死んでしまった鑑識
今回新キャラが2人も登場するぜっ!
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「そうよ! もし現世と連絡出来る手段があれば現世の警察、特に鑑識をここに連れてくるのよ! 出来そう? これも閻魔様以外出来ない?」
「現世というかここでは上界……」
「うるさい。細かい事はいいの!」
「そ、そうですね、一人なら……ですがそれですと地獄から勝手に一人の人間を……」
「これは地獄始まって以来の出来事でしょ? 迷ってる暇なんかないよ。これはプロの犯行だよ? 対抗するにはプロを呼ばなきゃ!」
「わ、分かりました……死神様に連絡してみます」
ピポパ……
そう言うと、電話の様な物を取り出し耳に当てる。携帯か?
「へえ? 死神? 地獄にも携帯あるんだ!」
「あっ今日大丈夫でしょうか? これから言う所にちょっとお願い出来ませんか? はい、はい、そうです。では後程……」
ほう……と、いう事は……ご冥福をお祈りいたそう。
「電話出来るの? 私、虎ちゃんの電話番号を暗記しているの。その記憶を頼りに電話してくれる?」
「虎ちゃん? 電話する必要あります?」
「一応ね」(ここにいきなり連れてこられても混乱しちゃうもんね)
「はい。ちなみに虎ちゃんという方の正式名称は分かります?」
「うつくしいくすりで美薬。で、ネコ科の虎に音楽の音で虎音。これで美薬虎音よ」
ぬ? アリサよどこで漢字まで知ったのだ? 確か口頭で紹介こそされたが彼女の漢字まで分かるのか?
「馬鹿ね……市田さんの死亡診断書の作成者の所にフルネーム書いてあったでしょ?」
ぬ、そうだった……ぬ? まさか……今のセリフ、私に?
「そうよ? 分かったね?」
「だ、誰と話しているんです?」
「ば語り部とよ」
そういえば聞こえていたのであった……! ここ地獄では私の声が筒抜けなのであった……あまりに反応が無い物ですっかり忘れていたわ。故に彼女がつっこまない様な真剣な語りに変更しなくてはならぬな……だが、私がボケを封印してしまったら、この小説の唯一のお笑い要素が消え、ギャグミステリーと銘打っているにも関わらず一切楽しい小説では無くなってしまうが……それでも良いのであろうか?
「何でしょうかそれ? まあいいでしょう。美薬虎音ですね? 電話番号は?」
「それなんて言うの? 欲しい!」
「Hellphoneヘル フォンです。これは地獄専用アイテムですよ?」
「残念ね」
「では電話番号を教えてください」
「あ、そうね。090-3891-0みやくと×××よ」
「了解です……02の……090」
ピポピ……
地獄内だけではなく現世までも繋ぐ事の出来るHellphoneで虎音の携帯に連絡する。
「もしもし、私は地獄から今お電話しています。え? 違いますよ? 真面目な話です……はい、今この瞬間をもってしてその……はい、そういう事ですのでこれから死神様をそちらに派遣致しまして……ええ……そうです。驚く必要はありません。人間いずれ全員……そうです。はい……あなたの魂のみを引き寄せますので……ええ、出来れば誰でも発見しやすい所に体を残して置いて下さい。そうすれば葬儀の準備も早く終わり……え? 拒否権はその……ございません……」
フム、断片的であるが恐ろしい内容が受付の鬼から語られている。そう、言わば物腰柔らかな口調での死刑宣告。
こちら側のみの発言だけ切り取っても理不尽な内容と分かる。そしてその合間。虎音が何を話してるかも大体想像が付く。これからその運命を強制的に中断され、地獄に来る事になってしまう。気の毒であるな……そして再び死神に連絡をする受付。
「もしもし死神様? 場所は……ですので、で……だから……10分で行けますか? え? そうですか。助かります! 今すぐお願いします」
地獄にも携帯が普及している様だ。不自然な鉄塔が一丁目にあったが、あれはもしやそれに電波を供給する目的で建てられたタワーなのだろうか?
ーーーーーーーー10分後ーーーーーーーー
「そろそろ来るかな?」
受付の言葉に反応したかの如く、上空に黒い靄が出来始める。
もくもく、シューン、ヒューン フワフワ トッ。
虎音の魂と共に死神が降りてくる。頭上には帝・賢者Ⅳの階級が輝いている。これはアリサより5階級上の存在だ……凄まじい黒きオーラに包まれている。そしてその両腕で虎音はお姫様抱っこをされているな。気を失っているが、虎音のあの髪型は魂になっても反映されている故間違いようが無い。
そして、恐らく彼女の人生で最初で最後のお姫様抱っこだ。だが最愛の男のそれでないのが玉に瑕である。まあ美しい白い手をした死の神様だ。滅多に味わえる経験ではない。その瞬間を満喫して欲しい。そして、虎音を優しく地面に立たせる。頭上の階級は初心Ⅰだ。やはりアリサは特別なのか? しかし白衣を着ていた筈の彼女。服装が着物に変わっているな。だがアリサよりは貧相な着物だ。もしや着替えさせたのは死神なのだろうか?
「お疲れ様です! 早いです!」
「お、あれが死神? かっけえ! 思った以上に黒いねえ」
「え? え? ここどこガル?」
目を覚まし、動揺する虎音。まあ仕方ないな。
「あら? 虎ちゃんも私と同じ着物着てる? でもその烏帽子、私は金だけど、茶色じゃない……あれ? 待てよ? おい死神!」
ぬ? アリサ! 神を呼び捨てとは……危険ではないか?
「な ん だ?」
重低音の声が響き渡る。威厳のある響きだ。余りの荘厳さに、文字と文字の間にスペースを挟み、その威厳を表現しているな。
「ちょっと何をなさっているのです! 相手はあの死神様ですよ! 呼び捨てはいけません!」
「い ま ち い さ い ち い さ い た ま し い が こ ろ が っ て い る あ た り か ら な に か さ け び ご え が き こ え た ぞ」
「うっ! 小さいは余計よ! それに転がってもいないよ!!」
「で は そ れ が お お き い と む ね を は っ て い え る の か !」
「ひいガル」
虎音が耳元に響く重低音に怯み始める。
「くっ! で、でも怯むもんか! お前がこの娘の衣装を着替えさせたのか?」
「ああー! 死神様をお前呼ばわりなんて駄目ですよー」
「た し か に わ た し が や っ た」
「その時この子を脱がせて着物を着せたんだろ? あっ! 私もそうだよ? 乙女の柔肌を見たんだろ? この変態死神!!」
「い か に も で も へ ん た い で は な い」
「やっぱり見たんだ! じゃあ間違いなく変態だよ! 無抵抗の乙女を脱がして……最低!!」
「そ れ は し か た の な い こ と だ」
「ほら変態だ! 女の子が来るたび大喜びなんだろ? この淫乱変態最低変態死神!」
「だ が」
「え?」
「わ た し に ☆せ い よ く☆ は な い」
死神様……☆せ い よ く☆なんて言っちゃダメだよ……
「そう言えばそうだった……全身骨じゃ悪さ出来なかったわ……それに眼球も無いよね。それじゃ楽しめないか……ごめんね」
「わ か れ ば い い」
「因みに男も脱がしているのよねえ?」
「し て い な い」
「え? 何で?」
「き た な い も の は み た く な い」
「は? って事は女の子限定かよ……見たくないって……目があったのかよ。で、汚い物
【は】
見たくないって言ってたぞ? って事は見たい物もあるんだよな? お前今、白状したんだぞ! これは、こう言い換えられる。
【男の裸は汚いから見たくない=女の裸はエロいから見たい】
ってな! お前女の子の体だけには興味があるのか? じゃあやっぱり変態なんじゃない? おい!」
エロいなんて言っちゃダメだよ!
「へ ん た い で は な い だ が こ れ か ら は し た ぎ は は ず さ ず に き せ か え る と ち か う で は さ ら ば だ」
ずううううん
死神は消えていった。そして置き去りにされた虎音はポカーンとしている。しかし句読点の大切さが良く分かるキャラクターであるな……もう登場してほしくないな……
「おい! 今、下着を外さないって言ったのか? 本来下着は外さなくても良かったのかよ! なのに全裸にしていたならやっぱり変態じゃないか! この変態!!」
「ま、まあその死神様にもそれしか楽しみが無いと思うので許してあげて下さい……」
「駄目よ! そんな事許したらこの小説が変態小説になっちまう」
「ですがこれからは外さないと誓って下さったではありませんか! 地獄が始まってからずっと続いていた
【下着を外した上でのお着替え】
を、あなた様の一言で、
【下着を外さずお着替え】
に変更して下さるまでに至った訳ですから」
「でもそんな自己申告信用出来ないよ。死神と二人きりなのよ? 誰も見てないし、無抵抗女子の魂を脱がし放題じゃん!」
「死神様は嘘突きませんよ! それにこういうケースはあまり無い訳でして」
「本当に?」
「はい! 魂は本来装備出来ません」
「あ、そういえば……でも私も装備してるよ?」
「それはあなたは
【周回ボーナス】
を得ているから。そしてその鑑識さんもね。これって結構すごい事なんですよ?」
ぬ?
「え? え? 詳しく」
「今はその説明は致しません」
「ええええええ? 知りたいいいい」
「我慢して下さい。今閻魔様が大変なんですよ? で、それ程に彼の言葉は重いのです。嘘がバレれば舌を抜かれてしまいます」
「あいつ舌無いよ?」
「ええ? 舌にも骨はありますよ。舌骨と言いまして、小さいけれどあるのですよ」
「小さいは余計よ!」
「あっ! えっと……大きい舌の骨があるんですよ」
「確かに喉の下に舌骨という名の骨は存在する。でも名前ばかりで舌の中にある骨ではなく、関節がない唯一の骨で、他の骨とも繋がってないのよ? それがもし大きいと、顎の下が太くなっちゃうわよ」
「何でそんなに詳しいんです? うう……ですがそれを代わりに抜かれてしまうのです」
「へえ、なら良いわ」
良いのだろうか?
「それに地獄でルール変更など今まで一度たりともなかったのです。それをアリサさんの言葉で変えたんですよ? ですからそれを誇りに思って下さ……え? しょ、小説ですか? 一体それは?」
「全然知らないわ。でもその電話いいわよね」
チラチラ
「成程、使ってみたいと?」
「はいっ!!」
「仕方ないですね。ではお貸しします」
「マジでええええ? やったああ」
※Hellphoneを一時的にお借りした※
「使い方は日本に電話したい場合は02を押してから電話番号を入力して下さい。で、もしも地獄内で連絡したい場合はそのまま電話番号を押していただければオッケーです」
「はいっ!」
すると?
「ガルウウ……蛙の舌が伸びてきたよおおお……はっ……無いガル? よかったガル……あれ? こ、ここは何処ガル? ベッドの中にいたのに? ひいいガル……江戸ガル? 鬼が居るガル……」
キョロキョロ バタッ
今しがた状況を飲み込んだ虎音が取り乱す。可哀想に……色々な事が一度に彼女の目に飛び込んで来たせいか。暫く辺りを見渡し悲鳴を上げるなり再び、地面に倒れる。
「あらお昼寝? まだ寝る時間じゃないわよ?」
アリサよ……本気で言っているのか? 死して尚、冷徹な幼女である。虎音はまだギリ20代。ここに来るには早すぎる……
「大丈夫ですか? しっかりと説明して十分理解してくれたと思ったのに気絶するなんて……頼りないです」
「検死の腕は確かだから!」(虎ちゃんも蛙の舌で殺られた様ね。と言う事は肉体に損傷はない筈……よし)
そうか?
「うーん……」
だが、意外に早く目が覚める。
「おはよう」
「あ、貴女様は? ア、アリリちゃん? 良かったガル……知ってる人がいるガル? 嬉しいガル」
「ん? ああ、懐かしい響きね。確かに私に関する名前だからどんな響きでも可愛いし、ずっと聞き続けたいとも思うんだけど、それは3話での話ね。今は4話。アリサ神裔Ⅳ様と言わないと駄目よ?」
「アリサ神裔Ⅳ様? 何で同じ人間がそこまで呼び方がコロコロ変わるガル?」
「いいの」
「面倒ガル……ええと? アリサ神裔Ⅳ様ちゃんはどこかここが若るガル? この着物いつの間に来ているガル? 鹿も白衣が泣くなってるガルう」
半狂乱状態。若る→分る。来ている→着ている。鹿も→しかも。泣くなってる→無くなってる。おいおいww4回も噛んでしまっているぞ? まあ稼げたので問題ないのだが……こんな状態でまともな検死が出来るのか?
「ああ、今何処かって聞きたいんでしょう? でもそんな事は教えない」
「どうしてガル?」
「そこに居る死体を検死して貰えば戻れるからさ。そうよね?」
「え? あ、あの……」
「ん?」
「何か嫌な予感ガル……」
「そうですが、戻す力があるのは閻魔様でしてその……」
「え? 戻れないの? 話が違うじゃない?」
「い、いやその……呼ぶ方法はあるかと聞かれたのでその方法はありますとは言いました。ですが、戻る時の話は聞かれませんでしたよ?」
「た、確かにそうだけど……」
「で、出来ませ……ん」
「ええ……」
「え? え? 何? 何か嫌な会話が聞こえたガルアーアーアー」
耳を塞ぎアーアー言い出す始末。
「現実逃避しないで……君はもう……」
「やっぱり……も、戻れないガル? そんな……まだ彼氏も出来ていないガル……ここで余生を過ごすガル? 嫌ガル……ワオーン ワオーン」
虎なのか狼なのか? 遠吠えする虎音。
「呼ぶ時と同じ方法で現世に死神に持って行って貰えばいいんじゃないの?」
「死神は終わらせる事は簡単ですが、復活させる力は……」
「えー」
「まあ方法が無いとは言えないのです。一つだけあります」
「どんな?」
「も、戻れるガル?」
「はい、責任もってお返ししますが、それまでここで暮らしていただきます」
「分かったガル。この人は閻魔ガル?」
「うん」
「って事はここは……」
「地獄ね」
「やっぱりガル……とりあえず検視を開始するガル」
何と言うか……この状況に慣れるのが速いな。もう少し動揺してもおかしくないだろう?
「お願い。虎ちゃんしかいないのよ」
「任せるガル」
じー
虎音は突然プロの検死官の顔になる。
「ムム……これは、死んでるガル」
「早! 死因は?」
「呼吸が停止しているガル。一目で分かるガル」
ほほう。中々冷静に検死しているな。だがお約束の様に脈を取っておらぬな。まあ彼女の名前から絶対に取る事は無い。そのお陰で3話まで死んだと思われた人間全員が生きていると言うミスリードを行えた訳だが……まあ流石に4回も同じ事が起こる訳もない。しかも今回は神だからな。間違いなく確実に死んでいるのだろうな。
「やっぱり死んで……一体どうすればいいんだ……」
「閻魔様の屋敷に不審な人物がいなかったか聞き込みしてくるかな」
「アリサさんお願いします」
「はいっ!」
ふむ、閻魔の謎の死の結果、虎音を召喚し
【もう少しだけ続くんじゃ】
状態になってしまった様である。
「じゃあここは保存して一旦書類作成をするガル。ここは誰も入れない様にしておくガル?」
「はいっ」
ガチャン
一方アリサは屋敷付近の住民に聞き込みを始める。一人の魂が浮いていたので質問する。
「ねえ、誰かこの屋敷から急いで出て行った怪しい奴見なかった?」
「ああ、なんか、血の池方面にこの屋敷から走っていた奴がいたなあ」
「血の池かあ……恐そう」
「ブゴオオオオオオオオ」
「ひい?」
「何だ今の音は? 屋敷から? いや、その先の血の池方面じゃないか? 初めてだぞあんな音……」
その爆音は屋敷の先から聞こえた様だ。丁度その先には血の池があるらしい。だが……
「本当? じゃあ行って見る」
ダダダダダ
おいおい、もっと他に聞かなくていいのか? 一つだけしか情報を得ていないぞ?
「俺の良いとこを言えー」
ぬ?
「俺のいいとこ3つ言えー」
血の池に向かう途中通りかかった長屋から亡者の声が聞こえる。相当野太い声だ。
「一体何よ……」
「無ければ2つ程度でもいいー」
「俺のいいとこを言えー」
「俺のいいとこ6つ言えー」
「無ければ5つ程度でもいいー」
「総量が3増えたw次に一つ下げたけど騙されないわよwこれ、早いところ言わないとどんどん質が悪くなる奴だwちょっと何なのこの声……」
長屋を覗き込む。開いている。
「俺の……」
中に入ると一際大きい亡者が、子分の亡者達にその歌を歌っていた。
「ちょっと」
「何だー?」
亡者の頭には帝・露払いⅤの階級が。これはアリサより6段階上の階級だ。あの死神よりも強いぞ! 戦力的には3218700を超えると名乗れる階級。しかし喋り方はのんびりとしているな。
「こんにちは私はアリサ。さっきの歌何?」(私よりも強い奴がいるなんて……しっかしでっぷりしてるねえ……ドラゴンキューブの再長老様じゃん……階級が上がれば人間らしくなるんじゃなかったの?)
「俺は荒熊だあ」
「あ、あらくまさん? 苗字?」(でっぷりとしたゴリラみたいな顔して熊を名乗るなよ……)
「そうだあ荒熊龍星だあ……俺は讃えられたいんだあ。アリサ、俺の良いところを言ってくれ」
「えー」(何もないよ……でも龍星って……かっこよすぎるじゃん。その姿には合ってないわよ)
「たった一つでもいい」
「うーん……沢山の栄養をおなかに蓄えし栄養英雄様って所かしら?」
「デブだと言いたいんだあ?」
ゴオオオ
闘気が膨れ上がる。そこら辺の亡者とは思えないほどの熱気と重圧感。アリサですら死の恐怖を感じる闘気。
「きゃああ! ち、違うって」(これの正解何よ……)
「俺のいいとこを言えー」
「じゃあその階級普通じゃなれないわ! 私よりも強いし! 無敵じゃない?」
「ウヒヒヒヒ」
「あっ! これで良いのか……ち、因みにどうやってそこまで登り詰めたのですか?」
アリサの珍しい敬語。
「ミッション中にアレを獲得した」
「レアアイテムですか?」
「うんうん。1万分の1の確率で当たったんだ」
「すごいです! どうやってその確率を?」
「メニューのミッションで確認できるだあ」
「そうなんですか。その腕輪ですね?」
「そうだあ。装備していると、親密度が1万を超えた友人の上昇戦力の半分が俺の所に入るんだあ」
ぬう?
「えええ?」(親密度? 初耳だわ)
「親密度が良く分かりませんが、例えば120上昇した親密度1万以上の友人が例えどこに居ようともその瞬間にあなたも60上昇すると言う感じでしょうか?」
「飲み込みが早いな。そうだあ。だから俺はここで座っているだけで半永久的に成長出来るんだあ」
「でもその友人もいずれ卒業して行くんでしょう?」
「そうなれば新しい友人を増やすだけだ。それに卒業しにくい様工夫してる」
「へえ、どんなです?」
「責め苦は苦しいから行くな! 日課だけやって後は俺の歌を聞きに来い! そうすれば上手くいく!」
「え?」
「そう言えばいい」
「どういう事でしょう?」
「簡単だ。友人になった奴は責め苦に行かず自分の見つけた上昇条件だけやらせる。するとどうなるか?」
「まさか……ヘルが入らない?」
「そうだあ、戦力だけ上がり、装備などを購入するのに必要なヘルが稼げないんだあ」
「装備するだけでも戦力が上昇する。結果卒業が早まる訳だ。ならば戦力だけ上がる日課のみをやらせ、緩やかに卒業させる」
「ヒヒヒイイwそうだあ」
「成程ねえ。で、歌は?」
「この歌を歌わせる事で一緒にいる間は親密度が上がる。この集いは友人を増やす為の催しだあ」
「いいとこを言えって言ってるけど、それも何か秘密があるの?」
「そうだ。いいとこを皆に発表させる事で、こんないい部分を持っている方と繋がれているという喜びから傍にいるだけで幸せになれる。だからどんどん親友が増えていく。それに伴い強くなる速さも増す」
「考えられているのねえ」
「そうだろう? いずれ俺は最強になる。責め苦に行く必要もなく、ここでぼうっとしているだけでもな」
「でも達成感無いよね。他力本願じゃん。でも卒業はまだしない感じ?」(こいつの為に他の亡者さんの卒業が遅れてしまうって事にもなるわね……うーん、何とかしないと……腕輪を取り上げる? そんな隙はないか……考えて見よう)
「そうだな。これでどこまでいけるかやってみたいのもある。これを続けていけば余裕で閻魔も倒せる。そうすれば次の閻魔は俺だあ」
「それは厳しいと思うわよ」
「なんでだあ?」
「直接会ったでしょ? その時感じなかった?」
「そういえば頭に俺らと同じ様に輝いていた階級だけれども虹色だった……あんなの見た事ない」
「そうだよ。多分私達がどんなに努力しても勝てない強さだと思うわよ」
「ぬううう」
「それにあんたはぼうっとしているだけでその域に達したみたいだけど、私の階級。神裔Ⅳになるのにどれほど苦労したと思っているの?」
アリサよ……良くそんな事が言えるな……
「お前は……コツコツとこの神裔Ⅳまで登り詰めたって言うのか? その若さで……うう……なんか俺の全てを否定されているみたいで情けなくなってしまったではないか……」
「沢山の責め苦の先に今の私がある。そう、
【私の行く先々で責め苦が起こる件について】
なのよ!!」
ビシィ
「うぎゃあああああ」
何がしたいのだアリサよ……
「反省した?」
「俺は間違っていたのか?」
「そのアイテムが無かったら今のあんたは無いって事。すなわち運のみの強さって事。責め苦もいい物よ? 受けてきなさいよ」
因みにアリサは責め苦を一度も受けていない。故にどんな物かも知らない。そしてこれからも受けるつもりもない。それなのに荒熊には責め苦を受けさせようとするのは何故だ? 下手したらアリサは荒熊よりも豪運なのだ。それを一切言う事なく、自分の正義を通そうとする幼女。
「馬鹿ね。他の亡者さんに迷惑かけてるから止めただけでしょ? ハゲ馬鹿たり部」
ぬはあ……また聞こえてたあ……つい忘れてしまう……
「ああ、ありがとうよお嬢ちゃん。目え覚めたわ……久しぶりに行く。責め苦って奴をよ……自分の力で稼いだ戦力を実際味わってくる」
「それがいいよ。そうすればその脂肪も少しは落ちるんじゃない?」
「ああ」
「ところで荒熊さんはどうして地獄に落ちたの?」
「答えたくねえ」
「ええ? 酷い事をしたの?」
「酷い死に方をした」
「是非聞きたいのですが」
「酷い死に方だぞ?」
「そういう貴重な体験はどうしても知りたいんです」
「なんて好奇心……まあ後悔すると思うがそれでもいいな?」
「はいっ!」
「俺はなトイレにはあまり行かないんだ」
「え?」
「大抵草むらで小便をする」
「ちょっと! 女の子に何言うのよ!」
「これが死因だからだ」
「え? おしっこで?」
「ああ、小便中に蜂がいたからそいつ目掛けて引っ掛けていたんだ」
「うわあ……」
「そしたらヒットして少し蜂の動きが鈍くなった」
「まさか……最後までかけ続けるつもりだったの?」
「そうだ……だが……怒り狂った蜂は、俺を標的にして向かって来た。そしてむきだしの俺の大切な
【物】
を、刺した……」
「ひえええw」
「一撃だったよ……」
「毒針で急所を直撃w」
「トラクエのアレだなw」
「あんた下半身丸出しで死んだのね……」
「そうだ……で、発見したのが女性でよ。悲鳴が止まらなかった……」
「犀帝の試飲……おっと噛んじゃった……最低の死因ね。死ねばいいのに」
「死んだってw」
「もう一度死になさい。この地獄内でね。で、二度と蘇るな!」
おいおい、言い過ぎればアリサ自身が消されかねぬぞ?
「えええ?」
「酷い死に方って言ってもどうせ大した事ないと思うじゃん? 脅かそうとして大袈裟に言うだけだと思った」
「確かにな」
「でも本当に酷いとは……最低よ。でもそれでも地獄に落ちるのね……」
「恐らく蜂をいじめた罰だろうな」
「そうね。蜂は神聖な生き物。あんた程度がいじめてはいけない存在だった」
「ひええ知らなかった」
そんなの嘘だよ?
「鈴木さんの数億分の一以下の価値のエピソードね」
「鈴木とはなんだ? そんな奴よりも俺のいいとこを言えー」
「無いわよw」
「おいおい、正直に話した結果何でここまで言われなきゃならんのだ? それに何かこの話を聞いてから俺を随分下に見てきてないか?」
「仕方ないでしょ。そう思っちゃったんだから。あっ、もう行かなきゃ。虎が腐っちゃう。じゃあね」
「おい待てアリサ! 俺は虎ではないぞ? 荒ぶる熊と書いて荒熊だぞ? それに腐ってはいかないぞー。ほら、俺のいいとこを言えー。1つだけでもいいー」
虚しく長屋に響き渡る。
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この4話を書く際、地獄について色々検索したのですが、どれもこれも恐ろしい鬼の画像や、腹の出た醜い亡者が沢山画像として貼ってあり、調べている内に気分が悪くなってしまいました……どうやら私は癖が強い昔の日本画は合わないみたいです。
で、調べている途中で絵を見るだけでも嫌になってしまいました。勿論画像が無い文字のみで教えてくれるサイトもありますが、そうであればあったでイメージが湧かず、上手く表現できずです。なのである程度調べ、そこからは私のイメージで地獄を書いています。ですので実際に本当の地獄を見た方がいて、もしそれと全く違っていたとしてもつっこみはお控え下さい。




