Once back to 五鳴館?
3話を見て下さった方なら懐かしい面々に出会えます。
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「看板があるわ……この先血の池……ってえ? 2キロ先? 遠いい!!」
町から外へ出る
ザッザッザッザツ
「外は急に紫の虚無平原みたいなフィールドね。まあここは頭が重くはないわね。よし走るぞおおおおお」
ダダダダダ
ーーーーーーーーーー10分後ーーーーーーーーーー
「はあはあ着いたみたい疲れたあ」
どうやら地獄のフィールドはエンカウントしないようだ。
「ここか……池、真っ赤じゃん。この世の終わりって感じ……やっぱ良い物じゃないわね……早く探そうっと」
血の池地獄は、亡者の中でも主に女性が落ちる地獄とされている。と言ってもほとんど男女の区別もつかない程だが……
「こ、この辺はB型が多いわ。別の所に逃げなくっちゃ……苦しい」
すいすいー
「もう出して……この辺はA型が多く心地はいいのだけれども、血小板が凝固しすぎていて泳ぎにくいわ……苦しい」
すいすいー
「ハァハァ……池から出たらいつも髪の毛が固まっちゃうのよね。サラサラに戻るまでに30分は掛かっちゃうのよ? ほんと嫌になっちゃう……苦しい」
彼女達は黒く長い髪を生やしている。女性の亡者という事か? 当然亡者だからか腹が出ている。生前は細いウエストを誇っていた筈だが見る影もない。そして頭上には覚醒Ⅲという階級が輝いている。戦力で言えば330000位の戦力か。鈴木より強いな。しかし彼女達の言葉からそこまで苦しそうには見えないな。傍から見れば赤い水の中でのんきに泳いでいるだけである。流石に泳ぎ慣れているだけあって触れただけで血液型を判別していて、何故かB型の血に難癖をつけている。で、A型は彼女達に取って心地良いらしいな……ふう……なんか嫌な感じであるな。Bじゃ駄目なんすか? で、どうして駄目なんすか? 明確な理由を答えて下さいよお? 血液型占いに毒され過ぎじゃないんですかあ? 科学的根拠なんか無いんすよお? その何気ない発言で全B型の人間が悲しむセリフとなる事に気付かないんすかあ? ブラッドタイプハラスメント略してブラハラじゃないんすかあ?
「あれ? お嬢ちゃ……神裔……Ⅳ? な、何故……こんなお方がここに?」
「ねえ、何か怪しい奴がここ通らなかった?」
「一番怪しいと言ったらそれは……君よ……」
「どうしてそうなるの!」
「いつでも出られるじゃないの……その階級であれば……だのに何の為に残っているんです? ここからいつまで経っても出られない私達を見下す為なの? 性格悪くないですか?」
ほう?
「へえ! この階級だといつでも出られる? でも私そういう手続きしてないよ?」
「100万に到達すれば出られる筈よ」
「そんな……閻魔に手続きが必要って話じゃなかったっけ?」
「確かに必要ですけど」
「だよね……まあ確かに私は突然飛ばされた訳で、恐らくまだ肉体は滅びていない筈だけど」
「じゃあそのまま戻れますよ。あっそんなわけないわね。死体は既に火葬されていますから」
「え? そういえばそうだ……じゃあ急いで確認しないと……多分残ってる筈!」
「そうなの? 残っているなら戻れると思いますよ」
「そうだったんだ。分かった! 一刻も早く戻らないと! どうやればいいの?」
「出ようとイメージすればいいと思う。まだ出た事ないから詳しくは分からないわ。あなた250万でしょ? 150万も上回ってるのに……それだけあって肉体が残っているならもうここから出られるのよ」
「初めて知ったわ」
「どういう事なの……でも元の体がある場所を覚えていないと上手くいかないわよ」
「成程ね。それは大丈夫! でも戻るって具体的にはどうするのかしら? 出ようとイメージってどうするのかなあ」
「自分の体があった場所を思い出してみて? そこに飛ぶってイメージかしら? 分からないけどそんな感じだと思うわ」
「え? 確か……五鳴館の食堂だった筈……よーし! って待てよ? 蘇ったとしたらまた地獄に戻れるのかしら? まだやらなきゃいけないことがあるから……まあ、あいつに任せればいいか。よし、はああああああ」
ビュン
「あ、本当に飛んで行ったわ……あんな風に移動出来るのね……羨ましいわ」
ーーーーーーーーーーー上界 五鳴館 7月25日 9時ーーーーーーーーーーーー
「ふうふう……疲れるニイ」
前回死んでしまったアリサの死体をニイラが背負い運んでいる。
「はあ、死体ってこんなに重く感じるんだニイ……弟子を置いて先に行ってしまうなんて……あんた最低の師匠ニイ……何かね……僕もあんたの後を追いたくなってきている二イ……はぁ……」
全身に包帯を巻いた男が悲しそうに話している。彼はニイラ男。妖精の間の主だ。
後ろに背負った幼女の死体に向け、後ろ向きな発言をする。
「ニイラ君! そんな事を言うでないーリ! とりあえずベッドの上に寝かせて救急車を待つーリ」
こちらの女性はメデューリだ。メドゥーサそっくりの外見で、本の間の主。頭に沢山の蛇の生えたかつらを付けている。
シューン
「!?」
「戻ったー」
「うわ? アリリちゃん? 生き返った! 良かったリキ……」
ぺたぺた
アリサの頬を触るリキュバス。彼女はサキュバスの様な衣装を身に纏った妖服の間の主である。アリリと言っているがその理由は3話に書いてあるのでよろしくね。
「アリサ……アリサなのか? よくぞ無事で……すまなかった。許し……」
そして、自身の手で葬ってしまった彼女と不意の再会で動揺している彼は前話の真犯人。
フランケンだ。彼も涙を流している。警察にはこれから行く様だな。
「よし、いつでも自力で戻れる事が分かった! あっまだトイレ行っていないわね。司会みたいに漏らしたくないし、今の内に行っておこっと」
だだだだだ
「あっアリリちゃん? 待ってくれ説明を……しかし司会ってなんだあ?」
ぬう市田よ、アリサにそんな事を説明している暇はないであろう。もし詳しく知りたくば2話の
【司会の失態】
【司会の失態 後編】
を見てくれれば分かるので、よろしく頼むぞ……!
ーーーーーーーーーーーー5分後ーーーーーーーーーーーーー
「戻ったドフ?」
ドラキュラに似た衣装の男、ドフキュラもアリサを心配し声を掛ける。
「アリサちゃん、体に異変は無いのか?」
「ふう快便快便! ん? 大丈夫よ! じゃあまた行ってくる。ねえ! この体、また中身居なくなるけど必ず戻ってくるから! 涼しい所で保管しておいて? でね、必ず戻るけど、いつまでかかるか分からないから栄養補給は点滴でお願いね。戻る時連絡するから誰か携帯番号教えて?」
「じゃあ私の携帯を……090ー9999-9999だよお」
「覚えやすw じゃあ記憶っと。で、警察の一色高音って子に伝えて欲しい事があるの」
「な? 一体何を?」
「虎音が死んでいるからとりあえず腐らないように涼しい所に保管しておけって」
「いつまでだい?」
「なるべく早い方がいいわ。今すぐ電話して!」
「おうよ!」
ピピポ
警察に電話をし始める市田。
「もしもし? 虎音が死んでいるらしいよお? 彼女のマンションで倒れている筈だから涼しい場所に保管しておいてほしいよお……」
その言い方では悪戯電話に聞こえてもおかしくない気がするが……
「ありがとうね。もう一つ依頼があるの」
「な?」
「私ね、これから解決する事件が無ければ最優先で消さなきゃいけない工場があるの」
「何だカニ?」
カニ? が語尾の、玩具の間の主、オオカニ男もアリサの話をしっかりと聞く
「順番は変わっちゃうけど必ず潰すから市田さん?」
「な?」
「埼玉にある木林製作所って言う工場の場所を調べて、その紙を私の死体のポケットにでも入れておいてほしいの」
「木林製作所か? おうよ!」
「で、私ね、また地獄に戻らなきゃいけないの」
「何でリキ?」
「フンガー。あんたの得意技お願い」
「え? なんて言ったカニ?」
「あんたの最強の死の呪文を、ご主人様が所望しているって言っているの」
「ま?」
「何だと? な、何がご主人様だ……」
「あら? フンガー? まさかこの私に逆らうの?」
<殺> <意>
「ぐうっ!!」
怯むフンガー
「そんな……アリリちゃん狂っちゃったリキ」
「何を馬鹿な事を言うのだ……アリサ……その目をやめてくれ……頼む……許してくれ……またワシに罪を重ねろと言うのか?」
「怯えないで? 私は何もおかしい事を言っていないんだから。あ、その前にフンガー? これから警察に行こうとしてるよね?」
「当たり前でピカ」
ピカが語尾のこの男は花の間の主ネズニ男だ。どの部屋の主も名前も語尾もおかしいと思うが、れっきとした理由があるので3話を見ていない方は見てちょ。
「もういいのよ」
「何でドフ?」
「私は既に蘇っているのに警察に行く必要ないよ。で、これからは私の依頼よ」
「だけどまた死んじゃうリキ?」
「大丈夫なの! 復活出来るから。(本当に復活出来るかは分からないけど、戦力がトリガーな筈。だから何度でも行けると……思う)それよりも時間が無いの。だからお願いよ」
「そうか?」
「本人が許しているんだから遠慮なくお願い。だってフンガーに殴って殺されたとしても地獄にいけるとは限らないんだよ? でも死の呪文は確実に地獄に行ける」
果たしてそうだろうか? 試しに一度やってみては?
「う、うむ」
「それに外傷が残るし。でも死の呪文だと肉体と魂がはがれるだけで私の体には一切傷が付かないから死ぬ方法の中では最も優しい死に方なの」
「そこまで地獄に行きたいのか?」
「足手まといを救いに行かなきゃいけないのよ。早くしないと本体が腐っちゃうのよ」
おいおい、足手まといって……お主が連れてきたんじゃないか?
「わかった……恨むなよ……」
「望む所よ。みんな分かってると思うけどフンガーは無実よ?」
「おうよ!」
「さあ、いつでも来なさい」(と言ってもやっぱり怖いわよねえ。確かに死ぬのは2回目だとは言え、1回目は何も分からなかったし)
「行くぞ……ヌウ……」
スッ
突然アリサの前に向けた十字架を降ろすフンガー。
「どうしたの?」
「で、出来ぬ。ワシには出来ぬ……もう、見たくない……」
「あのね? これから私は虎音ちゃんを助けに行かなきゃいけないの」
「虎音?」
「鑑識の女の子よ。白衣を着た! 覚えていない?」
「あの娘がどうして地獄に?」
「今説明している時間は無いの。なるべく早く戻らないと」
「だが……」
「お願いよ。蘇ったら紹介してあげるから。虎ちゃんの命の恩人としてさ」
「アリサを再び殺す事が別の誰かを救える事となるという事か?」
「そう! フンガーに惚れちゃうかもよ? 結構いい女だし彼氏もいないって言ってた。生き返ったら付き合っちゃえばいいのよ。命の恩人だってしっかりと吹聴するから! そうなればフンガーにべた惚れすると思うよ」
「いや、ワシには別の人が……」
「え? 誰よ!」
「ぬ……」
「もしやメデュ―リさん? 一緒に本を読んでくれた人だもんね?」
「ぬう!」
「図星みたいねw分かり易いw」
「な? フフンケンがメデューリちゃんを? ま?」
「意外とお似合いかもしれぬドフ。私は2人を応援したいドフ!」
「や、止めてほしいーリ。ワシなど小学生の子を半殺しにした過去のある危険な女ーリ。ワシにはその……本があればそれでいいーリ」
「そうなのか」
肩を落とすフンガー。
「あーあ失恋しちゃった……かわいそ」
「い、いや。その恋人は……要らぬという訳ではないーリ。頼りになる人が居ればいいとは思うーリ。だが、ワシでいいのか?」
「そ、それは……」
おどおど
大男らしからぬ狼狽を見せるフンガー。ここは男らしくはっきりしてほしいものであるが……
「はっきりしない男でチュウ。じゃあ僕が立候補するでピカ」
「何でよ! お前は引っ込んでろ!」
だがネズニは相当賢いぞ? アリサを言い負かせた唯一の存在。現時点で最高の話術を持つ男だ。
「ネズニ君、君には譲れぬ」
「メデュちゃんには僕の血を引いた子供を沢山産んでもらうでチュウ」
「黙れええええ!」
「邪魔するなピカあああああああ!」
「ああ、ワシを求めて男達が争ってくれているーリ♡」
「良かったね。でも喧嘩は後にして! 早く戻らないと。まずは私を殺して? それが終わったらネズニを吹っ飛ばしてからメデュちゃんを抱きしめてあげて」
普通に凄い覚悟であるな。一度死を経験し、一回り成長してしまったのか。
「分かった」
再び十字架をアリサの前に向ける。もう、降ろす事は無いであろう……
「早く殺すーリ♡」
酷い言い草である。
「死神の蝦蟇振るいかぶる時に空間凍り付き、全ての生命失われるだろう。大いなる冥界の王よ、汝、十字架に封ぜられた力、今ここで開放した。これを標とし、この地に彼の神遣わせよ! 我は此処に……我は……此処に!! この罪深き命、贄と捧げる! 我は望む。逆さ十字架の導きの下に彼の魂、未来永劫、冥府の淵底に繋ぎ留めよ!! 出でよ、死を、司りし神!!!」
【アルヴァデカ・ダーヴァ】」
ゴゴゴゴゴ
ズズズズズ
死神がカエルを持って登場。
そして……
ぺローン
「うっ」
パタ……
「いつ見ても良い物ではないーリ」
「ひいいカニ……」
「私は慣れてしまったドフ」
「冷静でチュウ」
「アリリちゃーん……寂しいリキ」
「アリサ……そなた一体……腕の震えが止まらぬ……暫く何も出来ん……」
ふらふら
どたっ
大量のMPを消費した筈だからな。わかっていてもアリサを殺した事には変わりない。相当な心労がある筈。ゆっくり眠ってくれ。
「仕方ないーリ……とにかくまた会えると言っていたーリ。涙は流すなーリ……くすん」
「ブル……戻って来るって言ってたよね? ブル」
「はいドフ。アリリちゃんは何かしらの能力をあちらで手に入れ、更にそちらの方でも事件に巻き込まれていてそれを解決しようと戻った? な、なんて……行動力ドフ……これが、若さドフ……」
「アリリ最高峰のお師匠様なら地獄の問題もすぐに解決して戻って来るニイ」
「じゃあこの死体? 抜け殻はどうするドフ?」
「いつ戻って来るかは分からないけど本人の言う通り、1~2日はこの屋敷の涼しい所に寝かせておけばいいニイ。点滴を病院から貰ってこなくてはいけないニイ。冷蔵庫の中に保存でもいいかもしれないニイ。それ以上かかる様だったら冷凍保存のために病院って事にするニイ」
「成程フ」
「あっドフキュラ君! 語尾略は……はあ、もうこんな事言うのはよそうかなあ……」
ほう、市田も自分のおかしさに気付いた様だな。成長が見られる。
ーーーーーーーーーー虚無平原ーーーーーーーーーー
「戻ったよ……ってまたここかよ……めんどくさーい……あれ? でもここ地獄の一丁目の扉の前じゃない? しかも何故か開いてる! ラッキー」
とことこ
ーーーーーーーーー10分後ーーーーーーーーーー
「ああー怖かった……」
閻魔の屋敷前に戻るアリサ。死の呪文を食らう前よりも怯えている。螺旋階段を降りて来たのだろうな。
「あっアリサさんお帰りなさい。どうでした?」
「血の池の亡者から現世に帰れる事を教えてもらったのよ。で、すぐに戻って、死体の保管をちゃんとお願いして置いたわ」
「ああ、遂に気付いてしまわれたのですね?」
「そうよ! 石四つ集めたのは全く無意味だったよ? 確かに死体が残ってる事は言わなかったけど、それは私に確認するべき内容じゃない? それであるって分かればそのまま帰るがいいって戻り方を教えてくれるだけでよかったのに……骨折り損のくたびれ儲けよ……あれさ、暗い所で黒く光っているから全く分からなかった。咄嗟のひらめきでなんかいい感じの奴をやったおかげで見つける事が出来たんだけど」
「いい感じの奴ですか? それは一体?」
「うーん……覚えていないのよね」
「まあ恐らく光の魔法を使い見つけ出されたのでしょう? それが無ければ見つかりません」
「恐らくそうだと思うけど、その辺りがすっぽりすっぽり抜け落ちてねえ」
「はあ……どういう事でしょう? お店でアタリテラスのコトダマを購入されたのでしょう? あれが無ければ絶対に見つかりません。100万に到達した亡者の最後の謎解きになりますね。あれは亡者の最終ミッション。100万に到達したときに脳内にアナウンスされます。
【虚無平原にて増魔石を4つもて】
とね。実際は戦力100万とアタリテラスの代金の2万ヘルとそれを何回か使えるMPが必要です。最大MPは料理などで上昇します。それらを上手く使いこなしたら卒業可能という事です」
「そうだったのね。生まれ変わるのも苦労するのねえ」
「そうなんです。増魔石は、虚無平原の床と全く同じ色なのです。ですが光に当てるとそれを吸収し黒い光沢を帯びます。で、光を放つ訳です。それを4つ見つけられなければどんなに戦力が100万に到達していようが人間には転生できません。逆に100万以下でも見つける事は出来ますがミッションを聞いていなければ見つけても正に路傍の石です」
「そう言えば光を当てると虚無平原の色と微妙に違う色で光っていたね。はっきりとは見えなかったけど。これを見極めて4つ集めるのは結構難しくない?」
「人に生まれ変わるという事はそれほど大変なのですよ。まあ人になれない場合もありますが……」
「え? 100万貯めても?」
「天国に上った人は確実に人に生まれ変われます。ですが地獄での卒業は人間以外にも生まれ変わる可能性がある訳です」
「そうなのね……」
「それに書庫にも虚無平原に関するヒントとなる書が幾つか収められていますので、難しくはないと思いますね」
「ふーん。でも私、アタリテラスなんて買ってはいないよ」
「え? どうやって明るくしたのでしょう?」
「それが分からないから苦労してるんでしょ!」
「そうですか……まあ実際石がある訳ですから使った事は明白ですが……それをお忘れになるなんておかしな話です」
「もう! 手続きって何なのよ! あの閻魔め! 何で石を4つも集めさせたんだよ!」
「それは生まれ変わる時の話ですよ。その4つの石を持ってきたら私達の様に肉体を失った者でも新しい肉体に転生できる材料という事でして……これは蘇生」
「ああ、私は死の呪文で死んだって事を知らなかったから新しい肉体の為に集めさせたのか」
「でしょうね」
「まあこの話は終わりにしましょう。なんか頭がおかしくなる……でもどうやって閻魔を殺したのかしら? 強いのに」
「彼は移動する事がほとんどできません」
「移動が……歩けないって事?」
「はい。ゆっくり歩く事は出来ますが……素早さがとても低い方です」
「へえ」
「食事する事も排便も何もする必要はありません。ずっとあの席で来る日も来る日も業務をなされているのです」
「トイレも行かないって便利だけど鈍いのは辛いね」
「ですから、背後から忍び寄られれば逃げる事も出来ないでしょうね」
「彼はあの屋敷内しか思い出が無いって事?
「生前の思い出はあると思います。ですが本人も忘れているのではないでしょうか? そもそも閻魔は、人類で一番最初に亡くなった人間がその役職に就くと言われており、それから永遠とも言える長い間たった一人で死者の出処進退を携っています」
「頼まれてもやりたくない仕事ね……寿命もないって事か……好きな本とかずっと読めるならいいけど仕事漬けでしょ?」(そういえば彼、なんか後ろ向きな発言が所々に……何もかもが嫌になったような……そんな感じだったよね)
「そうです。ですが死者は毎日やってくる。皆その表情は俯き加減で元気がない者ばかり」
「しかし外傷はなかったって言ってた様な? どうやって死んだの……まあいいか……あ、質問なんだけど、魂がない間って年を取っちゃうの? それとも取らない?」
「取らないと思います。血液が廻らず、細胞分裂も行いませんし、魂を失った肉体は腐敗というフェーズに入っていますから」
「へえ、なんか得した気分ね! でも、腐って行っちゃうのか……やだなあ……そういえば血の池の亡者も神裔Ⅳでここに留まっている私に驚いていたのよね。と、言う事は……亡者は王者まで育って増魔石を揃えれば生まれ変われるって事?」
「そうです。まあ手続きは必要ですけど。新しい肉体に相応しい魂かどうかしっかりと検査します」
「この階級まで居る人は珍しいんだね?」
「そうですね。ですが恩恵もあります」
「どんな?」
「ここで更なる高みを目指せば、人間に生まれ変わる確率も上昇し、更に上流の家庭に生まれる事が出来るのです。一般的に親ガチャ成功と言われる子は、ここで沢山修業した成果とも言えます。現時点で最高位の
【帝・福音Ⅴ】
までともなると石油王の元に生まれる事が出来るとか」
「へえ、転生したらイスラムだった件についてって感じね」(鈴木さんが言っていた、社長が苦労したって言うのはそういう事か……でも、奴は許せない……)
「ってか戻ってこられたんですか? そのまま現世に帰らないで良いのですか?」
「当たり前でしょ! 死の呪文をもう一度食らって舞い戻って来たわ。虎ちゃんを置き去りにする程私は薄情じゃないわ。帰るのは虎ちゃんと一緒よ!」
しかしその……実際上界に戻らず電話で解決できなかったか? 死の呪文を食らうのは辛かったろうに。まあアリサは閻魔が死ぬという事件を放っては置けないか……
「そうでしたね。アリサさんが呼んだまま自分だけ帰ってしまえば虎音さんはずっと留まる事になります」
「魂の力、魂力を神裔Ⅳまで育てればいいんじゃない」
「何ですか魂力って?」
「私がたった今この地獄に広めようと考案された言葉だけど? 勿論使うよね?」
「ええええ?」
「魂力よ! 肝に銘じときなさい。それとも王者のあんたが逆らえるの?」
「分かりましたよ……ですが魂の状態でそこまで魂力を普通に育てるのは相当時間が……大きな功績を立てれば1万とか上がりますけれど、250万ですからねえ」
「まあ最低100万でもいいんでしょ? 時間掛かるから駄目かあ……じゃあ虎ちゃんはどうやって帰すのよ」
「一つは閻魔様に戻してもらうか、もう一つは地獄でしか取れない6種類の野草のスープをこの地獄最高位にして閻魔様の片腕でもある阿傍羅刹様に飲ませ、使用して貰わないといけません」
「阿傍羅刹はどこにいるの?」
「連絡先は知っていますので呼び出す事は可能です」
「分かったじゃあ取って来るね。その野草? 名前は何?」
「血の池周りに生えている悪魔セリ、針の山周辺にしか生えない包丁ナズナ、賽の河原に生える亡霊ハコベラ、釜茹で所付近の殺人スズナ、焦熱地獄の獄炎スズシロに、八寒地獄の氷結ゴギョウを混ぜたスープです」
「うう……結構覚えるんだねえ。何か書くものある? 無いよね?」
「はい」
「じゃあさっき買った本に書き込むか……よし!」
「本来そういう使い方ではないんですがね」
「この本の内容なんて私に取ってはほとんど要らない情報よ? この余白の方が役に立つわ。でもこの野草? 春の七草のパクりじゃん。平気で人間界の物をパクるのね。恥ずかしくないの?」
「ええええ? もともと地獄に生えている物で、パクリとかそんな事は無いと思いますよお」
「てか六草ね。仏の座が無いわ」
「ああ、そうですね。でも地獄に仏の座はダメでしょう。それに7って縁起が良すぎます。その点6はサタンの数字ですからね。こちらでは縁起が良いのです」
「ああ確かに。でも変な名前ねえ。その六草は健康にいいの? 殺人ナズナってすごいパワーワードw」
「地獄でも健康な薬草ですよ」
「全部必要で、6か所周らないといけないのかあ。面倒ねえ」
「私はここに居ますのでお願いします」
「うん。じゃあまずは血の池に言って見るか」
「お願いします!」
ーーーーーーーーーーー血の池ーーーーーーーーーーー
「やっと着いたわ。はあはあ」
「あっさっきの神様! 戻れたんですよね? 何で戻って来たんですう?」
「いいの。ちょっと用事残っててね。ねえ、この辺りに悪魔セリって生えてない? 教えて?」
「ああ、あそこに生えてるやつですよ。あれお茶にすると良いんですよ! とても美味しいお茶になります!」
「へえじゃあ私も飲んで見よっと。阿傍羅刹用の他に自分用も必要だから二本採取っと♪」
むしり……
「え? なにこれ?」
「どうしました?」
「金属? 滅茶苦茶固いんだけど」
「まあただのセリじゃないですよ。悪魔って冠しているくらいですし」
「これが必要なのよ。どうすれば取れるの?」
「これは【豪傑】クラスの鬼に頼らなくては取れません」
「ちな戦力は?」
「豪傑Ⅰは390000位でⅤは490000位です」
「私より低いじゃんⅤでも5分の1以下」
「ですがあなたでも取れないと言う事は無理だという事でしょう。貴女は現在魂の状態です。お強さは精神的に250万と言う事です。勿論精神攻撃はお強いですが、物理的、筋力的には弱いと言う事です。
鬼は知性こそないけれど、腕力は物凄いのです」
「そういう事ね」
「ですが鬼は地獄の閻魔直轄の公務員みたいな物で、それを味方に引き付けるのは結構大変かもしれませんね」
「それなら大丈夫よ」
「どういうことです?」
「あんたはまだ知らないと思うけどその閻魔が今死んじゃって、今怪しい奴を聞き込みしているって事。こっちの方からブゴオオオオオオオって大きい音がしたからここに来たんだ」
「ええええええ? 神王4の閻魔様がアアアアアア?」
「そうみたい。現世から呼んだ鑑識も死んだと断定していたし間違いないわ……因みに、神王って戦力どれ位か分かる?」
因みに脈を取ってはいない。もう一度言う。脈は取っていない。
「数十億とも数百億とも言われています。力もあり魔力も優れているそうですよ。私たちがどんなに頑張ってもその地位に届く事は無いでしょう」
「すご! 桁違いじゃん。でも直接会ったけどそんな感じしなかったんだけどなあ」
「え?」
「なんか後ろ向きな発言ばっかりしていたのよねえ。威厳も何もなかったわ」
「変ですね。そんな事一度も無かった筈ですよ。まあ貴女様もかなりの戦力ですからそれ程威圧感を受けなかったのでしょうね」
「そうなのかなあ。まあそんなすごい人が死んだって事だから、その手段も知りたいし、部下? の鬼も喜んで協力すると思うわ」
「そうですね。じゃあ鬼のいる場所を教えしますね」
「そうとは限らないオニ」
「え?」
「お、お前は!」




