鈴木との別れ、そして、虚無平原との再会
今回ついに語り部が初登場します。どの場面での登場なのか? 是非楽しみにして下さいね。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「沢山のお話が聞けたわ。内藤への手紙で相当笑った。あんなに笑ったの人生で初めてかも。鈴木さんは笑いのセンスがあるよ!」
「そうか? 神裔様とは言え、お笑いには疎いだろ? そんな訳ねえよ」
「へへーんそれが素人ではないんだよなあ。残念でしたーww」
「え、何があ?」
気の抜けた様な返事だ。
「私、第11回ボケ人間コンテスト優勝者よ」
「ええええええ?」
「驚きすぎぃw」
「そ、そんな強くて可愛いし頭も良いのに笑いも出来るのかよ……一人の人間に天は何物まで与えるんだよ……不公平過ぎるって……」
「そんなに褒めないでよ」
「すげえ事だよ! でも俺も第一回ボケ人間コンテストはテレビで見たんだぜ! なかむらぜいにくんが優勝したんだよな。その歴史と現世の狭間に貴女様が……すげえよ」
「貴女様なんて言わないの! でも12回目も私が取る予定よ! 今度こそ実力でね」
「え? 実力で取れなかったって事かい?」
「あ、やべ……えっと、違うの。納得いかない勝利だったの。お題が足りなくて変な素人の婆さんの出したお題を使われたのよ」
「問題が足りない? そんな事聞いた事ねえよw」
「運悪く最後の問題が引き分けて司会が客席に面白画像提供を呼び掛けたのよ」
「それほど実力伯仲だったという事かよ」
「ええ、相手は現役の芸人でね、流石に苦戦しちゃったよ。それで選ばれたお題が最悪過ぎて……思い出すだけでも腹が立つわ……で、実力が出せなかったのよねえ。もっといいお題があったのに、それで戦えなかったって言うね」
へえ、アリサって、平気で嘘ついちゃうんだね。実際は2話を見ていただければわかるが、2位で終わっている。それでも凄いとはいえ、優勝と2位では相当違うのだがなあ。
「ああ、そんな厳しいお題でも優勝は出来た。だけど、思い描いた最高のネタでは勝てなかったって言う感じか? そこまで厳しくするのかよ。現役の芸人に勝っただけでもすげえってのによお」
「そうそうそうそうそ! その私が言っているんだから間違いないよ! で、ほら! カイジの替え歌とか、めっちゃ面白かったもん」
最後にそで終わってるよ? まるで嘘って言ってるみたいになっちゃってるよ?
「はあ、この才能を知ったまま生きていたかったなあ」
「あ、ごめん……」
「いいんだ」
「そう? あれ? 笑い疲れたからかしら? ちょっと力が出ないかも」
そう言いつつ、まるで怒りを堪える様な表情で虚空を見つめる。想像上の木林。他従業員の事を睨んでいるのだろうか?
「だいぶ心に来ちまったな。しっかり休んでくれよ」
「大丈夫よ……そろそろミッション行かなくちゃ、ん? もう! 何よこれ!」
ピキーン 1000『日・亡者と長時間会話』
「どうした?」
「戦力が1000上がったよ。長時間会話って……そういうのもあるのね……」
「そうだな……(それ、多分一日で3万文字以上同じ人と話さないと出ない奴じゃなかったっけ? 俺達いつの間にかそんなに話してたのか……)あ、長い事引き留めてごめんよ。復活頑張れよお」(それにしてもどういうミッションなんだろうなあ? ま、いっか)
ピキーン 1000『日・魂と長時間会話』(ん? 戦力上昇? あ、そうか……でも俺もアリサちゃんと同じだけ戦力が上がったって事か……しかし、魂なのか……それでこの凄まじい階級? で、その恐ろしさを今一分かっていない様に見えるよな。一体この子何者なんだ?)
「いいの。これだけの話でも冗長ではなく全ての話を聞いたおかげでしっかりと伝わった。
私、自慢じゃないけど勉強は結構出来て、世界の事は殆んど知っていると思っていたの。オマケにとっても優しいし。でも世界は広いね。こんな優しい私でもカスと言う汚い言葉を平気で使えてしまう程の悪がいたんだって事を初めて知る事が出来て……腕が鳴るわ。木林日光一だっけ? 奴一匹で教科書が作れるわよ」
「え? 奴の生き方に誰かに教えて有益になる様なお役立ち情報なんてあるのか?」
「あるじゃない。嫌な奴の教科書よ。あいつがやった事を順番に書き記していくだけでそれはやってはいけない事という事を子供達に簡単に教える事が出来る。反面教師ね」
「そういう事か」
「沢山話して感じた事は、鈴木さんの方があの社長よりもよっぽど大人だったって事よ。金を幾ら持っていても技術があったとしても尊敬出来ないカス。そして、メンタル弱いって言ってたよね? それは違うと思った。よくぞここまで堪えたわよ。あんな事日常的にやられたら私でも死を選んでいたかも。あんな奴、殺害した方が一殺多生になる。殺害? 違うわね。そうなると殺害ではないわね。殺益よ。消す事で多くの人が助かるから」
「そうかい? ありがとう。まああれだけ甘やかされて育った奴は大人になり切れねえよ。だが、現実では殺したら負けだ。法曹界観点ではそうなんだろ? 絶対にやっちゃ駄目だぜ?」
「そういえばそうよね。教えてくれてありがとう。じゃあ仕方ないな。本気で我慢して殺さない様には気を付ける。ちょっとでも油断したら絶対殺しちゃうから大変だけど、私の考えうる可能な限りの攻撃で、じわじわと苦しめて生きる希望を失わせる予定よ。でも私ね、ここが地獄って聞いていてどんな怖い場所かなって思ってたのよ。でもまだ閻魔に会って少し町を見ただけだけど、今のところ鈴木さんが経験した内容の方が遥かに地獄よ。こっちの方が余程まし。まさかリアルの話でここまで苦痛に感じる話を聞く事になるとはね……いい経験になった。それに影響はあると思うよ。だって私この話は絶対に忘れないもん。さっきさ、会社が酷いのであれば文句言ってあげるって言ってたでしょ?」
「さっき?」
「うん」
「ああ、相当前だが確か6話の序盤にそんな事言ってたね」
「あれは訂正するわ。ぶち壊す」
あっ! まずい。これはまずいぞ。
「ええ?」
「現世に戻れたら、本来母親との
【再会を喜び、抱き付くす】
予定だった」
「神裔Ⅳ様だけど中身は子供だもんな。それでいいんじゃないか? まずはそうしなよ」(抱き付くす? なんだそりゃ? 抱きつくで良くないか?)
「残念だけどそれは出来ない。もし先にそれをやっちゃったら決意が鈍っちゃう。そこにずっと留まっちゃう。そうならない為にも後回しよ。だから私は蘇ってまず行う事は、木林製作所を
【災害を喜び、焼き尽くす】
予定。お説教だけに留めとく予定だったのに……全く、大分面倒になっちゃったよw」
「ど、どうでも良い事かもしれんが……
【再会を喜び抱き付くす】
と、
【災害を喜び焼き尽くす】
が、掛かってないか? ハッ! まさかそれを言いたいが為に抱き付くすという造語を……? そうだ、もし普段通り
【再会を喜び抱き付く】
と、
【災害を喜び焼き尽くす】
では語呂が悪いから……抱きつくという日本語に敢えて
【す】
を付け足し同数にした?」
「フフフ……」
「ブル」
顔面蒼白になる鈴木……それは市田の十八番だと思ったが、鈴木も使ってしまったみたいである。こんな事をする輩が増えれば、市田の存在意義がなくなってしまうぞ? まあ人は本当に恐怖すると自分の体に起こっている状態を口で表現する癖があると言う事なのだろう……ブル。
「だがよアリサちゃん? 俺さ、そこまで怒る程の事されたか? 災害を喜び焼き尽くすって……」
「当たり前よ! 私は鈴木さんの話を聞いて心が痛んだ。神裔Ⅳのこの私の心がよ? この屈辱は直接返す」
「でもな? よく考えてくれ? これは聞かなければ済んだ話だ。アリサちゃんは話を聞いてそれが納得いかなければどんな所にも行くって言うのか? そんな事が続けば体がもたんだろ! まだ夏だぞ? 熱中症で……」
「これは私の戦いでもあるの。今回だけ特別よ。これだけコケにされて黙ってられないわ」
「俺が、他人がやられた事にそこまで感情移入出来るのかよ……」
「ええ、自分の事の様に苦しかった。だから行動するわ。その木林製作所の闇を世間に触れ回り、壊滅まで追い込む予定。ねえ、他にも証拠になる様な物は残っている? 今のところ内藤じじいの捏造を隠してISO9001を継続しているぐらいかしら?」
「うーん……それぐらいしかねえよ……俺にやった数々のいじめやそれが原因による自殺も、恐らく証明する事は出来ねえ。突発的な自殺で遺書も残す余裕なかったからな。悔しいけどな。それでも社長を良く思っていない奴の証言とかを集めれば意外と簡単に尻尾を出すかもな」
「そうね……でも出来る限りの事はするつもり。国際資格を不正に所持し続けている犯罪集団に正義の鉄槌を下す!」
「そうかい? なんか申し訳ねえなあ。もう俺はあいつを許しているんだぜ?」
「口に出して私に伝えただけで?」
「ああ、君はそれを聞き、共感し、涙まで流してくれた……それで……もう十分じゃないか」
「何女々しい事言っているの? 男なら男らしくリベンジしないと……やられっぱなしで許すなんて許さないんだからね!! いいの。私を手駒に使ってリベンジしてくれたってね。喜んで協力するよ!」
「復讐は更なる復讐を生むかもしれねえぜ? 木林にも子供がいる。そいつらがアリサちゃんを……」
「大丈夫だよ。じゃあ言い方を変えよう! これはそうね……5Sよ。鈴木さん、井村の話の時に教えてくれたでしょ? 整理、整頓、清掃、清潔、躾。それは主に工具に対して行う行為だったでしょ?」
「そうだぜ。でもアリサちゃんそれを聞いた後すぐに10個足して15Sに水増ししていたけどなw」
「ああ、でも今なら105Sね」
「ひええw」
「それだけじゃ足りないよ。工具だけでいいと思ってたんじゃまだ甘いよ。あの会社は……5Sを、人事にまでも行う必要性があったのよ」
「え?」
「そう、掃除。要らなくなった工具を捨てるのは整頓だっけ?」
「整理の方だな」
「もう! 間違えやすいわねえ! でもね? 整理は人間に置き換えれば要らなくなった社長や、いじめを引き起こす人間をピックアップし捨てると同じよね? これは特に上層部の人間に対して行う事ね。リーダークラスの」
「確かに……工具だけ揃っていても、それを使う人間がクズなら意味ねえ……」
「そうだよ! そして残った奴らを正しいポジションで働かせる。これが整頓。川谷と土志田がいつも仲良く話しているのを気に食わなければ別部署に飛ばして会えない様にするとか。で、清掃は社員連中の中で腐っている様な人間。内藤の様に仕事は出来ても性格が悪く、裏で捏造している様なこの会社の寄生虫を除去するだけ」
「それは整理と同じにならねえか?」
「うーん、まあそうなっちゃうけどいいの!」
「そうだな2重の構えで完璧にするって事か」
「そうそう!! で、清潔は折角清掃し、過ごしやすい工場に変えたんだから次に入ってくる人間もしっかりと見抜き、面接の段階で汚い心の人間かどうかを推理出来る様な観察眼の持ち主を、そういう人を炙り出す質問が出来る様な鋭い人間を人事のスペシャリストとして育成するという事。それを行えば予めそんな奴を社員に入れさせないという事。木林にはそれが足りなかった。内藤、川谷、井村、名木、石井、土志田等……酷い奴が平気で社員面して働いている異様な空間を当たり前にしている。これは、奴の審美眼がナメクジよりも低いから。奴らの内面がクズ過ぎても、そんな簡単な事にすら気付けずに、平気で採用してしまった」
「確かに……ここまでクズなら面接段階でも少しはボロが出る筈なのに、一つも見抜けていなかったな……まあ馬鹿だから仕方ねえけど」
「奴は親の七光り。能力が高くてその地位にいる訳ではない。偶然元社長の子供で、大した観察眼の養い方も教えられず惰性で社長になっただけよ。本来社長になる前に人間性のチェックを実行すべきなのよ。
で、躾は、今残ったまともな奴らを捏造したりいじめが引き起こされない様にしっかり教育するという事。今の木林製作所の民度レベルから考えたら、コミュニケーション講座なんか高度過ぎるわ。それは段階を踏んでから開かないと混乱する。まず小学生の道徳からやらないと駄目よ。今までの話を聞いた限り、それすら修めていない」
「確かにそうだ……俺……よくあんな会社で20年も頑張ってたなあ……そうだよ……大事なのは工具を整頓する事なんかじゃねえ。その中で場違いな馬鹿を取り除き、働きやすい環境にする事なんだ……20年も務めててそんな事にも気付かず……ただ真面目に馬鹿の言う事に従い疑問も持たずに働き続けていた……気付かせてくれたのはこんなに若い女の子だ……すげえよアリサちゃんは……」
「ありがとう。私はそんなに長い事働いた事もないけど、いくつもの事件を解決して来たからね。事件のトリックを解明する要領で、鈴木さんから聞いた出来事を、会社の決めた事と言い疑問も持たずに続けているその違和感、おかしいと思った所をフォーカスし、論理的に考えたら納得出来ないと思える部分が出て来ただけなのよ。それを指摘しただけよ。3話までもそれをみんなの前で披露したら凄いって褒められちゃってね。今回は物を人に置き換えて見たけど、それでもしっかりと良い会社になる筈だよ。それに5Sを乱す奴が間違いと気付かず、私が暮らす美しい世界で今も幸せに暮らしているってだけで虫唾が走るんだもん。そう、復讐じゃないわ。これはただの5S的大掃除よ。単なるゴミを片付けるだけの行為よ。でも今回は念入りに掃除をしなくちゃね♪」
「復讐じゃないのかあ? 分かったよ。なら、よろしく頼むぜ! 俺が居なくなった後、別の犠牲者が出て来ているかもしれねえし……奴ならあり得る。一刻も早く食い止めて欲しいよ」
「任せなさい! 確実に消滅させて見せる」
「……」
「どうしたの?」
「俺が辛い過去を今まで具現化していなかったのは、これを貴女様に伝える為だったのかもってな……ちょっとキザだったか?」
「ちょっと! 貴女様なんてよしてよ!」
「階級も人間性も知識も全て上。そんな方がこんな達人風情の私めの為に動いて下さっている……信じられない事です。本心から尊敬しております」
椅子から降り土下座を始める鈴木。
「もう! 敬語禁止!! 土下座もだよ! 面を上げい!」
「おう!」
うっひょー! とんでもない敵を作ってしまったな、木林製作所よ……こうなってはもう助からぬだろう。アリサは鈴木とこれから別れ虚無平原内での試練さえパスすれば確実に蘇る事が約束されているので、肉体に還った瞬間真っ先にそこへ向かい、99割99分99厘の確率で壊滅させるだろう。
そう、最早自分の命を奪ったフンガーや市田などの事など眼中に無い……もう忘れてしまっている。もしこの話を聞いていなければ、死の呪文を唱えたフンガーだけでなく、それを弾き返した市田さえも216行以上に及ぶ説教をする筈のアリサがな。そして、どういう訳か木林日光一を潰す事のみに意識を向けているではないか……何というとばっちりであろう……彼女の執念深さは蛇よりもヘビーなのだ。それが今一つの会社の社長のみに一点集中されている……だがそれは一話のユッキーに対する異常なまでの排斥行動を思い出せば想像に難くない。その会社に対しても機械的に破壊活動を行うだろうな。どんなに
『止めてくれ』
と言う言葉で涙を流し懇願しても止まらないだろうな。だが私もその会社に対し良い印象はないので守る事は出来ない。どの道、止めようにも止める事も出来ないし、今私の出来る事と言えば、今の内にそこの社長のご冥福をお祈りする事程度であろう。そしてなんやかんやあって当然地獄へは落ちるだろうが、せめて来世は清く生きよ……とな……
「じゃあそろそろ行くね」
「おう、俺も責め苦の時間も迫ってきてるしな……でもよ、話し終えて何かすっきりしたわ。身も心も」
「嫌な記憶が物理的に消えたからかもね」
「それかもな! アリサちゃんのお陰だ」
「でも私は絶対に忘れない。絶対にね」
「そうか? でも何か頑張れそうだぜ! 次もし人間に生まれ変われたらもちッとマシな所に生まれる事を祈るぜ!」
「ぐすっ……止めてよ……別れ際まで乙女を泣かせて……」
「おいおい泣くな! じゃあ本当にさよならだ。縁があったらまた会おう。でな? アリサちゃん。余計なお世話かもしれないけどアドバイスだ! 絶対無理するなよ! 絶対にな! 落ち着いて行動するんだ! そうすれば全て上手くいく。だから、焦ったら、駄目だぜ!」
「もう! 心配し過ぎだってwぐすっ……でも、ありがとう! じゃあ!」
鈴木は右手に椅子を持ち、左手を振り家に帰って行く。しかし、アリサもそして私も長くなるとは予想していたが、その予想を遥かに上回る途方もない長さであった。今回、地獄内での話なのに、全くその内部の話は出てこず、地獄内であるがその男が受けた酷い虐待の事実を数回に渡り綴られた訳だ。話数にして5話の後半から今話 (27話)のアリサの
『ありがとう! じゃあ』
までで22話とちょいの間、ずっと鈴木と話していた事になる。フム、取り合えず話もここで終わった様なので数えて見るとするか……そう、遠足は終わってしまった。故に、数える義務がある……確かぼく、10万文字は行かないと
【断言】
したんだっけ? うん、ぼくが予想したんだったら10万文字は越えてる訳ないもんね。だってぼく、結構長い事やっているし、文字数に関しては達人の筈だし……まあ気楽に数えるか……まず、27話の始めから
『ありがとう! じゃあ』
までは文字数にして1、2、3……6596字。5話でアリサが鈴木に声を掛けた切っ掛けの言葉、
『ねえ』
から5話の最後までが1792文字で、後は6、7話は11111字で22222字。8話7777字、9話8888字、10話6666字、11話7777字。
12話7777字、13話6602字、14話9113字、15話8303字、16話12895字、17話9547字、18話6638字、19話9298字、20話6493字、21話7019字、22話12072字、23話14112字、24話7795字、25話8042字、26話12574字の足し算すると……合計で、
【199998文字】
かあ。はあ、なんだよこれ……10万文字を遥かに超えてしまったようわあああああああああ! 10万文字も行かないと言ったぼくの予想のほぼ2倍になってるじゃんか! でもさ? まっさかただの亡者と話しただけでこんなに長くなるなんて誰も思わねえじゃん? 完全に予想の範疇を超えちゃってるからいけないんだ! で、でもよお実質は1,9999倍か、ここまで来たら2倍にしろよ、中途半端だなあ。
でもこれ確かぼくの語りもその中に含まれてる事だったよな? じゃあもし後2文字多く語っていたら、なんとビックリ大台の
【20万文字】
になっちゃってたって事かよ。まあそれだけは回避出来たから良かったけどよお、取りあえずよかったあ……でもよお恐ろしい……危うく予想の
【倍返し】
を喰らう所だったんだあぶねー。
これではぼくが何の能力のない語り部という事がばれてしまうではないか……いやいや誰もこの予想は付かんて……誰もがこの結論には到達出来なかった筈だよ。そうだよね? みんな? 地獄に飛ばされて沢山のイベントがあるのにそれを無視して文庫本二冊分の量の雑談に専念する幼女が存在するなんてさあ! だが
【倍返し】
と言う言葉、咄嗟に今ぼくが生み出したオリジナルワードではあるが、とてもしっくりくるな。大声で叫びたくなる様な素敵な響きだ。それほどぼくの
【咄嗟にニューワードを作成する力】
が成長していた様だ……そこは素直に評価してほしい。でも、それ程の膨大な文字量で、しかも地獄でなくても喫茶店でも出来る内容の話を地獄の中で語り合った訳かあ。まあ地獄でしか使えない記憶具現で要所要所で解説し、分かり易くしていた。これは地獄でなければ出来ない事だが、それでも多すぎる……自称文字数稼ぎの鬼であるぼくでもこの量に正直ドン引きしている……確かに文字数の多い小説は良い小説だ。だが、これはどうなのか? と、その信念がほんの僅かだが揺らぐ瞬間でもあった。文字数は多ければ多い程良いと思ったのに、過剰過ぎると罪の意識を感じちゃうなんて思わなかったよ……一体何の感情だよ全く……プンスカプン。その上、話の内容も、現実の話なのに地獄よりも酷い。読者さんの見たい物はこんな胸糞悪くなる内容ではない筈。そう、地獄に落ちたアリサがそこで何が何だか分からずジタバタもがき、その中で活路を見出し成長して行く姿だった筈……なのに膨大な文字数をそこにフォーカスするのではなくどこの誰でもないモブキャラの過去のリアル話に注力したのだ。これは
【地獄詐欺】
と言われても仕方ない事ではないのか? 全く……
【アリサは聞き上手】
なのだな……たった一人の亡者と話しただけで10万文字と99998文字かあ……身の毛もよだつ量だ……だが、199998と言う数字。ずっと見ていると不思議な気持ちになるな。なんか違和感があるんだよなあ……はっ! 今その違和感に気付いたぞ! その違和感の正体は、
【余り美しくないという事】
だ。そう、1が浮いている様に見える。そしてそれが、それだけが景観を乱している様に見えないか? そして一番右の8もみんな9なのに一人仲間外れだ。これだと8がとても可哀そうである( ;∀;)ぼくはこれを救いたい! でもどうすれば? あっ! これなんかどうだ? 例えば!
【199998→ 1、99998→ 99998+1=99999】
図にするとこんな感じで、
1を99998と分け、はぐれて寂しそうな1を8の所に代入する。すると8と1が合わさり9となる。となればとっても綺麗な99999と言う形に姿を変えるよね? 199998と99999 どっちが綺麗に見える? だよね? 同じ数字ならどちらかと言うと左右対称の99999の方が綺麗だよね? って事はこれが199998の真の姿って事なんだよ! 左に一つ醜く飛び出た1を、一番右の8に移動すればそれだけで綺麗に終わる……6桁ってさ汚いじゃん? 最悪じゃん。でもこれで汚れた数字を、穢れ切った6桁から、要らない数字を片付けてすっきりした5桁になれたんだ! そうだ、これは、断捨離なんだ! あまりにも増えすぎた文字数を一旦捨てて小説をすっきりさせる。そしてすっきりした部屋で小説を書く。そうする事で新たなアイディアが生まれて来るんだ! きっとミニマリストがよだれを垂らしながらこの文章を読んでいるだろうね……彼らはそういうところがあるからね。彼らの役に立てて本当に良かった……そして、偶然だけどぼくの予想も10万文字以下の99999文字であるし、予想通りになるじゃん! そうだよ、ギリギリ10万には行かないじゃん! と、言う事は? あの時のぼくの予言は
【見事的中】
を果たした。と、言う事にしておこう。そうだよ、簡単なロジックなんだ。199998の一番左の1を取って、一番右の数字に1を足しちゃえばギリギリ助かるんだよ。いやあ、積み立ててきた文字数ってこんなに一気に減る事もあるんすねえ……驚きだよ……だがルールはルール。私の勝ちだあやったあ♡だがもしこれ以上一文字でも誰かが多く喋っていたらこの奇跡は起こらなかった訳で、上手い事収まったのは本当に奇跡だ。おまけにミニマリストの役にも立って予想にも的中なんて一石二鳥じゃん! 2重の奇跡が私を助けてくれた訳だな。普段から良い行いをしている結果がここに表れてくれた様だ。日頃の行い最高だぜえ、良かった良かった。しかしよお、この娘はとんでもないポテンシャルを秘めている……だがそのせいで怒りの声が全国から寄せられそうで怖いのであるが……私は本当にこの内容を語って良かったのであろうか……分からない。分からない……
【キラキラリーン】
「何を言っておる語り部よ。お前は間違っていない。稼げたんだ沢山! 何も文句は無いのだ。目を覚ませ!」
ぬ? ああ、私の心の中の天使か……そ、そうであるな……なら、安心だ……
【デロデロデロデロリーン】
「待てよ! その火星だ……おっと失礼……稼いだ文字の内容を反芻して見せよ……読者諸君が悲しむ内容ではないか? 文字数が多いだけでは駄目なのだ。多く、そして、それを見て楽しくなる様な文字列でなくてはならぬ。そういう観点から鈴木の回は全消去するべきである! あの話は心の弱き者では読破出来ぬ内容だ」
今度は私の心の中の悪魔か……それも一理ある……悩ましい……でも……全消去って……頑張って紡いできたのに……それは、勿体ない……
「だが、今火星だと言って訂正し、少量であるが文字数をちゃっかり稼いだではないか! それを気候はおっと、機構はおっと、奇行はおっと、貴公は良しとするのか?」
「貴公も奇行などとわざと間違い3回も多く稼いだではないか! この卑怯者! この汚さのどこが天使だ! ペテン師め」
「稼いだ文字は裏切らない!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! そして、文字数の多い小説は?」
「くっ……間違いなく良い小説……! そうだ……これは永遠不変の真理……それを言われては反論出来ぬ……天使よ、私の負けだ」
弱いな……そして折れるのが早い……ここで一発大逆転の悪魔的反論は無いのか? だが文字数は裏切らないし文字数の多い小説はいい小説なのは間違いない。こんな基本を失念するとは……私もまだまだだ……では続きを行こう!
「一人で喧嘩すんなバ語り部が! ハゲ!! 馬鹿ハゲ!!! でよ、文字数は199998文字だかんな? 見当外れな予想を断言した挙句完璧に外したのに、実際の数字をありえねえ方法でいじくりまわしてピッタリ半減させてまで予想を正当化してんじゃねえハゲ。後、ミニマリストさんを馬鹿にする様な発言は控えろな? 彼らを敵に回すと厄介なんよ」
ぬう、すまぬ……と言うか普通に会話しないでくれるかアリサよ……カタリナに見つかったらと思うと……ブル
「よし虚無平原に行く! そういえばカギが無いと開かないんじゃなかったっけ」
だだだだだ
そう言うとそれを聞いたのか丁度良いタイミングで鬼が走ってくる。
「ああ、ここに居た。アリサさん! これカギです。ミッションが終わったら返却お願いしますよ」
「うん。ありがとう」
「ではお気をつけて」
「良し行くぞ! まてよ? 冒険に出る前に買い物しないとね。筆記用具はあった方がいいわ」
店に寄る事に
「こんにちわ」
「これとこれ下さい!」
「毎度あり!」
筆と害怒仏苦を購入
「これで良し! 今まで覚えた事をここに……って色々文字があって邪魔ねえ。まあ余白に書いておこう……これで何が起こっても忘れないわ! ずっと紙とペンが無くて不便だったからねえ」
色々な事をとは一体なんだろうな? まあ地獄内のルールとかであろうな。
「それもあるけど奴らの事もね」
ぬ? そうか……木林製作所のあいつらか……だがあまり私に話さないでくれよ? 本来おかしい事なんだからね?
「後は……地図を見てみるか」
たたたたた
「骨董品の店があるわ。ここに行ってみようっと」
200m程先にある骨董品店に進む。
「ここだ。すいませーん」
がらがら
「いらっしゃいませ」
精鋭Ⅱの階級の亡者が笑顔で迎える。
「わあーすごいー。沢山あるね商品!」
「品物の多さが当店の自慢ですよ」
「あった! これ下さい」
「へい! 2万ヘルですよ」
「はい!」
「まいどありぃ!」
何かを2万ヘルで購入した様だ。一体何なんだこれは?
「じゃあ虚無平原行きますか!!」
そして階段を駆け上る。
ダダダダダ
ガチャ ぎぃ
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
どうでしたか? 語り部の初お目見えでしたが感想は……え? 何も感じませんでした? そうでしたか……残念です。
ところで、長い長い鈴木の過去編が終わり、ようやく話が進みます。5話の後書きに、
【物語は大きな〇〇を見せます】
とありました。ここでその〇〇の中を書こうと思います。正解は
【停滞】
でした。変化とか進展など、これからとっても楽しくなるんだというポジティヴな予想をされた方々には申し訳ない気持ちでいっぱいです。
ですが、実際大きく停滞しました……鈴木が登場した理由はいくつかありますが。一つだけ説明します。
アリサはこのまま長い事地獄に留まろうとしていました。寿命を削らずに色々な知識を無尽蔵に身に着けられると思いこんでいましたから。実際は肉体が腐っていくのでそんな時間はないのですが……で、出られるのに出てこないという結果になりうる可能性もありました。なので現世(上界)でとんでもない目に遭ったという話を聞き、早く蘇らなくてはと言う気持ちにさせた訳です。だとしても長すぎるんじゃないか? と思われたらすいません。書いている内にどんどん広げ過ぎてしまったみたいです。ですがこれで鈴木の過去編は終了です。長い事付き合っていただきありがとうございました。そして、お疲れ様でした。読み進めていく内に恐らく嫌な気分が残ってしまったと思いますが、最後に今までの伏線を全て回収し、誰もが驚くような内容をお届けする予定ですので、是非最後までお付き合い下さると嬉しいです。
この世にはいい人ばかりではないという事を伝えたかったのです。皆さんの周りにはいい人ばかりでそして皆さん自身もとってもいい人です。見なくても分かります。お世辞でも何でもありません。理由はこんな小説に自分の大切な時間を費やし、真剣に読んでくださる方に悪い人など誰一人もいないという事です。心の底から思っています。でも、こんな世界もあるという事を知り、日々過ごす中での理不尽な出来事で一時的に心を弱くした際に、誰かに八つ当たりなどをしようと悪い自分が出て来る場合もあります。その時、この小説で登場した最悪の人間達を思い出し、こういう嫌な奴に変わってしまわない様にしてくれませんか? 私が妄想の限りを尽くして何種類かの悪人を書きあげました。それらを反面教師とする事で、ここまでで紹介した酷い人間に変わらない様に、そうです、これからも変わらずいい人で居続けて下さい。お願いします。
そして次回、さつじん事件が起こってしまいます。何でさつじんがひらがななんだ? という疑問を抱いた方は鋭いです。ここにもトリックが仕込まれています。そう、既に死んでいる者たちしかいない世界で、起こってしまう事件。一体この先どうなってしまうのか? 楽しみにしていて下さい。




