぞ内藤の行っていた捏造の証拠よ。実際は12月5日の場合、7時間かかっていたの。鈴木さんが隣で見ていたから間違いないって! なのに、それをそのまま書くのが恥ずかしいから2時間と嘘をここに記入したそうよね? 木林!」 


「言いがかりだあ」(何でこいつそんな事……鈴木の事を知っている? 何でだ!! こいつ一体何者だ? 奴の娘? 確か奴は10年位前に居なくなったよな? こいつは見た感じ4歳位だし年が合わねえ……どうなっている?)


「明確にデータとして残ってるじゃない……よくもまあこれを言いがかりと言えるわね……これは覆し様のない証拠よ!」


「ぐううあれだ……山本山がデータを入力し忘れたんだ。そうとしか考えられない。山本山! ちゃんと全ての指示書を取り込まないといけないぞ?」


「え?」

驚く山本山


「彼には厳重な罰を与えるので気を付けて下さい」


「そ、そんな事は無い筈です」

山本山が言われもない疑いを掛けられ焦り始める。


「まだ足掻くのかよこのカス……この人がそんなミスするようには見えない」(もうこいつにはこの言葉開放してもいいよね……鈴木さん!)


「ああ? 誰だってミスはあるだろ!」


「もう、諦めろよ……この……年ゴゴゲゲ!!」(あっ……畜生……)


「あ? どういう意味だ」


「嚙んじゃった……年ゴゾゲめって言おうとしたのよ……今までいっぱい噛んだけど、これ以上悔しい噛みは無いわ……」


「それでも分からねえよ!!」


「そうだね? 君はまだ知らなかったね? これは略語よ」


「なんのだ」


「これは鈴木さんが作り出した最高の言葉……神の言葉……天使の言葉……それは……


【☆年老いたゴキブリゾンビのゲロ★】


だ」


「あ?」


「え?」


「♪ち、ちょっと……♬」


「な、なんだ? 今の組み合わせ……それを俺に言ったのか? な、何て酷い言葉だ……どこが天使の言葉だよ……オ、オエー」


「ええ、天使の言葉よ? この言葉を思いつけなければ鈴木さんはその怒りを抑える事が出来ず、その腕力で確実にお前を殺してただろう。彼の体格を思い出してみろ。勝てる筈がないだろ?」


「ああ?」


「だけど殺さず、お前をそういう物と思う事で怒りを鎮めたんだ。もし一発でも殴られたらお前、首フッ飛んでたぞ? それを堪える為に彼は産み出したんだ。お前なんかの為によお。この言葉はな? 地獄から上界へ、そして上界から世界へ広めなくてはならない言葉よ?」 

広めちゃダメだよ!


「んな訳ねえだろ!」


「お前を、少し酷めの悪口を、実際には言わず心の中で思うだけであれだけの行為を全て許したんだぞ? 生かしてくれたんだぞ? 身に覚えあるだろ?」(本来名木の行為が原因で生み出された物だけど嘘ついちゃった。でも、別にいいよね?)


「ぐう……」


「それを起こさない様に抑える為に生み出した慈愛の言葉。そして、上界の土産よ」


「こいつ……い、いやそれどころじゃねえ。早くそんな偽りのデータを消せ! すぐ出来んだろ!」


「もう見られた後だろ……どこまで足搔くんだこいつ……腐りきって……」

すると、アリサの言葉を遮る謎の叫び声が近づいてくる。


「|宇和亜阿嗚呼悪屋芽炉御大男尾うわあああああやめろおおおお

余募余募募炉募炉(よぼよぼぼろぼろ)


「え?」

おお、これは? 内藤春斗だろう人物が途轍もないすばしっこさで走ってくる。いや、実際は遅い。よぼよぼでボロボロだ。だが、その太った体躯とは思えぬ程両足をばたつかせて走ってくる様子がすばしっこい様に見えるのだろうな。誰かが彼に報告し、それを聞き慌ててパソコンのある工場入り口のシャッターの前まで走って来たのだ。見るからにもう現役をとうに超えた老人だ。顔が異様に焦げ茶色でしわくちゃだ。

挿絵(By みてみん)



「内藤さん? 今ここに来ちゃダメだ。仕事に戻って」


「何でもないから!」

ぬ? 何故か折角来たのに追い返そうとしている? だが内藤はシャッターの前のパソコンをのぞき込んで更に絶望の表情になる。 


亜阿唖蛙亞(あああああ)……」

ドヨリーン


「こ、こいつが内藤……汚い……最悪に汚い……き た な す ぎ る!! そうか……鈴木さんの記憶具現では若い時のこいつを再現していたからまだ見れたが、更に年月を重ね老いさらばえてしまった状態なんだ……顔が……しわくちゃすぎて最早……肛門だ……と、言う事は……奴の尻の奥の本来肛門があるべき場所に真実の素顔がある……んだ……入れ替わってるんだよ! 何でそんな事するんだ!! おかしいだろ!」

そんな訳ないポヨ! 顔は顔! 肛門は肛門だポヨ! それじゃ食事時お尻が丸出しになるポヨ! それに、それに伴い、生殖器も丸出しなった状態で食事をする形になってしまうんだポヨ。そんな状態で食事するのはおかしいポヨ? 忘年会で食事をするだけでも刑法175条の猥褻物陳列罪で逮捕される危険性があるんだポヨ~ン! そんなのは絶対いけないんだポヨ? それにおトイレでう〇ちをする時なんか便器に顔を使づけて排便する事になるんだポヨ? そんなのまるで呑み過ぎてトイレで食べた物を戻している酔っ払いのおっさんじゃんかポヨ。そんな姿を毎回排便する度にしなきゃいけないんだポヨ! 君はヒロインなんだポヨ? ……肛門発言は! 駄目! 絶対! だよポヨ!


病芽手ー田巣毛手ー(やめてーたすけてー)


「証拠も残ってんのに助かる訳ないでしょ?」


馬津手暮絵江得(まってくれえええ)無弾出(むだんで)……紺菜野(こんなの)|瑠宇瑠荷野津戸胃手医瑠野出省火ルールにのっといているのでしょうか?」


「黙れ! 何がルールだ! お前はこの会社のISOを剥奪させた立役者だ! 最もその言葉を使ってはいけないのよ! それに乗っといているなんて言葉は存在しないのよ?」


祖、園子賭場(そ、そのことば)


「何?」


「|縦屋串矢津手小十馬……馬坂……巣図期?《たてやくしゃってことば まさか すずき》」

ほう、この内藤という男、鈴木からの手紙の内容を今でも覚えている様だな。立役者という言葉はそこで使われていた。


「お前はあの手紙を読んで尚この会社で社員を続けていたんだよね……この金の亡者!」


「|亜、阿胃居委意医井位伊威移多巣毛手ー《あ、あいいいいいいいいいいたすけて》」


「一応聞くけど7時間を5時間とかには出来なかったの? そうすれば鈴木さんにもバレなかったのに。5時間も捏造すりゃバレて当然よ?」


「……」


「やっぱりだんまりか……人は核心を突かれると総じて無言になる。これは鈴木さんが言ってた通り。でもそれだけじゃない。お前、う〇この残り香で鈴木さんを攻撃したんだろ? よくあんな事思いつけるな! それで体調を崩して……この最低う〇こ老人!」


宇鵜雨(ううう)


「いい加減にしろ!」

おや? 聞き覚えのあるワードだな、


「あww」(これは来るわよwよーしw)


「え?」


「え、じゃねえんだよ」

じー

アリサは真剣に木林を見つめる。すると……


「おかしくなっちゃうだろ!!」

 

「きたーーw」


「何喜んでやがるんだ! 真剣に怒っている時に!」


「お前馬鹿だなあw素材を提供した事すら気付いてない。それ、かっこいいと思ってるの?」


「何がだ! これは


【言われた】


んだ」


「うっ!!」


「あ?」


「ああ、ここは上界だった……またあの歌が来ると思っちゃったよ……」

地獄で響いた言われたの歌は、


【言われた】


という言葉を聞くと突然鳴り響く歌声。それがアリサにとってトラウマになってる様だな。


「何がだ!」


「馬鹿は一生分からねえってwでもな? いい加減にしろもおかしくなっちゃうもここで言うセリフじゃねえんだよ。いい加減にするのもおかしくなってるのもテメエな?」(でも、言われた? あれ、これって自分で考えたんじゃないって事? じゃあ誰に?)

するとアリサの思考を鈍らせるような声が……


「多巣毛手ー手毛巣多ー」

土田土田


「何が手毛巣多ーだ! 逆になってるぞ! お前そんな言葉遊びしてる余裕なんかねえ筈だろ!」 


「多巣毛手ー多巣毛手ー」


「しつけえよ! お前は助からねえってw」

すると社長が内藤に向けて声を放つ。


「最後まで守れなかった……すまない」


「は? お前正気か? 守れない? すまない? 友情ごっこしてんじゃねえこの偽善者が! 定年までこの無能のカスを養う予定だったのか? 鈴木さんの手紙で内藤が捏造していると知っていた筈だぜ? 700時間も捏造したのに使う理由は何だよ? 一時間1000円で計算しても70万だぞ? もしあいつが鈴木さんに気付かれずずっと捏造してたら今から16年前くらいだと計算して……1年4か月で70万だから……3倍で4年でしょ? それで210万……16年だと、その4倍。なら840万円をあいつにタダで払う事になっていたんだぞ? それを70万に抑えてくれた鈴木さんに一切感謝しないで内藤には謝罪かよ……どういう神経してんだよ……脳みそが腐ってんのか?」


「は? 今のはこいつに言ったんだ。守れなかったから」

そういい嫁の方を向く。


「守れなかった?」


「内藤は優秀だからクビにしてはいけない。と、言ってた」


「はあ? それを奥さんが言ったの? 正気なの?」


「あら? あなた、何を言っているの? 変な言いがかりは止めて?」


「あっ! ごめん。何でもない。忘れろ!」


「……?」(何この違和感……)


「内藤さんはそんな事しない」


「やってるんだよ。証拠も出てるだろ。鈴木さんの手紙にも書いてあったろ?」


「そんなの嘘っぱちか偽造だ。元から信じてない!」


「もうその手紙も捨てちゃったんだろうね」


「ああ」


「え、これの事?」

スッ


「え?」

奥さんが数枚のA5の用紙を取り出す。


「お、お前……何でそんな物持ってんだよ」


「ゴミ箱を見たら捨ててあったからちょっと読んでみたのよ。で、そのままカバンに入れていたみたい」


「もう捨てちまえよ……」


「そうね」


「ちょっと待って? それ、読ませて? 筆跡を調べる」


「え? これはPCで作成されているわよ?」


「そうなんだ。でもいいわ……うん、あの時と同じ文面。記憶具現、すごい再現率ね……手書きじゃなくてPCで書いたんだ」


「あの時だあ? お前これをどこで? (なんでこいつ手紙の内容まで知ってんだよ……)まあこんなの嘘っぱちだ」


「まだ言うの? じゃあ証明してやるわ。鬼熊殺さん! 7時間を2時間にした日。2007年の12月5日のタイムカードのデータを見せてもらって? その就労時間が8時間なら捏造が証明されるわ!」


「あ、そういえばそうですね! ではタイムカードのデータを見せていただけますね?」


「な、なんだと? そういえばそうだ……気付かなかった……その手があったかー」


「マジで気付いてなかったの? この馬鹿。これで社長とか……終わっとる……猿の方がまともに運営出来そうじゃん……」


「事務の方に言って確認させて下さい」


「おい! 止めろ! 待て! 17年前のデータなんて残ってねえよ」


「見ればわかる事ですよ。さて、行きましょう」


「じゃあ内藤君を今日でクビにするから……」


「待つ訳ねえだろ! それにそう言う問題じゃねえだろ? 奴の行いを全て報告するんだよ! そういえばお前、草刈りの当番表の順番、鈴木さんとこいつの位置入れ替えていただろ! それは差別なんだよ! 平然と差別して恥ずかしくねえのか? このカス!」 


「差別? どこが?」


「酷い顔……本気で聞いてるのか? 誰でも分かるだろこのゴミ! 今その内藤とかいう黒い塊にかけている優しさ。それは偽りだ! 本当はこれがばれたら自分の立場が悪くなるから仕方なしに守っていただけだろ? 700時間捏造された上にISOまで剥奪されちゃ敵わねえからなあ。700時間を目をつぶり、ISOだけは継続しようとしただけだろ! それを自分に都合のいい様な美談に作り変えるな! このおためごかし野郎が!」


「ぬぬう。その言葉嫌なんだよ! 鈴木も書いてた……どういう意味か分からなくて調べたっけ……で、その意味を見て怒りが増した思い出が蘇る……おいチビ! 何で自分を守っちゃいけねえんだ? 自分が一番可愛いだろうが!」


「呆れた……開き直るな失敗作!」


「うるせえ! 俺こそ人間の成功例だ! 社長としてここまで木林を盛り上げたんだぞ!」


「単なる世襲。更には不正に次ぐ不正でな。だから間違いなくお前は失敗作なんだ!」


「ぬううう……だが何故知ったんだ? 去年も外部監査が来た時は監察官がパソコンを見ようとした時に見事話をそらし、近付けないように頑張ったって言うのに……」


「それは頑張りじゃないでしょ。聞いたんだ」


「聞いたぁ? 誰にだ!! 誰の差し金だ! 何で突然押しかけてきて俺をここまで憎んでるんだ? おかしいだろ?」


「おかしいだろ……それ、口癖なのね……」


「くそ! お前は……一体何者だ!! 殺してやる!!! ぜってえに! 」

携帯をしっかりと木林に向ける。


「ん? 私か? 私は……そうだな……さしずめ地獄の……使者と言ったところか? ……お前を正しい方向へと導く為に遣わされた……な!! 鈴木さん……聞いていますか? もし聞いていたらがっかりするでしょう……こいつ……相変わらずだった……10年経っても丸くならず、クズのままだった……! 何一つ、変わっていなかった……!!」


「なんだと?」


「そう、そしてこれは地獄からのメッセージよ。鈴木さんから聞いた。全て……バイトだからと言ってやりたい放題虐めてたそうじゃない? その心労が祟って崖から飛び降り自殺したのよ?」


「やはり……」


「やり過ぎたんだ……うう……鈴木……ごめん……」

従業員がその真実を聞き後悔の念に駆られアリサから目を逸らす。


「もし鈴木さんの自殺がここでのいじめと因果関係がなくても、犯罪行為の被害者が自殺したなら当然逮捕されるわ。

だけどそれには証拠の有無がかなり重要。従業員の証言が証拠として扱われれば名誉毀損罪で刑事責任を問われ逮捕されるかもね。

因みに日本の法律上、いじめは次の3種類に分類する事が出来る。


1・いじめ防止対策推進法上の「いじめ」にあたるもの

2・民事上の損害賠償責任が成立するもの

3・刑法上の犯罪に該当するもの


この内、1がもっとも広い概念。

ターゲットにされた人物の心身に苦痛を与える行為は、すべて、いじめ防止対策推進法上の「いじめ」に該当するわ。

加害者がどんなつもりでやったのかに関係なく、被害者の心や身体を傷つける行為があれば「いじめ」として扱われるの。

そして、この法律で規定された「いじめ」で程度の酷い物が、民事上の損害賠償責任が発生する「いじめ」となり、そのうちの刑法上の犯罪にあたる行為が犯罪と扱われる。覚悟は出来ているのか? その覚悟あっていじめたのか? 良い度胸だなお前」


「し、証言程度で証拠になるかよお! お前ら! 言わねえよな?」 


「……は、はい」


「うう……」


「それでいい。どうせ時効だ……」


「……の心に」


「あ?」


「人の心に永遠に、そう、地獄までも付いて回る物を……何が時効だ!!!」(これを出す……!)

そう言いつつ、カバンから一冊の古いノートを取り出す


「何だそれは?」


「鈴木さんの日記……こんな事が書いてある。読むよ? 


『〇月〇日晴れ。今日は昼礼の日。新人の女性が入ってきた。60代だそうだ。ところが社長は、彼女は結婚していますので気を付けて下さいと言っていた。今までそんな事を言った事はなかったのだが……何でこんな事を言ったんだろう? 老化による脳の障害が発生したのか? 体も見るに堪えない程腐っていたが、脳も同等に腐っていた……と』


となww」


「♪ああ、そういえば社長そんな事言ってたよね。でも何で気を付けて下さいって言ったのかがどうしても分からなくて不思議に思っちゃったんだよね♬」

井村がその当時の事を覚えていたようだな。


「え……?」(こいつが何故そんな物を?)


「ここには地獄で鈴木さんから聞いた事と全く同じ事が書かれていた。他にも……〇月△日雨。やっと分かった……社長は俺だけにあの言葉を言ったんだ……何でここまでされるんだ? それに機械掃除の為、ペーパータオルを貰いに行ったが奥さん曰く『言われているから出せない』だそうだ。一体誰に? 社長? それとも会長? 彼女に指示が出せる人間と言ったらこの二人位だと思うが……」


「なんだそれ?」


「お前じゃないの? 指示を出したの」


「知らねえよ」


「え? 奥さんは言われているから出せないって言ったのよ? じゃあ会長?」


「そんな訳ねえよ。もう隠居してんだからよ」


「おかしいわねえ……鈴木さんが嘘をついたって事?」


「なあお前? 俺、そんな指示出したっけ?」


「あら? 出したじゃない」


「そ、そうだっけか? そうだっけ?? あれえ?」


「え? 鈴木さんは奥さんに言われているから出せないと言われて、それを指示したと思しき人物は知らないと言っている。そしてどちらも嘘を突いている様に見えない。どういう事?」


「うるさい! チビめ!」


「うーん、もういいや。で、この具体的に書かれている内容自体が証拠になる」


「こ、こんなの、いくらでも偽造出来るだろうが……」


「鈴木さんの筆跡で書いてある。それにこのカビ。彼の家で発生している物と照らし合わせば一致する。これまで偽造出来たって言うのか?」


「何?」


「でだ。ここで2月に書く悩みとかを書く書類等の筆跡と日記の筆跡を照らし合わせれば本物と断定出来る。ファイルされている提案書があるんだろ? それとこれを照らし合わせよう。それで符合しなければお前の無実が証明される」


「ググ……おい、鈴木の書いた書類全部シュレッダーにかけろ! 今すぐにだ!」


「はい!」


「おい! 逃げんのかよ……」


「やめなさい!」


「うっ!」

鬼熊殺が腕を引き、駆け出した社員を監査官7が止める。


「木林さん、今のは証拠隠滅の現行犯ですよ?」


「もう、足掻くなよオッサン……ぐすっ」


「なんだあ? 泣き出したぞこのチビw」


「ひ き ぎ わ ぐ ら い い さ ぎ よ く ち れ よ!!」


「ぐう」(なんだこのチビ……凄まじい威圧感……)

今アリサは木林を地獄に送りたいと真剣に思っている。


「認めろよ……てめえがやった全てを……」


「あ?」 


「てめえは世界で……いえ? 宇宙一最低の社長だ!」


「うるせえ! 最高の社長様だ! ん? まてよ? 地獄だと? あいつ地獄に居たってのか? んなもんある訳ねえ」


「実際私が行った。存在する」


「うう……まさかそんな……」


「落ちるまでは私もある訳ないと思っていたわ」


「そうか、だが鈴木は何故地獄に?」

ぬ? 


「ん? お前鈴木さんが地獄に落ちた事が信じられない様な表情ね?」


「ああ、あいついい子ちゃんだったからなあ。そんな奴が地獄に落ちたのがちょっとおかしいと思っただけよ。まあ、この俺様に立てついてある事ねえ事書き連ねた事が原因だろw」


「違う」


「あ?」


「自殺という時点で自分を傷つけた。自分を殺した罪で地獄に落ちたのよ。今もその罪を償ってる。お前にした事とは関係ない。彼がお前にやった事は間違いなく正しい」


「あの手紙のどこが正しいんだ!! 俺はあれを受け取った後むかついて奴をクビにする為にいじめ抜いたのによお。全く心が折れねえから手を焼いていたのよ」


「悪党に相応しいセリフ回しねえ……本当に社長なの?」


「あ? あいつバイトの癖に正義漢ぶっててキモイんよ。勝手に手紙なんぞ届けよってからに……あんな文章は俺には合わねえ。読んでいる内に蕁麻疹が出てきやがった。でまかせを信じてISOに馬鹿正直に話すわきゃねえだろ! そこが気に入らなくて手紙を受け取ってからは一点集中していじめたつもりだ。従業員にはバレねえ様になあ。だがおめえ……なんでここまでするんだ。もう終わった事だろ? しかも赤の他人の鈴木如きの命令で? 何でだ!」


「そう言えばお前、鈴木さんが内藤を注意していたと怒り狂ってたな?」


「ああ、違うぜ? あいつ、バイトの分際で社員を辞めさせたんだ」

ぬ?


「え?」


「でよ、その話を聞いた後、翌日見張ってたら噂通りすげえ剣幕だったからな。これはいけないと正義の心が疼いた訳だw」


「社員を辞めさせた? どういう事だ」


「あ? そんなの一々言わねえよ。だが初の任務達成に謎の高揚感が体中を駆け巡ったぜw」

どういう事だ? そんな話は鈴木から聞いていない……その説教を聞いていた社員をその剣幕で辞めるまでに至らしめたという事か? それに任務? トップである社長が誰かから請け負った任務を達成したという感じに聞こえるが……ぬう、分からぬ……


「今のこいつは出涸らしの枯れ木の産業廃棄物だ。そして例え10数年前新入社員として入ってきた当時を想像しても老人だ。その老人が何かしてくれる優秀な社員とは到底思えない。 何を見てこいつを社員にしようとしたんだ? こいつから一体何を感じたんだ。何故守った? 言え!」


「い、言われてみれば……」


「だろ? こんな危険人物を考えなしに入れたお前の責任なんだよ。私だったらバイトでも入れねえよ。で、バイトと馬鹿にしながらも鈴木さんが編み出した技術、無断で使ってたよな? 許可貰ったのか?」


「あ? まさかエンドミルのか? ああ、あれは俺が思い付いたんだよ。俺は有能だからな」


「嘘つくな! 鈴木さんのを見て盗んだんだろ!」 


「し、知らねえよ」


「鈴木さんは実際サンダーで削った時激しく出る火花が鬱陶しいとか、触った時に熱が出るから嫌だとかそういうのを感じてその対策でエンドミルを使用したんだぞ? これは経験しなくては絶対に分からない事だ。お前はそれをすっ飛ばし、イメージだけで思い付けたっていうのか? こんなバカなのに? コミュニケーション講座で迷路の問題を解けなかったこの馬鹿が? そんな噓、信じられる訳がない」


「俺だ!!」


「駄目だこりゃ。日本語が通じない……おい井村! 鈴木さんの机の下からサンダーで削った見本が一台だけ残ってる筈だ……それを持ってこい」


「♪何で僕が?♬」


「君も真実を知りたいでしょ? 早く持ってこい。お前だけは一目置いている」


「♪わ、分かったよ♬」

ダダダダ


「勝手にうちの社員使うんじゃねえよ!」


「ビビっているな。こんなもんじゃ済まさねえからな!!」


「何でお前に主導権を握られにゃならん!」


「格下だからだよ! 遥かにな!!」


「ガキが!」


「社長だからってやっていい事と悪い事の区別位つけろよ……」


「♪はあはあ、持ってきたよ♬」

井村が帰ってくる。


「よくやった。この部分見てみろ」


「♪サンダーで削った後だよね。始めは汎用課でやってたんだよ。でも急に自動班でやる様になったんだよね♬」


「井村! 余計な事を言うんじゃねえよ!」


「何故自動班に突然移動したんだ? 今までサンダーで削ってたんじゃないのか?」


「ぐう……」


「鈴木さんがフライス? で加工してたのをお前は見た。それからだ。しっかり聞いたぞ?」


「まさか……お前そこまで聞いていたのか? 本当に鈴木と地獄で……分かったよ。もう、生かして返す訳にはいかねえぞ?」


「おう? 公開殺人予告か? このシーンも撮影してんだぞ?」 


「しまった!」


「しまったじゃねえよ! 時短に繋がる技術ってのはな、金を払ってでも手に入れたい金の成る木だ。それをずっと使用して来たんだろ? 相当な利益になった筈だ。それを無断で盗んで何も謝礼を払わねえてめえは犯罪者なんだよ」


「俺の従業員の技術は俺達のもんだ……って言ってた! いけねっ」


「それはてめえの頭ン中で捻り出せた物だけを言うんだよ!」(いけね? 言ってた? 誰が? まあいいか)


「俺に思い付ける訳ねえだろ!」


「開き直ったwこの、寄生虫め……盗んだ技術で早く加工が終わる様になったってのに……その恩恵を受けてもそれでも尚、鈴木さんをいじめ続けた」


「あんなバイトだけに使わせるにゃ勿体ねえ技術だ。生意気に使ってやがったから俺がしっかり使ってやっただけだ。そっちの方が世界の役に立つ!」


「いいのか? 全部録音してるからな? お前は……社会的に終わる! 


【鈴木さんに代わってお仕置きよ!!】


覚悟する事ね」

そう言うと鬼熊殺金造が報告に来る。


「木林さん……タイムカードのデータと内藤の指示書の時間を照らし合わせてみたよ。そしたらアリサちゃんの言う通り内藤は700時間以上捏造していた事が確認出来た。これはどう考えても報告しないといけない内容だ。これは、


『継続的に一定時間内で同一の品物を作り続ける事が出来る』


という部分に違反してしまっています。これは重大な事です。それを報告せず12年以上継続している……これでは残念だけど継続は不可能だね」


「内藤! 信じてたのに!」


「貴方のせいでISO無くなるんだよ? 一人で勝手に我儘通して! 最低!」


「木林さん。もう俺ついていけねえよ。今日でここを辞める」


「何? おい、待て」


「木林君、年貢の納め時だ。そして内藤さん。君は捏造を隠してここまで働いたんだ。自分を良く見せようとして時間を誤魔化す事で出来る社員を演じていただけだ」


「多巣毛手ー手毛巣多ー」


「自分の出来る範囲でやれば良かっただけなんだ。見栄を張って実際出来ない事を書いたらどうなるか分からない年齢でもないだろう? 内藤君? 聞いているのか?」


「多巣毛手ー手毛巣多ー」


「あらあら焦げ茶の


【助けて発音装置】


になっちゃったわw……よし」

ポチポチ


「多巣毛手ー多巣毛手ー」

土田土田

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)


「多巣毛手ー手毛巣多ー多巣毛手ー手毛巣多ー多巣毛手ー手毛巣多ー多巣毛手ー手毛巣多ー」

土田土田土田土田土田

挿絵(By みてみん)


おお、また新手の文字数稼ぎが……! もっと続いてくれ……頼む……! 永遠に……!

挿絵(By みてみん)


「ちょっとお、五月蠅いわねえ。編集の邪魔よ……って、あ、あら? ちょっと!! 何?」

おや? 内藤の様子が……

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)


パタパタ 

目を疑う光景……


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


飛んで行って……しまいましたね。

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