魔界動物園の仲間たち 第6の魔界動物 OOZEKI襲来……?
魔界動物は、4回に渡り襲来するとKAWATANI襲来時の前書きで言っていましたが、魔界動物TOSHIDAの暴走を抑える事が出来ず、5話に延長してしまった事を深くお詫び致します。
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「次は大関君かなあ」
「どんな人?」
「眼鏡を掛けた色黒の、所謂オタクといった人物だ。若いのに車も運転できる」
「そいつは鈴木さんにどんな事をしたの?」
「会社の駐車場がまだ完成していない時の話なんだが」
「うん」
「脱輪しちまったみたいなんだ。駐車する際に、バックしすぎでな。駐車場が盛り上がった砂利の様な田んぼに囲まれた場所で、そこから田んぼ道に後輪だけ落ちかかっちまったらしいんだ」
「うん」
「で、何故か休み時間に俺が呼ばれ、後ろから車を押してくれと頼まれた。全く話もしていない人物から突然話しかけられたので正直驚いた」
「突然脱輪したって言われて分かったの?」
「正直なんだそりゃ? って感じで行ってみるまでどんな状況かは分からなかった。で、大関君は車に乗って前進して俺がそれを押す。だがその当時は全く分からなかったが後で思い返してぞっとした」
「どんな?」
「もしそのまま後ろに落ちてきたらと思うと恐ろしいよなあ。下手すりゃ死んでたかもしれん」
「ああ、そういう事か……それを突然休み時間中にやらされたと」
「勿論断らなかった俺も悪いけどよ。同じバイト仲間だし仕方ねえって感じで受けちまった。それにそんな事故は起こらなかったから今の俺があるんだけど」
「今の鈴木さんは死んでる死んでる」
「あれ? あ、そうだった。でもこの場合どう言えばいいんだ? えーと……」
「まあその後の記憶もあるって事よね。自殺する前までの。
【そこでは】
死んでいないから」
「ややこしいよなあ。あ、しっくりくる言い方を思いついた! そうそう、その当時は何とか生き残れたんだ。使命が残っていたから。その使命が、まだ沢山の魔界動物の悪事を記憶し、アリサちゃんに報告する為にな」
「嫌な使命ねえww」
「でもお礼の一言もないんだよ」
「ええ?」
「まああの状況じゃしょうがないともいえるが、10時から10時5分までの5分の休み時間の時に来たから。で、移動と作業込みで3分くらい掛ったからもうすぐ休み時間終了のチャイムが鳴る。そうなったらまずいって事で、二人とも大急ぎで会社に戻ったから言う暇がなかったとも言えるが。まあ別の部署の奴だったんでほとんど話した事がないからどんな奴かは今でもわからない」
「でも鈴木さんは死ぬかもしれない危険な目にあったって言うのに? 走りながらでもありがとう位言えなかったの? それっておかしくない?」
「何かアリサちゃん社長の奥さんみたいになってるぜw」
「ああ、そんな口癖だったねwでも本当におかしいと思ったからなあ。他には?」
「社長の過度の期待を受け止められなかったって所かな?」
「どんな?」
「あいつは1ヶ月でアルバイトから社員に昇格したんだ」
「ええええええ? なんで? 何か特別な事をしたの?」
「頑張ってくれているからだそうだ」
ぬ?
「はあああ?」
「社長が
『頑張ってくれているので社員にします!』
と、アルバイトの大勢いる昼礼でしれっとした顔で言いだした。みんな驚いていた。こんな事言うのは初めてだったからな。俺は悔しかったが表情には出さなかったが」
「へえ、でも1ヶ月で社員になるって事は相当頑張ったんでしょ?」
「いや、普通のバイト以上の事をしている所を見た事は無い」
「じゃあなんで?」
「恐らくは俺への当てつけだ。
『この子は1か月で社員になったって言うのにお前はバイトだねえ』
とでも言いたかったんだろう」
「そこまでする? てか鈴木さんも滅茶苦茶頑張っていたじゃない! 鈴木さんはバイトのままで! そこまでする?」
「大事な事なので2回! ああ、奴はそこまでする。まあその一か月後には辞めて行ったんだがなwその重圧に耐えられんかったんだろうな。本人も目を丸くしてたからな。え? 僕が? って感じだった」
「www」
「結局あいつは自分の見る目の無さのせいで、初めてみんなの前でバイトから社員にすると言った人物が、一か月で辞めていってしまい到底社員には相応しくない。間違いだったという事を晒しただけ。そして長くバイトを続けている数名のヘイトを買っただけ……ってこれ社長の話じゃねえか……」
「そう言えばそうよ。でもそう考えても仕方ないよね」
「大関君ごめん……」
「本人も社長のせいで辞めたんだよね」
「間違いない」
「じゃあこれで終わりって感じ?」
「ああ……大関君は魔界動物ではないなあ。6匹目だと思って話していたけど、内容が薄すぎる。これだけじゃその資格は無いな」
「大変なのね、魔界動物入り出来るのって」
「入りたくねえよw」
「じゃあ合計5匹って事なのね? これで終わりかあ。そうなると何か寂しくなるね……あ?」
「ん?」
「最強の二人って結局どこが最強か分からないって言っていたじゃない?」
「え? あ、ああ」
「今なら分かるわ!」
「どういう事だ?」
「川谷、井村、名木、石井、土志田の5匹よね?」
「うん? それで?」
「ワースト5の順位は、川谷、土志田 名木、井村、石井になるわ」
それってあなたのかんそうですよね?
「あっ、川谷と土志田が1位と2位にランクインしている!」
「そう、腕力も知力も優しさも最強ではないけれど、工場内の魔界動物の中で最強の二人だったって事なのよ」
「よく気付いたなあ。すげえよ」
「それ程でもないよ。鈴木さんって沢山の功績をバイトながらに残したのに……例えば、捏造者を発見して止めさせたり、技術を編み出してそれを社長に盗まれたり、2台同時に仕事したりと頑張っていたんでしょ? なのにリュック背負ってるのはおかしいとか……下らない事で注意して……内藤じじいを守る方がよっぽどおかしいのに……」
「そんな事は知らん。ここまで尽くしても、あ、鈴木だ。今日はどうやっていじめようかなあ? 何かいじめる材料は無いかなあ……としか俺を見ていない。人生なんてこんなもんよ」
「私、もう既に35回よ?」
ぬ?
「な、何がだい?」
「社長を殺そうと思った回数よ。まさか一度も無いの? 遅れてるわねえ……」
「いやいや……遅れてるとかそんなのは無いでしょ。あ、そういえばさっき
『また一つ増えた』
って言ってたけどまさかそれか?」
「鋭いね」
二ヤリ
「ひええ? 怖い怖い……でも35回もあったか?」
「どうやって告白するんだろうねwとか彼結気?」
「それぐらいでか?」
「まだあるよ! 能書きはいいんですとかリュックもそうだし、背負わなくなったなあ! とかまるでわしが育てた感出したし、自分だけ背負って見せつけたり、面倒な食事会開催したり、その運転手を80近い老人に任せたり、幽霊がいるぞって馬鹿にしたり、ムカデ君を潰したり、参加したくない忘年会を送別会と合わせて参加させて初参加で緊張してる鈴木さんが一生懸命喋ってるのを見て、喋ってるよ! って珍しそうに言ったり、仕事が無くなれば悪くない鈴木さんを謹慎処分にしたり、それで仕事を早くし過ぎたらそういう事をされると分かっていたからゆっくり目にやったら早くやれと煽るし、ペーパータオルを鈴木さんだけにあげない様に嫁に指示を出したり、鈴木さんが発明した技術を無断で使ったり、大した金を払っていない癖に2台同時が普通みたいに説教したり、そこからボーナスを少なくする理由にした。そして従業員を繋ぎ止める為に偽りのボーナスをチラつかせたり、社員だけで集まる会議を開催してバイトである事を強調した。それに突然大笑いして馬鹿にしたり、捏造してる内藤を正当な理由で説教してたら
『いい加減にしろ』
『おかしくなっちゃうだろ』
って社長権限をフルに使ってかばって……ISOを継続してるし、それを切っ掛けで当番表の並びを下の方にする嫌がらせをするし……大関君を早めに社員に上げてずっとバイトの鈴木さんを精神的に攻撃するし……他にはあったかしら?」
「す、すげえ……よく覚えてるな……まあそれでも35個も殺害に至る動機は無いだろ?」
「……1、2、3……うん……確かに……でも鈴木さんも良く覚えてるよね……」
「まあやられた方は嫌でも覚えてるもんさ……それに飛び降りる直前に日記を見ていて脳裏に焼き付いてた」
「で、やった方は忘れている……ここまでされたのに許せなくならないの?」
「まあ、立て続けにやられた訳じゃないからなあ。20年の間にまばらにやって来た事をここで一気に言っただけで……それにバイトってのはそういう定めじゃないか? 社員と同等に扱って貰える訳はない。と、頭の片隅にあったからってのもあるが。まあまとめてこうして話してみると許せねえってのはあるがなあ」
優しすぎるぞ鈴木よ……
「確かに一つ一つは大した事ない罪もある。でもまとめて聞かされた私にとってはもう確定で死刑しかないわ」
「ああ、まとめてって言ってもまだほんの一部だぜ? まだまだある。それに従業員の話もまだまだある。手紙でも見ただろうが120人は辞めて行ったんだからな。それを全部は流石に覚えていないし、覚えている限り言ったら誰も見てくれなくなっちまう」
「じゅ、従業員だけでなく社長に関してもまだまだあるのかよ……多すぎる……」
「ああ、残念な事に奴の攻撃の手はさらにヒートアップしていて、魔界動物達との団結力も増してしまった。それを全て語っちまえば、冗長になりすぎ読者に
『次はこう来るな?』
と予想されちまう危険性も……その時点で小説として致命的。長いしくどくてつまらないと言うクレームの嵐も避けて通れないだろうよ」
「そうよね。文字を幾ら沢山書いても、読まれなければ何の意味もないもんね……読まれて初めて文字は小説となる。それまではただの無駄に記された文字の群れなの……あ、あれ?」
ふらふら
「お、おい!」
「何でもない……でも、私にも意地がある。読者様がどう言おうととことんまで……うっ胸が苦しい……」
バタッ ゴン
青ざめ……うつ伏せに倒れ、頭から地面にぶつかる。
「大丈夫か? 読者さんに逆らうからそうなるんだぜ? アリサちゃん神裔Ⅳだろ? でも読者さんは神裔Ⅴ以上の手練ればかりなんだよ。その風格に気圧され死にそうだぜ? 本当にいいのか?」
まあ死んでも自宅に戻って復活なのだろうが……しかしアリサにそんなのあったっけ? もし死んでしまっても、復帰出来るかは不明ではある。
「聞かせて……人はいずれ死ぬ。でもそれまでの生き様でその人間の価値は決まる。私はその価値を高める為にも戦うわ。今回ばかりは読者様と対立関係になっちゃうかもしれないけど、私、これだけは譲れないの……ふうふぅ……」
熱弁してるところ申し訳ないがアリサはもう死んどるんやでぇ?
「マジかよ……どうなっても知らねえからな? じゃあ……次は傍にアリーナがあるんだが、そこでバスケをしようとか工場の庭でバーベキューをしようとか、仕事後に色々なイベントを開催しようとするんだ。コミュニケーション講座を受けた直後は特に頻繁に。
それも、コミュニケーション講座第5回目とか称してバーベキューだとかほざいていたな。一緒に炎天下の中肉を食う事がコミュニケーション講座になる訳ねえだろ。それに4回目までもまともに内容も覚えていねえ馬鹿がよ。そんな馬鹿だからこんな催しを何の罪の意識もなく思いつけるんだ」
「www」
「だから俺は一度も行かなかった。今考えて見りゃそれが奴の気分をそこねる原因の一つとなってしまったのかもなあ。
折角自分が考えた超絶面白いイベントを、いつも参加しない嫌な奴と刷り込まれちまったのかもな。だけどそういう奴が一人くらいいても良いと思わないか? だって自分が誰からも好かれているという勘違いをいつまでも懲りずに開催し続けているんだぜ? あれだけいじめても、自分は偉い社長だからバイトの鈴木は絶対に俺を尊敬し、崇めてくれると確信してるんだ。奴が俺を集中していじめる様に、俺も奴の考えを全否定していたからなあ。どんなにいい考えだとしても奴の頭から出た良いアイディアは認めたくないとな。溝は深まるばかりさ。次は……暖房に関してだな」
「うん」
「13度以下なら入れる事にすると決まりがある。だが13度になっても入れない」
「何故?」
「それがびっくりするんだが、奴は青の温かいジャンバーを着て入ってくる。作業着の上にな。で、自分だけ温かい格好で仕事をしているせいか周りも暖かいだろうと錯覚し、13度以下でも暖房を入れないんだ。どういう神経してるんだろ?」
「ああリュック背負ってた時に着てたやつか」
「そうだな。で、暑い日必ず冷房は入れるんだが俺が筋トレしている時間帯には絶対に入れてくれない」
「筋トレいつやってんだっけ?」
「8時25分に始業ベルが鳴るんだ。でもその30分前に工場内に入ったと同時に開始する。その段階では30度の空間で筋トレだ。で、へとへとになって汗だくでそれから10分位経ってから放送で
『冷房を入れて作業して下さい』
と放送される。それまではどんなに暑くても点ける事が出来ない」
「辛いね」
「まあそのおかげで引き締まった肉体を手に入れたんだがな……今は見る影もねえがなwそれと第一工場を半分冷房出来ないエリアを意図的に作り出し隔てた」
「はあ?」
「こんな感じだうおおおお」
ごとごとっ
「一つ目はエアコンが効いていない地獄エリアから青い隔壁を撮影……おっと具現した物、そして2つ目はエアコンの効いた天国エリアから青い隔壁を具現した物」
「隔壁ねえ。でも上がガラ空きだけど? それに一つ目の地獄エリアの左上にもエアコンがあるみたいよ?」
「そう、天国エリアのエアコンは動いているが、地獄エリアは動いていない。その為、地獄エリアは窓を全開にしている。そのせいか、天国エリアエアコンから出た冷気も、半分くらいしか機能していない隔壁のせいで全く涼しくない。そう、隙間から工場全体に冷気が行き渡ってしまい、地獄エリアで放たれた窓から冷気は抜けていく。それにその中途半端な隔壁が完成品を運ぶ時に一々開いてから奥に移動する事になるので面倒。普通に開く時に5秒は掛かる。例えば一日に20回往復すれば、それだけで200秒無駄になる訳だ。あっ、一々閉めなきゃいけないから合計10秒だ。そう、何の役にも立たない隔壁があるお陰で一日400秒も無駄になる訳だ」
「どうして半分で留めたの? 何でこんな事を? 誰が?」
「電気代節約の為か? その地獄エリアの一台のエアコンの起動の節約をしたいが為に、それを行ったが、天井付近はクレーンが通るので完全に隔離するまで張る事が出来ない。だから半分しか隔てる事が出来ない」
「クレーンって地獄エリアのエアコンの上のオレンジのライン?」
「ああ、あのラインをクレーンが通る。だから一番上まで隔壁を引けなかったという事。結果的にエアコンを使用しても涼しくない上に地獄エリアで常に働いている奴の強いヘイトを買ってしまった。そして、それをやったのはあのバカ社長だ」
「そこで働く人はいないから?」
「一人か二人いる。常にな。だが頭が悪いからこれが最良の方法だと確信している」
「やば……もういいわ……今まで聞いてて思ったけどこのカス共って鈴木さんがどんなにいい事をしてもそれは無視するよね。で、少しでも悪い所を見つければ騒ぎ立てる……川谷もトイレの水道で石鹸を使っただけで切れ散らかすし、井村は机の上を鈴木さんが掃除しなかったのが原因で怪我をしたと決めつけて責任逃れ、暴言を吐きつつ仕事を押し付ける。そしてカス社長は捏造じじいを正しい方向に導くという正しい事をしている鈴木さんを自殺に追い込むほど追い詰めておきながら捏造をした事がばれてしまえば会社全体の評判を落としてしまう男の内藤は甘やかす」
「そうなんだよな。何でこうなっちまったんだろうなあ……」
「奴らは鈴木さんをかなり下に見ていたからじゃない? それが実は優秀で仕事も早く饒舌で頭の回転も速いという事を認めたくなくて唯一勝っている地位の高さを利用していじめたんじゃない? 私はずっとあなたと話していて嫌いになる要素は無かったもん。という事はそいつらは見下していて、弱者だと思っていた筈が、いつの間にか追い越されて、それどころか遥か遥か遥か遥か下にいるという事実を事実と受け止めきれず、認められず、ヒステリーになったという事」
「成程なあ……って? そこまで俺優秀か? あんまり買いかぶらないでクレヨン? うおおお」
ごとっ
クレヨンの写真を具現し持ち上げ、内部のクレヨンを指さしつつ言う。
「ww」
「おいおいwこんなので笑うとはハードル低いなあwでもw笑顔も最高にかわいいぜ! で、次は……」
アリサはこの腹の出た亡者に恋をしつつある。はじめは外見でそういう気持ちにはなれなかったが、話している内にその話術と男らしさ、内面の温かさ、謙虚さに惹かれてしまった訳だ。
なのでこんな下らない冗談でも笑ってしまったという事だ。
「そうだよ」
ぬ? そうだよだと? アリサ? 今のセリフ、まさか私と? そういえば会話出来るのであった……うっかりしていた……
「ええ、心惹かれちゃってるよ 竜牙さんと言う男がいるのにさ……」
普段は無視しているであろうがこういう事には流石に反応してしまうのか……気を付けて語らねばならぬな……
「そうよ。気を付けなさいね」
はい。
「え? 何を気を付けるんだ?」
「何でもないよ……」
「そうか? で次は……」
「ギ、ギギギ」
「ん? 戯義技アル?」
「それは雷気石の洞穴に出てくる戯アルの最終進化系でしょ! ギブアップよ……ぐすん。もう、無理……」
笑ったと思ったら泣き始めてしまうアリサ。戦力250万の猛者とは思えないほどの弱々しい声でのギブアップ宣言。
「ああ、うん……そうだな……ここまでよく耐えたね。言う方も辛いけど聞く方も相当堪えただろう?」
「……うん。でも、いいなあ」
「え? なんで?」
「あ、あれ? 私何でそんな事言ったの? 取り消し取り消し」(私最低じゃん……こんな事口に出すなんて……)
アリサの今の気持ちは恐らく何もしていないのに沢山の人から虐められる経験のある鈴木を、無意識にうらやんでいたという事だ。
どういう事かというと、彼女は無意識に人が本気で怒る時の顔を集めているのだ。確かに人が心から怒る顔は恐ろしい。だが、面白い部分もある。それに滅多に見れるものでもないし、アリサがそれを得るためには工夫しなくては貰えない。それを鈴木は生きているだけで無料で貰える事実に軽い嫉妬を覚えたのだ。何故そんな物を欲するのかを知りたくば、詳しくは2話の
【司会の過去】
に詳しい理由を語っているので見て欲しい。
「びっくりしたぜ! で、まだまだあるんだけどね。まあ全ては過ぎた事だ。俺にはどうしようもない。さっさと忘れてこっちでの責め苦をこなすよ。あの体験があったせいかみんなはきついきついと言っている責め苦が俺はそこまできつくないw奴らのお陰かもなw」
「くすん」
「ああ、そういやこの中にも辞めた奴がいたが、辞める時は申し訳なさそうに挨拶してきた。まるで今までいじめてごめん。と、最後くらいはいい奴を演じただけかもしれないが」
「ぐすっ、鈴木さん……本当に偉いよ。よくこの地獄を耐えたわよ……
【ありとあらゆるいじめのテクを修めた最低社長】
【悪口大好き無能ペコリーダー川谷】
【捏造してふてぶてしく残るう〇こデブじじい内藤】
【美しい声のプライドのみで生きてる二重人格デブ井村】
【こいつらとは無関係で個人的に鈴木さんを見てくる男色系男子名木】
【知識マウントの女狂いの関西弁野郎石井】
【焦げ茶色の顔声体臭キッツイ悪口製造マシン土志田】
そんなカス共。木林7に囲まれて毎日仕事なんて私じゃ無理かもしれない。本当によく耐えたと思う」
そう言いつつ立ち上がり鈴木の頭をなでる。
なでなで
「木林7てなんだよ……うお? アリサちゃん? え? うわあああああああああ!」
ピキーン 〇〇〇〇〇〇『稀、10以上上のランクの魂に認められる』
「え? どうしたの?」
「す、すげえ……認められただけで? こんな事が……」
「え? 何か起きたの?」
「とんでもねえ事が起きた。心臓の鼓動がやべえ……」
「詳しく!」
「めっちゃ……強くなった……恐らく今までで一番の上昇量だ……稀って文字も初めて見た……」
「本当? 稀?」
「そうだ。稀。希少の稀って文字が、普段戦力が上昇する時に日とか限と記されている位置に出て来たんだ。こんな条件初めて見たぜ!」
「私の影響? 私、そんな凄い事したの?」
「ああ、卒業までぐっと近づいた。ありがとう!」
「お役に立てたなら嬉しいわ! で、私ね、まだ11年位しか生きていない若輩者だけど、その中でも一番胸糞悪い話だったわ。それにここに来る前にも色々嫌な事にも遭った結果ここに居るんだけど、今の話より酷い事ではなかったわ。正にニンスター」
「なんだそれ?」
「人間とモンスターを合わせた意味を持つ、私がかつて発明した言葉よ」
2話で生まれた言葉である。どんなタイミングで生まれたかを詳しく知りたい方は……2話へゴオだぜ!
「そうだな。人間であり怪物か……そう考えると地獄よりも現実はつれえ場合もあるんだよ」
「これが現代の闇ってやつか。誰も裁けない独裁政治……私はその社長と呼ばれているクズを心底軽蔑する」
「その通り。見る目があるね。だがな、奴はこの地位に生まれるために相当苦労した事は間違いないんだよ」
「どういう事?」
「アリサちゃんは分かる筈だと思ったのだがな」
「分からないよ?」
「今は死んでいるけど、良い所に生まれているんじゃないかい?」
「え? あー、確かに両親共に刑事だけど」
「両方公務員って相当苦労しないとそこには生まれる事が出来ないぜ?
【前の人】
頑張ったんだなあ。まあ天国に行って生まれ変わっただけかもしれないが。でもな、そのどちらかなんだ」
「ふーん、まあいいや。良く分かんないし」
「その階級で分からないとはどういう事だよ? まあいいや、親衛隊の話は大体これで終わり。そうだ、彼結気、の時の話にちょっと戻るが、確か昼休み開けに行われる従業員全員参加のお昼礼の時間に紹介したんだが、みんなポカーンとしてたぜ? その親衛隊達も口々に、
『え? 社長何でこんな事言ってるんだ?』
『新人紹介の時にそんな事今まで一度も言って無かったじゃん? どうして? 気を付けて下さいって……何を?』
ってな。あーあ……あいつのセリフも録音しておけば良かったよ」
「そうよね。でもこんなの予想付かないよね」
「ああ、そこまで頭は回らんかったよ。あいつも俺をただの働くだけのコマにしか見ていない。そんなコマが、生意気にいっちょ前に恋愛なんかするなって事だろうよ。お前みたいな準人間は、定年ギリギリまで加工だけして売り上げを上げるだけ上げて一人寂しく死んで行けって事かな? 俺にコマを作らせて大会に出させたのもその意図があっての事かもしれねえ」
「そうか……でも、あいつのやる事なす事裏目に出てるよね」
「え?」
「コマ大会に出ても逃げる作戦で会社の評判を下げちゃったし、ISOも本来それがあれば有利になる筈が内藤の仕業で本当の事言えずに後ろめたく継続してるし、食事会? もだし」
「ああ、食事会酷かったぜ……どこがねぎらいだよ……へとへとだっての……で、折角参加してやったのに、席が偶然隣で、俺を見て一言、
【ん? 居たの?】
だぜ? 何で一発も殴らなかったんだって今なら後悔してるわ」
「凄いやな奴ね……しかし製造業ってこんな屑しかいないのね……警察官の資格落ちても製造業だけは行かないわ」
「俺が大人しすぎたから付け上がったんだろうな。他の製造業は安心だぜ」
「信じられないなあ……後はあ……会社中に報告したそのう〇こ女も腐ってるよね」
「おいおい俺が惚れた子をう〇こ呼ばわりしないでくれ。仕方ねえよ。7つ位年が上だったし中卒ってのがバレてたしよ。怖くて相談したのが広がったんだろう」
「中卒なのね。確か35で自殺したって言ってたもんね。15で入って20年間耐えてたんだね……凄いわ……でも恋愛に歳なんて関係ないよ。私だって11歳だけど、20上の人に真剣に恋してるもん」
「そうなのか? その男も幸せだな」
「そうだよ。でもその幸せに気付けていないのよね。彼は同世代には無い魅力がある。
けどその人、仕事に恋しちゃってて私なんか眼中に無い感じ……え?」
サラサラサラサラ
「ああ、効果が切れたんだ。記憶具現のな……さいなら……って大した事でもねえがなwもう見飽きたw」
「時間制限があるんだ。初耳よ」
「そう。そして俺の頭からも、
【この内容は二度と思い出せる事】
は無い」
「え?」
「一度具現化した物は大勢に口頭のみの説明では難しい部分も見せる事が出来るが、使い捨てって感じなんだ」
「そうなんだ。え? でも幾つも内藤とか川谷を具現していたのは?」
「消えるは消える。だが少し猶予がある。頭に残留してるんだ。だから覚えている内に幾つも出したって事だな。だが5分も時間を空けたら出せなくなる。だからまとめて具現したんだ。それにアップローダーに一枚一枚投稿するのが面倒になってな。直接画像を張れるすんばらしい小説投稿サイトもある中で未だに
【みてみぬ】
とか言うアップローダーで投稿した画像しか貼れない古臭え小説投稿サイトもある。全く……時代錯誤もいい所だぜ。だからそのせいでいくつかの画像をひとまとめにして投稿し、その手間を省いたって事だ」
「へえ、で、番号振って一枚の画像で上手に説明してたよね。効率良いね? え? アップローダーって何?」
「え? 知らん……それにそんな横文字は勘弁してくれ。頭が処理出来ないぜ……」
「そっか。ごめん。でも土志田は少し時間を空けて具現していなかった?」
「そうか? まあ5分以内だったと思うぜ?」
「そういえばそうだね。じゃあまさか……下の名前を思い出せないって言っていたけど」
「ああ、閻魔様に教えて貰い、まず最初に自分の名前を思い出そうとして……良く分からずに俺の下の名前を具現しちまったんだ……で、残っている間は平気だったが消え去った瞬間忘れた」
「それであんな意味深な事を……じゃあコマの話を具現化しなかったのも、好きな女の子の写真も具現したくないのもそういう理由なのね?」
「そうだ。生まれ変わる寸前まで残して置きたい大切な思い出だ。薄っぺらい人生だったけど、自分で考え、成し遂げた二つの大事な思い出。最後の最後まで残して置きてえ」
「分かるよ……でも閻魔は忘れる事は教えてくれたの?」
「そこまでは教えてくれんかったな……まあ、すぐ気付くし敢えて言わなかったんだろう。それにもし生まれ変わって同じ名前になる事はねえしなあ」
「納得したわ……でもそれに気付かない亡者もいるのよね?」
「かもな……で、具現にも幾つかあり、例えば画像や文章。俺はこの2つを良く使用しているが、他にも色々とあるみたいだ」
「そうなんだ。どんなのがあるんだろ?」
「俺はやった事ないが、歌も具現出来るらしい。具現して出たブロックを触ると再生してくれる歌のブロック」
「へえ、そういえば迷路は具現しなかったね」
「ああ、アリサちゃんがあんな綺麗に絵を描くもんだから具現せず自分で書いて見たぜ」
「平等と公平のやつか」
「具現した方が楽だけど、自分で書くのも楽しかったしな。そして高度な技術を必要とする、
【映像を具現】
出来る亡者もいるらしい。それは帝・露払いから出来るという噂だ。そう、アリサちゃんの更に一つ上の階級だ。そういうのも具現して見てえなあ」
「へえ、私も修行して帝・露払いに……あっ? また……」
サラサラサラサラ
次は内藤のブロックが消える。
「じじいが……消えた……貴重なンベボギブベ族も……」
「貴重な?」
「しりとりで、ンから始まる言葉だったのに……」
「俺の作った架空の部族だよww」
「そうだったんだ。あれ? 初めて私に説明した社長技術泥棒事件での品物の写真はまだ残ってるね」
「時間差があるんだろう。これもいずれ消える。さいなら……」
「悲しい」
「そして、これも当然二度と思い出す事は出来なくなる。どんどん記憶が無くなって、生まれ変わる頃には全く別の人生が始まるって感じなのか?」
「そうか……肉体は既に滅び、今の魂が新しい別の肉体に宿る。それなのに前の記憶が残ってたら厄介だもんね。でも……それはそれで何か寂しい」
「過去の記憶が残っちまったまま生まれ変わってもな……綺麗さっぱり忘れた方がいいんだ。多分……でもな? 天国に行った奴らは全員一斉に記憶を消去してくれるらしいんだ。だが、地獄ではそういう訳にはいかんらしいな」
「地獄に落ちた人間は過去の記憶が残っているという事か。で、それを自分で少しずつ消していかなくてはいけないと……で、天国にいる魂達は過去の記憶がないまま人間に戻る日を待っているという事になるね。脳内が空っぽの状態で天界をさまよっているという事か。それもそれで空しい気もするね」
「責め苦がないだけどれほど楽な事かwで、俺は内藤の姿形は忘れたが、やっていた罪は今も覚えている。なんとも複雑な設定だなあ。まあこんな風に説明する場合には便利なんだよ。一回こっきりだけどね。まあいい。あんな奴の姿は永遠に思い出せなくてもいいと認識しているしな」
「でも、この破片どこに行くんだろ?」
「え? 考えた事もなかったなあ……分からねえや。でも時々地獄では誰かの思い出がその関連する言葉を道しるべにその人物の所にやってくるって話を聞いた事がある」
「例えば?」
「例えばさ、さっきアリサちゃんが『言われた』って言葉を使った時、脳内に言われた関連の歌が響いたと思うんだ」
「あ、ああ……あれかあ」
「それは誰かの何かの記憶具現が余りに強力過ぎて破片になった後も空間を彷徨い、それに関する言葉を使った亡者の傍にやってくるんじゃないかって話だ」
「何のために?」
「そりゃ聞いて欲しいんだろうよ。こんな苦しい事があったんだよって。みんな知ってよって。地獄に来た人間は覚えている事も辛い事が多い。だから、その話をそのキーワードを言った奴の傍に寄って来ちまうのかもしれねえ」
「成程……でも、一体誰の」
「そこまでは分からねえが亡者か鬼のどちらかだろう。魂は自分の体自身が記憶だから、具現する度に体が小さくなり最終的には消えて無くなっちまう。可能性は低いだろう」
「そうなんだ。魂ってデメリット多いね」
「おう、話を戻すが、年は離れているけどその男とは上手くいくと思うぜ。俺は無理だったけどアリサちゃんは頑張ってくれな」
「勿論よ。でも意外に優しいんだね。(あれだけの事をやられても心折れずに……そしてあのゴミクズ社長の事を一度たりともクズとか言わないで奴止まり。ゴミでいいのに……優しすぎる……それに文章力もあり力持ち……それでも一人の女性の気を引く為にその会社に残り続けた男……いいえ……漢だわ。鈴木さんに愛されたその女の子が羨ましい……そこまで愛されているのにその幸せに気付けないなんて)で、それから辞めたの?」
「流石にな……恐らく内藤の攻撃で弱ったとこを気付かれて? それともあんな手紙出せば首にもなるなと覚悟はしてたさ。だから保険証は返してねえwwささやかな抵抗だw」
「それは郵送で返した方がいいね。じゃないと国民健康保険に入れないよ」
「そうなのか? でももう死んでるから関係ねえよw」
「あっそうか。確かにね」
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魔界動物の総数はKAWATANI、IMURA、NAGI、ISHII、TOSHIDAの計五匹でした。結果4話に渡り何匹ではなく5話に渡り5匹という結果になってしまいました。ですがKAWATANI襲来時に報告した一話に一匹とは限りませんと言う予告は正しいのではないかと考えています。理由は、
KAWATANI襲来=1匹
IMURA、NAGI襲来=2匹
ISHII、TOSHIDA襲来=2匹
TOSHIDA暴走回=0匹(すでに襲来している魔界動物なのでカウントなし)
OOZEKI襲来=0匹(話中で鈴木とアリサが許した結果、カウントなし)
と、1、2、2、0、0での五匹だったからです。ここまで完璧に予想出来た方はいらっしゃるでしょうか? だとしたらとってもすげーです。心よりおめでとうを言わせていただきます! おめでとうございます!
★記憶具現について★
話はガラッと変わりますが、記憶具現はこの小説限定の造語です。調べても出てきませんので気を付けて下さい。これは、自分の死んだ時までに記憶していた記憶をブロックに映し出し、両手の中から具現化するスキルです、写真、文字列、そして文字列 (歌詞)の場合は、ブロックをたたくとそのブロックに書いてある歌詞で歌が流れる。これらは一定時間で消滅し、それに伴い脳内から記憶が消失します。そしてもし呪文を習得している者がいるならばそれも一回だけ地獄内で使用する事が出来ます。呪文に関してはブロックは出現せず一度だけ使用出来、発動した瞬間に二度と使う事も思い出す事も出来ないといった内容です。これの存在理由は、次の肉体に移る時に覚えていてはいけないものを亡者にセルフで消させるための技術です。閻魔が一人一人記憶を消去するとなると膨大な時間を奪われる為、亡者にその役目を果たしてもらうと言う事です。地獄内限定スキルですので地獄内でしか使えません。そして、これをもし、一度も使わないまま転生条件を迎えると……?




