表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
辺境の錬金術師  作者: 木偶の坊
序章
9/65

アリアという少女。

主人公は出ません。


本日。。。何話目?


主人公以外にも視点が変更することがあったりなかったり。

 アリアはケルトから借りたスライムを撫でながら、少し前のことを思い出していた。五年くらい前のことだろうか?


 アリアがその青年に会ったとき開口一番にこう言ったのだ。


「あたしの下僕になりなさい!」


 今思い出しても顔が真っ赤になってしまう。それを聞いた彼は一瞬驚いたようだったけれど、笑って「よろしくお願いします、お嬢様」と言った。


 その笑顔が今でもとても覚えている。忘れはずもない。それほどまでに彼の笑顔が印象的でとても神秘的だと感じてしまった。今はあまり素顔を見ることはないけれど、それでも楽しそうな時ははっきりと口元が緩くなっているのが感じ取れる。


 彼の前だと高圧的になってしまいがちな自分が憎いと思う。


 この気持ちが何なのかは分からない。今までそう思ったことがないから。セバスに聞いても、メイドたちに聞いてもその答えを教えてはくれない。


 彼の前だと浮かれている自分がいる。


 もっと一緒にいたいと思う自分がいる。


 彼の一番でありたいと思う自分がいる。


 この気持ちが何なのかあたしには分からない。でも、全力で運動したあとのように胸がどくんどくんと鼓動を早める。


 彼の住むところへ行ってみたいと思うこともあるけれど、それがダメだということは父から散々聞かされた。あたしはこの街から出たことがない。


 この屋敷から出たことすら稀だ。


 あたしの世界はとても小さい。自分で飛ぶことの出来ない雛だから。


 でも、いつかは飛んでみたいと思う。自分が何になりたいのかまだ分からないけど、やりたいことは決まっている。


 世界は広いってあたしは実感したい。まだ知らないことがあるんだよって実感したいんだ。


 あと二年。


 五年も待ったんだあと二年くらい待てる、と思いたい。成人すれば冒険者になれる。父は反対するかもしれないけど、それでも将来自分がどんな道に進むのなんか分かるはずがないのだから、まずは冒険者になろうと思う。


 彼があたしのことをどう思っているのか知らないし、


 あたしが彼のことを考える湧き上がる感情がなんだか分からない。


 あたしは分からないことだらけだ。どんなに勉強しても分からないことが多いい。


 分からないことが多いことは怖いことではあるけれど、それでも少しでも前進みたいって思うから。


 あたしは冒険者になる。


 そんなことをつい最近考えるようになった。

読んで下さってありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ