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虚無平原 増魔石を求めて

前回あとがきで事件が起こると書いてしまいましたが次回の間違いでした。途中でエピソードをはさみはさみで書いていて、今回の話も途中で追加した話です。それを書き終え、この話のあとがきに書くべき内容でしたが更新し忘れている場合があり、今回それに投稿直前で気付いたという事でした。今から書き直す時間もないので来週までお待ちください申し訳ございません。

で、今回はこれから石集めのミッションが始まります! ようやく地獄らしくなってまいりましたね!! まあこれで最後のミッションなんですけどね……


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


天蓋を開けると、薄紫の空が広がる虚無平原が姿を現す。それを見るだけで心を摘み取る様な絶望を与えつつアリサを迎えてくれる。

虚無平原の下には地獄の一丁目以外にも幾つもの町がある様だ。名前は恐らく地獄の二丁目とか三丁目だろうか? そこまでは分からないがそんな感じの町が幾つか存在する筈だ。色々な事が矢継ぎ早に起こりこの辺の話を全くしていなかったが、地獄の事に関しての事なのでここで語っておこう。確かアリサがこの平原に落ち発見したのが見回りの鬼だったな。

その鬼は、王者Ⅳと言う階級だった筈。売店の鬼は精鋭程度だった事から、高階級の鬼でないと任されない高度な仕事という事だろうか? まあその内容は、虚無平原で逃げた亡者がいないかを探すため位だが……そこまで高い鬼でなくてはダメなのか? まあ低階級よりも凶悪な高階級の亡者がそれを思いつく可能性が高い為、それに対応する為に高階級の鬼をあてがわれたのだろうか? そして、決まった場所に存在する穴から潜って、異常がない事を見張りの鬼に報告し、穴に向かって一礼し次の町へ。そんな感じの流れで仕事をしていた筈。

という事は幾つか町が存在し、それぞれに虚無平原に続く階段があるという事も想像に難くないだろうな。そして、見回り鬼は目印がない中、何故かその街に繫がる穴のある場所を把握していて、終わる事のない見回をずっと続けていたのだろうな。

そこまで頻繁に亡者は虚無平原に逃げ出すのであろうか? まあ他にも色々調べる事があるのかもしれない。


「うー、戻ってきちゃったよ虚無平原……相変わらずねえ。一向に気分が上がらない……しかもここっていつでも紫色っぽくて暗いのよね。赤とか黄色とかに出来ないのかよ……でも、今回は目標が明確にあるんだ。何も目標がなかったあの時とは違うんだ! 目標があるか無いかで大分気持ちが違うね。増魔石だっけ? それをたったの4つ集めるだけの簡単なミッションの筈だ。んなもん1時間で終わる」

一つ15分計算か? 手掛かりは虚無平原に4つある、黒く光る石と言う曖昧模糊な情報のみで良くそんな事が言えるものだ。


「まあ取り合えず歩きましょう。宛はないけど」

とことこ

ガサガサ


「あっ……言われて見れば魔物の気配がする。見回り鬼さんに教えてもらうまで全く気付かなかったのになあ。そこまで私鈍感だったって事なの? でも今なら分かるわ……フム……5、いや6か? 取り囲みつつ不即不離で私を襲うチャンスを窺っているわね。でもこいつらは私が居眠りでもしない限り自分から襲って来る事は無いわ。という事は一瞬で近づき必殺の拳を打ち付ければいい。その力が私にはある筈。私が本当に弱いならこんな事はせず一斉に襲い掛かれる筈。やってみるか……もしこいつらを倒せばレベルアップで何か新しい特技を覚えるのかなあ? ちょっと試してみよう」

ダダダダダ


「ぎ……ギシャア……」

物音の発生源まで走ると、大きめのトカゲが威嚇している。が、その声は頼りない。日本語に翻訳すると


『見つかっちまったあ』


と嘆きの言葉を吐露しているかの如くの弱々しさである。そしてトカゲの頭には地獄に居る者全てに付いている筈の階級が無い。

虚無平原に潜む生物は、大まかな強さを把握する事は出来ないという事なのだろう。では物凄い強敵が紛れ込んでいたらそれを判断できず返り討ちに合う危険性もある訳だが……大丈夫なのか? アリサは躊躇わず進む。


「こいつが……ストーカー君の正体ね? 女の子にストーカーするなんて犯罪なんだよ? お仕置き! えい!」

コン

極端に短いアリサの腕が、地獄のトカゲに振り下ろされる。リーチが短いが、その分軽量で早く振り回せる利点があるので避ける事は不可能。


「ギシャアン」

バタッ しゅーん

仰向けに倒れしばらくすると消滅する。


「思っていた通りいちころね。あら? 消えた? そうか、ここの敵は倒したら消えるのね? で、消えた後家に戻される筈だから、こいつも実家に帰って復活するんだろうね。でも、こんなに強く殴ったのに手が痛くない。不思議ね」

シーン


「あ、あら? 何も起きない? 今倒したよね? 何か頂戴よ!」


「ギシャアア」

ガサガサ

周りのトカゲも仲間がやられたのを目の当たりにし、一目散に逃げ出す。


「あー、逃げた。まあいいか……何も貰えないってのが分かったし……そんなの幾ら倒しても面倒なだけだしね」

とことこ

ガサガサ


「トカゲは逃げたけど、他の奴はまだ周りにいるね……もどかしいなあ。全部追い払おうかしら?」

この様子ではもしアリサが弱いと判断すれば一斉に襲ってくるのだろうな。謎の力でアリサが強い状態で始まってくれ良かったものだ。


「うーん面倒! もう無視して探そう! でも全く分からないよねえ……光ってる石、光ってる石、黒く光る? でもさ……ここも暗いじゃない……紫色の地面の中で黒く光ってるなんて石をどうやって探せって言うのよ! 考えてみれば雲を掴む様な話よね……」

ようやく閻魔のミッションの難しさに気付いた様である。私は閻魔との会話時に瞬時に思った事だ。そう、このミッションは薄暗いこの平原内に薄暗い色で光る石を4つも探さなくてはいけないと言う高難度ミッションなのだ。力、階級、そんな物は何の役にも立たない。ここで要求される物はどうやってそれを見つける事が出来るかを解き明かせる柔軟な発想力しかないのだ。まあ、時間制限がある訳でもないし、鈴木の出題した迷路の問題を一瞬で解けたお主なら、その真実を解き明かすのは可能だ。と、思う……


「うーん、うーん、この石も光ってないよね……この石もそうだよ。そもそも光がないんだから光っているかどうかすら分からなくない? 黒く光るみたいな事は言っていたけどさあ……地面と全く区別が付かないじゃん……あれ? まさかこのミッションって結構難しい? 私が悩んでいるなんて……そんなまさか……神裔Ⅳのこの私が?」

階級は関係ないのだ。と言っても私もこのミッションの解答方法は分からぬ。頑張って解いてくれ。これも生き返る為だ。


「どうにかしてここを明るく出来ないかしら? そうすれば何か分かるかもしれない……でも、そんな事私出来ないし……あ、確かそんな事をやっていた人がいたよね? 試しに真似して見ようかな」

ぬ? 何を考えておる?


「ええと確か……


『大氣に漂いし清廉かつ荘厳なる光の聖霊よ、そのあまりのまばゆさにて、傍に居ながらにして姿見えなき聖霊よ! 闇の深淵に彩られし色無き世界に一筋の光をここに……ブライト・モア!』


だったっけ? 間違ってるかしら? 確かこんな感じだったけど確かめよう無いもんねえww」

ぬう? こ、これは? 3話のリキュバスの部屋で使用された空間照射魔法ではないか? 市田が一度だけ唱えていたあの呪文か? それを思い出し唱え始めた? だが正確に覚えていようがそんな付け焼刃でどうにかなるとも思えぬし……ぬ!!

パアアアアア。


「あ、正解だったみたいw流石アリサ様w」

す、すげええ……辺りと言うか虚無平原全体が……


【朝に、なった】


おはようございます。今日も一日元気一杯に頑張っていきましょう! と言うか、いつの間にそんな呪文をアリサが? 今この娘がやった事は記憶を頼りに呪文を唱えただけ。習得している市田が唱えるなら発動しても納得だが、詠唱が正確だからと言って未習得のアリサが光の効果を出せるのはおかしくないか? だ、だが実際にこうして明るくなっている以上これ以上の難癖は付けようもないな……待てよ……ちょっと失礼……ぬう……やはりだ……ぬ? 何をしていたのだだと? 実はな、今、3話の


【サキュバス × ブティック 2】


の市田が詠唱していた部分を見て来たのだ。そしたらな? 寸分違わぬ詠唱をしていたのだ……まるでコピペでもしているかの如くな……記憶力が良いとしても、ある程度どこか一文字言い間違えてもおかしくないのに完全に一致していた。だがこれはコピペでなくアリサの記憶力がエゲツねえ事になっているというだけなのだ……信じてほしい……頼む……


「わーいw明るーいwこれで探しやすくなったわwこれじゃ虚無平原じゃなくて希望の平原ね。一気に希望が満ち溢れて来たぞお! よおし探すぞおおお。あっ! 黒く光ってる? あれってまさか?」


ピキーン1600『限・初・素材、増魔石入手』


「あら? またピキンさんじゃん。1600戦力上昇! おけー。じゃあ後3つもすぐに見つけるぞおおおお」

ダダダダダ

水を得た魚の様に生き生きしはしゃぐアリサ。そして……

ダダダダダ


「あっ? 光ったら姿が丸見えの魔物が散り散りに逃げていくわwまあいいや逃げなさいww」


「何にもいなくなるとそれはそれで寂しいわねえ。ん? 立札だ! 明るくなってやっと気づいた」

とことこ


「えーと、これはアタリテラスのコトダマ使用時のみに見える立て札です? なんだそりゃ? ……あ、店でそんなの売っていたよね? まさかそれを買ってからここに来なきゃやばかったって事? で、続きは? コトダマの使用中は逆に強くなる地獄獣もいますので出来るだけ戦わずミッションを遂行して下さい? へえやばいのがいるのか……気を付けよう。他には何かないかな? 明るくなって変わったところ……あれ?」

たたたたた


「この高台にはまだ登ってないよね? ここにあれあるかな?」 

キラーン


「お? あったあ。2つ目ええええ? と、思ったらお隣にももう一つううううおまけでもう一つううううとまではいかないかあああああ」

伸ばしてくれるのはいいのだが、先程の陰気なアリサはもう居ないのかい? あっちの方が魅力的だったぞ?


「ここからだとかなり先まで見渡せるわね。あら? 何か建物があるね……ちょっと行って見よう」

300m先に建物がある。石で作られているな。

とことこ


「もう少し早く歩けるアイテムとかないのかしら? ダッシュシュシューズとかさw×ボタン押しっぱなしじゃないと走れないけどさ、二倍速ってのが魅力的よねw」

シューン

突然辺りが暗くなる。


「え? あっ……まさか光の効果が切れちゃった? 肝心なところで……仕方ない、もう一度つかうか……でもあれ結構消費したのよねえ。ただ辺りを明るくするだけなのに使い過ぎよ! でも市田さんって相当魔力が高いのね……顔色変えずに使ってたわ。まあそこそこMPがあるって私に張り合ってたもんね。でも、私でも足りるとは思うけどね。ええと……あ、あれ? 思い出せない? どうして?」

ぬ? アリサが忘れた? さっきのはまぐれという事か? だがまぐれで平原一帯を光で包み込む奇跡など起こせるか?


「え、と……うーんうーん どうしても思い、出せない……う、そでしょ? ああーメモしておくんだった……唱えた直後にメモしておけばよかったわ。にしても1文字も思い出せないなんて……こんなの初めてよ……これが忘れるという事……? 凄いもどかしいじゃない! むかつくうう」

さっき流暢に唱えていた筈が1文字すら思い出せなくなっている? これは一体どういう事だろう?


「うー、悔しいけどここをまっすぐ進めば辿り着く筈だしいいか……でもおっかしいなあ? 私が忘れるなんて……そんな筈ないのに……いつの間に? 記憶したら絶対に忘れる事のないスポンジのアリサちゃんって幼稚園でも崇められていたこの私が? おかしいなあ」

まだ言ってるよしつこいなあ。よっぽど悔しいんかいワレェ! だが石の建物への道順は忘れていない様で、記憶を頼りに薄暗い中、目的地へとへとへとで向かう。

とことこ へとへと


「着いたわ。良し……」

罠などを一切確認せず中に入る。


「こうなると最後の一個はボスの後ろにある宝箱に守られていそうで怖いわあ」


「グルルル」

すると、どこからともなく石で出来た狼の様な魔物が現れ、アリサに唸っている。だが耳が下がっているような気もする。魔物も階級を認識していて、既に太刀打ち出来ない相手と分かっているような表情だ。本来もう少し弱い階級でもこのミッションは挑戦可能でアリサはここに来るのが遅すぎるレベル。故に楽勝なのだろうな。そして、ここから分かる事はここの魔物は、薄暗くても階級を認識する事が可能で、それを基準に弱ければ攻撃してきて、強ければ距離を置いて付け狙う事が出来るようだな。そしてボスは逃げられないので怯えているという訳だ。


「え? いつの間に? あ、あの、もしかしてボスですか?」


「グン」

魔物は頷く。


「で、もしかしてその後ろには? あるね宝箱しっかりと」


「イシ、マモル」


「シャベッタアアアw」


「グルルルウ」

ーーーーーーーーーFirst battle startーーーーーーーーーー

Alisa VS Takara mamoru mamono


「えい」

こん


「グル? グルルウウウウ」

ゴロンゴロン

一回殴っただけで大袈裟に翻筋斗もんどりを打つ魔物。これが神裔Ⅳの力か……


「あらあら……もういいわ。お逃げ」


「グルガトウ!」

ダダダダダ

ーーーーーーーーーーEnd of battleーーーーーーーーーーー

Alisa win enemy escape

0経験値獲得 0ヘル獲得

ガチャ!


『アリサは宝箱を開けた。中には……何と! 増魔石が入っていた!』


「♪しってたー♪」

おいおい、ゼゼルルダダの伝説で宝箱を開けた時に響く


【ゴマダレー】


の発音で言うでないぞ。


「良し、あっさり揃ったわ! えーと、これを閻魔様に渡せばいいんだっけ? じゃあ、戻りましょう!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


あっさりとミッションが終わってしまいました。次回こそ本当に事件が起こります

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