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地獄の一丁目 料理屋にて

……逃がさん……

……お前だけは……


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


虚無平原から戻ったアリサ。そして見回り鬼に鍵を返す。

「もう戻られたのですか? 流石お早い……」


「まあね。よし、閻魔の所に行く前にもう少しだけ町を回ろう。すぐ帰宅なんて勿体なくて出来ないわ。まだこの世界を沢山回らないとね。それにまだお金も腐るほどあるし……何を買おうかしら?」

ぐー 


「あれえ? ……なんかお腹減ったよ。この体でも減るのねえ。まさか地獄だけに? 腹がHellってかあ? フフフまっさかねえ。でもよし、お食事処を探そう!」

とことこ

実際に減っているのは恐らく腹でなくMPである。今アリサは霊体の状態。精神力が減ってしまい、その疲労を回復させたいと感じたのであろう。先程虚無平原全体を照らす魔法を使用した筈だ。膨大なMPを使ったのだろう。序盤でいくら歩き回っても肉体的に疲労は無かった筈である。それでもお腹が減ったという感覚に陥ったという事ならば、そういう事なのかもしれない。だが、現在地獄に落ちた魂の状態として確認されているのは、魂と亡者の2種類の筈であるが、アリサは魂の筈だ。鈴木と話し終えた時に、


【10以上上のランクの魂に認められる】


【魂と長時間会話】


とはっきり出ていたからな。その状態でも食事が出来るのだろうか? まあ、本来魂が出来ない


【装備】


をしている時点で、アリサは特別製なのかもしれない。


「あっ、日本食のお店がある!! お米あるかしら?」

ダダダダダ

挿絵(By みてみん)

「お邪魔します!」


「らっしゃい」

中に入ると……数名のお客さんも食事中だな。魂のお客は居ない様だな。もしかしたら魂は腹が減らないという事なのだろうか? 食費が掛からず経済的だな。店内は亡者が所狭しと座っている。

席が一つだけ空いていたのでそこに座るアリサ。


「美味い。漲るぞお」

ピキーン 4400

ぬ? 亡者の頭上の階級の横から4400と言う緑色の数字が出てすぐに消えた。一体何なのだ? まあ良いだろう。


「結構盛況ね」


「へい! お陰様で……って、え? し、しし神裔Ⅳ……? しかも魂? こりゃ珍しい! 初めて見ましたよ。確か魂は食事処を利用出来ない筈なんです。なのに普通に入ってこられた。あなた様はこの店に入った魂第一号ですよ!」

店主であろう。だがこれは……亡者か? 地獄の施設を亡者が運営しているな。亡者も店を持つ事が出来るのだろうか?


「お? おめでとう!」


「パチパチ」


「え? なにこれ? やめてよ! そんな事はいいからメニュー見せて下さい!!」


「は、はい!」

ーーーーーーーーお品書きーーーーーーーーー

ご犯 40ヘル 戦力2400 2H


霊麺 味噌、塩味 80ヘル 戦力3800 2H


霊麺 豚骨醤油味 85 ヘル 戦力4000 2H


魂子たまご焼き 10ヘル 戦力2000 2H 


呪ー死ービー腐ステー鬼 180ヘル 戦力5600 2H


邪椀蒸し 20ヘル 戦力3000 2H


鬼之子炒め 12ヘル 戦力2400 2H


フルーツ呪ースゥ 5ヘル 戦力1500 2H


惡茶 4ヘル 戦力1000 2H


銘酒神殺し 250000ヘル 戦力 10000 永遠 お客様お一人一杯限定

メニューには食べ物の名前と値段とそして……時間? が書いてあるな。何だろう? まさか作るまでにかかる時間か? だとすると最後の永遠と言うのは何だ? 説明が付かぬ。


「どれどれ? え? 霊麺に 魂子焼き? フルーツ呪ースゥ? 呪ーシービー腐ステー鬼ィ? ちょっと! ん? 鬼之子炒めって? 鬼の子を炒めるの?」


「それは上界で言うきのこです。とてもヘルシー……おっと、HELLシーですよ」


「え? 健康的なの? じゃあそれがいいかな……って! 何で同じ言葉を言い直すのよ!」


「見ればわかる事です」


「分からないんだよなあ……後一番下のは酒? 酒だけ高過ぎい!」


「お酒は特別な物です。永遠に戦力が上がるので高めになっています」


「でも外観は完全に和風っぽいお店なのにさあ。ジュースとかステーキは洋食じゃない?」


「手広くやらせていただいています。和食だけではお客様が来て下さらなくってねえ。しかし、神裔Ⅳの方がこの様な小さい店にお越しいただけるとは驚きです」


「小さいは余計よ!!」


「え? あなたの事を言ったのではなくって自分の店の事を自虐して言ったのですが?」


「それでもその響きが嫌いなの。2度と言わないでね」


「ハハ―」

土下座を始める店長。


「いやいや、大袈裟よ! ところで下顎超魅了使って……間違えたw化学調味料使ってる? 私ね、出来れば調味料も天然素材がいいのよ」 


「そんな物使ってませんよ」


「良かったあ。じゃあ呪ー死ービー腐ステー鬼ィと鬼之子炒めお願い」


「かしこまりました……って、貴女様は、私の頭上の階級が見えないのでしょうか?」


「見えるよ? それがどうしたの?」


「私の戦力は79900です。階級で言えば精鋭Ⅰ程度です。そして貴女様は神裔Ⅳ。これは戦力で言えば2500000相当です。そんな高階級の方はここに来る理由などありませんよ」


「ああ、そんなこと確か誰かが言っていたなあ。せいえいとしんえい。たった二文字違いなのにねえ。どうすればこの戦力を上げられるの?」


「色々あります。ですが私は貴女様には逆らう事は出来ません。決してね」


「戦力の上げ方は教えてくれないの?」


「え? 十分ご存じでここまでに至ったのでしょう?」


「違うよ。ここに飛ばされた瞬間にこの状態になっていたみたいね。初めて会った王者の人にも同じ事【言われた】んだよ」


『お店の 品物 買ってこいって言われた だけども その時 1円も 無かった』


「またあの歌だ……怖過ぎるし唐突過ぎる……でも……何かキーワードに反応して歌が……? そんな事無いか……」


「え? どうしたんです?」


「何でもないわ……」


「そうなんですか? ですがそういうケースは聞いた事がありませんが……」


「そうなのよ……どうしてこうなったって状態。まあそんなに沢山教えなくてもいいから。一つでもいい。あっでも、歩いたり跳ねたりで上昇するのは知ってるからそれ以外でね?」


「分かりました。では、一つだけ。私が初めて戦力上昇した時に行った事です」


「うんうん!」


【自分の庭の鶏に小麦を与えた】

ぬ?


「え? それだけで?」


「はい。何で成長するかはよく分かっていません。当時は魂の状態。筋肉は無いですので幾ら動いても成長はありません。ですがその時、戦力が上がりました。僅か60ですけどね」


「それってずっと与え続ければ最強になれるんじゃない?」


「そうです。ところが、一日一回のみなのです。戦力の上がる行為は」


「何で?」


「分かりませんよ……表示で日と出ている奴は毎日できる条件です」


「ああ、あれか」


「もしかしたら一日に何度も戦力が上がってしまえば早く成長出来てしまうという事を恐れ、閻魔様が一日一回までと言う設定をしたのかもしれませんね。ですが彼の設定した特定の事を行うと上がるのだと思います。上昇時に【日】と出て、その後に何を行って幾つ戦力が上昇したかを知らせるアナウンスがあるのです」


「あれにはそういう意味があったのね」


「貴女も上昇経験があるのですね? と、いう事はそれだけの戦力でも私達と同じ様に成長出来るという事ですね」


「そうなのよ。ベースが250万でもみんなと同じ条件を満たせば同じ戦力上昇するみたいで、トーナメントで言うシード枠的な? 扱いを受けてるみたいで悪い気はしないけどね。で、平原で歩き回っていた時に上がったわね。後、閻魔に会った時、日ではなくって限って出たわ。その後同じ様に戦力が上がった」


「ああ、限定の限ですね。一回切り上がる条件です。という事もあり【日】よりは大きい上昇量です。主にストーリーを進めている時や、新しい町や地域に踏み入れた瞬間とか、初めて新しい【日】の条件を発見した時に同時に【限】も出て来る時もありますね。亡者は行動する時、その難しさに応じて上昇する条件を探しながら強くなっていくんです。沢山見つける事が出来れば、それだけ早く戦力は上がると言う事。で、中には条件を探し出すのが得意な亡者が居るかも知れません。で、沢山過ぎて一日では消化出来ないと言う贅沢な悩みを持つ亡者も出てきます。その場合、一日で時間が間に合うように効率良く同時にこなしたり、戦力に見合わない時間の掛かる行動を取捨選択する亡者もいるでしょうね。それ程条件は多いんですね。後はログインボーナスでも戦力が上がる事がありますね。それの積み重ねですよ。だけど毎日一回だけなんです。もしその日忘れてしまえば、その日の日課をこなさないまま翌日を、つまり成長できないまま無駄に一日を過ごした事になります」


「へえ、へんなの! 気付いたらやっちまったーってなる訳ねw」


「そうです。私達は何度も反復する事で成長すると人間の時に教わりました。ですがここでは一回成長出来る行為をやったら、次の日になるまでは、同じ事をいくらやっても成長はありません。ですから、戦力の上がる行為を見つけたら誰にも言わず、自分の心に留めて置き、こっそりとその行為を毎日一回だけ行う。この繰り返しで成長していくのです。これに近道はありません」


「なんか楽しそう」


「貴女様はそうでしょうが私達にとっては日常ですからね。一刻も早く抜け出したい日常。で、地獄のいたるところに隠されているそれを見つけては一回だけ行う。それが多ければ多い程速く強くなれます。そして高みを目指すのです。それは生まれ変わりにつながる……」


「貯まると生まれ変われるって事?」(良く分からないなあ)


「そうです。戦力が上昇出来る行動は、その条件を見つけさえすれば誰でも可能です。逆に見つけられなければ見つけた人とそうでない人には毎日少しずつではありますが確実に差が広がっていく。と言う事になります。他には責め苦ですかね」


「どんなの?」


「まあ俗に言う地獄の責め苦です。針の山や血の池などで、決められた時間耐える修行の様な物ですね。魂は現世で犯した罪により責め苦の種類が決まります。罪が軽ければ多く成長し、比較的苦しくない責め苦。罪が重ければ苦しい割には少なめの上昇」


「ああ、現世で言うお仕事みたいなものね?」(鈴木さんも責め苦に行くかあって言ってたよね。嫌だけどって言いながら……成程)


「そうです。そこで一定時間責め苦を受けると、いつもやる日課で上昇出来る行為を幾つもやったと同じ位の戦力と、日々の日課では得ることの出来ない


【ヘル】


が貰えます」


「休みはあるの?」


「日曜が休みです」


「週休1日かあ。結構大変ね……」


「まあ強制ではありません。日曜は全施設点検の為、やりたくても出来ないと言った方が正しいです」


「ああ、そうなんだ。これ?」

ジャラ

閻魔から貰った袋を出す。


「な、何ですかその大金は!? こ、これ……私の責め苦の何日分になるんだ?」


「閻魔様がくれたんだよね」


「この世界で必要な物を全てを揃えて持っていらっしゃりますね。羨ましいです……私達庶民はそれをこなしたりして戦力とヘルを稼いていきます。ですから実は鶏にエサを与えると言う事は教えたくありませんでした。ですので他にどんな事をして上昇したのかは聞かないで下さいね?」


「はいっ!」(知りたいなあ……吐かせたいなあ……我慢我慢……)


「亡者たちは日課を終えたら眠る事もなく更新を待つのです」


「更新? 良く分からないけど……0時周ったら? リセットされてもう一回出来るって事なのね?」


「そうです。ですが0時ではなく早朝の5時に更新されます」


「なんかソシャゲのMMORPGの日課みたい」


「そうです。その例えが一番分かり易いですね。それを何百日も繰り返し行い、成長した姿が今のあなたなのです」


「そうなのね。なんか申し訳ないわ」


「あなた様は自覚無しでそのお強さなのですね」


「そうよ。でも実は初心Ⅰからこの世界を楽しみたかったって思い始めちゃった」


「そう思うのは始めの2日位でしょうね。私から言わせてもらえば強い方が絶対にいいと思います」


「そう、わかった。じゃあ早くしてね」


「は、はい。では早速」

ドン!


「なんだあ?」

すると突然隣の席から大きな声が。頭には精鋭Ⅰの文字が。


「どうした?」

その隣の亡者が尋ねる。この男も精鋭Ⅰだ。


「いや、なんか変な臭いが」

すると机の上に置かれた丼の蓋を開けてみせ、顔をしかめて言う。


「なんだこれ? 変な臭いで色も悪いぞ。おい親父!」


「なんですか?」


「まずいんだ。ちょっと取り換えてくれないか?」


「いえいえこういう味なんですよ」


「まずいんだって! 別のにしてくれよ」


「すいません。その場合、別途料金をいただかなくてはいけません」


「何だと? この野郎!」

丼を掴み投げつける。


「わあ、危ない」

ひょい

ピキーン 120

ぬ? 又何か数字が現れてすぐに消えた? 今度は数値が少ない気がするが……


「お? 80020になったぞ! これで昇級出来るぞ! だあっ」


「う……」

強気だったお客さんが突然戸惑い出す。


「どうやら文句は言えない様ですねえ。この丼代も支払っていただきますよ。1000ヘルですよ。持っていますね?」


「ハ、ハハ-」

突然土下座をし始める客。


「あら? 急に弱くなったわ……これは?」


「私の頭を見てください」


「ああ、精鋭Ⅱに変わってる! だから精鋭Ⅰでは逆らえなくなったのね? まあ私からしたら団栗の背比べだけど、彼らにとってはこのⅠとⅡの差はエゲツネエんだねw」


「そうですね。階級が一つ違うとそうですね……例えば……勝とうと思うなら、不意打ちをして、その上で全力で殴り続けないと勝てません」


「へえ。それだけ違うのね? だから面と向かってでは弱気なのねwでもここまで上の階級な訳だから何か特殊な能力は使えるのかしら? 2500000って言われても今の所実感はわかないなあ……うーん……はあっ!」

手を前に出し気合を込める。だが何も起こらない。


「あっ! お客様! 店内で未知の技を試すのは勘弁して下さいよ! 下手したら倒壊してしまいます!」


「そういやそうだね。ごめん」


ーーーーーーーーーーーーー10分後ーーーーーーーーーーーーー


「出来ました呪ー死ービー腐ステー鬼に、鬼之子炒め! アツアツですよ!」


「うん。いい匂いね。食欲をそそるわ」

カチャ パク


「美味しい! ご飯も食べたくなるわ。お願い」

ピキーン 5600、1200『2H、食事効果』

これは? 食事をすることで戦力がこんなにも上がったと言う事なのか?


「はい」


「うんうんでもメニューが悪いわね。呪ーシービー腐ステー鬼って、中に腐って文字が入っているけど新鮮そのものよ!」


「名前の付け方は閻魔様が教えてくれた事を実践しています。地獄ですので怖い感じにするのが義務なんですよね」


「そうなんだ。あとちょっと気になったんだけど、何か戦力が上がった気がする」


「ああ、食事を摂る事で2時間の間戦力が上昇します。メニューにより上昇量も変わりますよ」


「成程ね。メニューに書いてあった数字ってそういう意味が……」


「ご犯お持ちしました」


「ありがとう」


「肉とキノコが飯に合う……最高! ご馳走様! ふうお腹一杯」

ピキーン 600『2H、食事効果』

ほほう更に600上昇したぞ? 現在合計で7400元の数値から上がっている状態か。だがこれは一時的なものらしいな。食事の効果は時間制限で切れる様だ。だがメニューでは鬼之子炒め上昇量はは2400で、ご犯も2400との事だったが……それなのに鬼之子炒めは1200でご飯は600しか上昇していないが?


「あれ? また上昇したわ。不思議!」


「料理は一時的に戦力を上げることが出来ます。で、限定メニューに関しては永続です」


「あああの酒か……あれだけ異様に高いもんね。値段通りの効果って事なのね?」


「そうです。1万上昇が永続です」


「貴方は飲まないの?」


「はい。雇われですのでお金を払わねば飲めません。ですがそんなお金はありませんので」


「そうなのね」


「で、食事で上昇した時に次の階級まで届いてしまう場合があります」


「そうだよね。あなたも79900の時は精鋭Ⅰだったのが、80020で精鋭Ⅱになれるものねえ」


「そうです。これは丼を回避すると言う行為に120上昇する価値があると判断されたのでしょう。これは先程の偶然見つけた鶏に小麦を与えた時と同じで上昇条件を達成したものとみなし永続効果で下がる事はございません。ですが毎日丼を投げてくれる人もいないでしょうし、そもそも回避できるとは限りませんからねえ。今回のみのラッキー上昇と言う事でしょう」


「でも毎日チームを組んで、避け易い様に投げてもらえば毎日一回ずつ出来るんじゃない?」


「それは良い考えですね。でも、そういう意図を読み取った瞬間上昇しない可能性もありますので……通用しないと思いますね」


「徹底しているのねえ。そこまで厳格に規定みたいのがあるんだね。人生甘くは無いわねえ」


「まあ死んでいるんですけどね……そこからなるべく逃したくないのでしょうね……そして料理は別。一気に上がりますし、2種類以上食べると本来単品で食べる場合の50%が上昇に付加されます。ステーキが5600で鬼之子炒めは本来2400なんですよ。合わせて食べると2種類目は半分、3種類目のご犯は、単品で本来上昇する4分の1に相当する数値が2時間だけ追加されると言うルールです。そして、食べ合わせが良ければ100%で付加されます」

そういう事であったか……


「なーんだ……ご飯にステーキは合わないのお?」


「そうです。ステーキに一番合う組合わせは、にんにくなんですね。その組み合わせだとボーナスが付いて20000以上行くでしょうねえ。まあ2時間の間ですけど」


「面白いわねえ」


「で、もしその際に次の階級の数値に到達したと喜び、うっかり上昇させてしまっても、その後料理の効果が切れ、目標数値より低い状態に戻ってしまっても、一度上げてしまった時点で下げる事が出来ません」


「そうか、でも下げる必要性は無いよね?」


「いくつかそのままにしておく理由もあるんですよ」


「え? どういう時?」


「わざと低い階級で留まる事で弱いと見せかけて油断して来た敵を返り討ちに出来る場合があります。この時出るアドレナリンはすごいですよね。戦力は頭の階級のみでしか確認出来ませんからね。これを階級詐欺と言います」


「へえ」(虚無平原では魔獣共はこの階級を見て判断して弱ければ襲ってくるって事なのかもね……)


「最後に、料理の最高の使い方をお教えします」


「うん!」


「2時間の間だけ1000000に到達してしまえば卒業ですから。最後の最後、逃げ切るために食事を! という亡者もいますね。4種類の食事の最高の組み合わせを使えば恐らく950000位からでも卒業可能でしょうし」


「成程ね。色々あるのね」(卒業かあ……私も後一年で小学校卒業だったのに……こんな所でずっといるわけには行かないわよ!)

しかし、この世界での卒業の意味とはどういう事なのだろうな? まあいずれ分かることであろうな。


「そうです。この階級まで頑張って分かったことですけど中々簡単には上昇しませんよ……1000000なんてまだまだ先の話です」


「そうなんだ……頑張ってね……で、おいくら?」


「232ヘルです」


「うわ、安い! はい!」

ジャラ


「毎度あり!」


「じゃあそろそろ閻魔さんのとこに帰るか……待てよ? 折角何か使えるかもしれないんだからどんな力が宿っているか確かめてみようかしら? 地獄内限定スキルかも知れないし」

取り合えず全身に力を込めてみる。


「やあああああああ……はぁはぁ駄目ね……」


「じゃあ精神統一して……」

胡坐で瞑想を始める。


「やっぱり何も起こらない……すごい力があると思ったのになあ。ま、いっかじゃあそろそろ戻ろうかしら。でもお金、全然使えなかったなあ」


「おや? こんなところで何をやっているんですか?」

一つの魂がアリサに声をかけて来る。

ピキーン 120『日、魂と会話』 


ピキーン 1200『限、初 魂と初会話』

「え? これを閻魔に持っていくのよ」


「え? 何ですかそれ?」


「ミッションの奴よ」


「え?」


「え?」


「わかりません」


「そうなの? まあいいやありがとう」

魂と別れる。鈴木の様に転生の条件を知っている者もいれば、知らない者もいるという事か? 確か魂から亡者に任意で変化する筈だが、その時にそういう情報が亡者にのみ与えられ、魂の状態では知る事がないという事か? 今まで登場した亡者は転生の条件を知っていた筈である。


「おや? もう戻られたのですね? 上界に戻るのですね?」


「そうね」


「では閻魔様の元へどうぞ」


「お邪魔します!」

ぎい


「え? ちょ……」


「どうしました?」

先に中に入ったアリサの異変に受付の鬼が閻魔の部屋に入る。


「え、閻魔様?」

閻魔はうつ伏せで倒れていた。まさか、死んでいる?

挿絵(By みてみん)

「わ、私じゃないよ?」


「それは分かりますよ。で、でも……どうなっているんだ? 目を覚まして下さい……」


「ま、まずは警察を呼ばないと……それにしても……まただわ……全く……こんなの……


【私の行く先々で事件が起こる件について】


だわ……」


「警察? 地獄にそんなの無いですよ……って? なんです?」


「しあわせになれるおまじない」


「ほう? 私の行く先々で事件が起こる件についてという言葉にそんな意味が? わかりました。覚えておきましょう」


「忘れるんじゃないわよ?」


「で、しいて言うなら閻魔様が警察の役割を担っていると言った感じで……」


「じゃあどうするの?」 


「こちらが聞きたいですよ……どうすれば」


「じゃあリアルから呼んでくるしかないかなあ」


「ど、どういう事です?」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


29話にしてついにさつじん事件。そう、殺神事件が起こってしまいましたね。地獄で最強の神が一体何者に? そしてアリサが呼ぼうとしている者とは? 謎が、多すぎる……!

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