勇者と錬金術師。その七
「ルルリアさん、お疲れ様です」
王宮への入り口に到着した三人は門番に話しかけられ、ルルリアが門番に短剣を見せる。
「確認しました。すみません、規則とはいえ近衛騎士であるルルリアさんに」
「大丈夫っす。剣舞祭っすからね、当然っす」
「ところで、後ろの方は?」
ケルトは事前に渡されていた手紙を門番へ渡す。性格には手紙と一緒に送られてきたカードを門番へと渡した。
「ケルト・シエルハイム様に弟子のティアさんですね、警備のほうから話は聞いてます」
「武器等は預けなくても?」
「預けても仕方ないので、受け取らないんですよ。魔術師相手に魔法使わないようにと言われれば封具をつけてもらうしかありませんし、コスト面を考えるとそれも無理ですし」
王宮を訪れる人間に対して全員に武器を出してくれと頼んだところで意味がないのだ。この世界の人間はその体自体が武器であり、防具である。そういった格言があるほど身体能力が高い。
武器を取り締まるのであれば犯罪者と同じような扱いをするしかないが、王宮を訪れるような、ましてや招待されて王宮へくるような人間に対してそのような処置をできるはずもない。
故に武器を預かるようなことはしていない。
ただ形式上として武器の確認は行っている。
なのでケルトとティアは持っている武器を門番に見せる。
「協力に感謝します。ケルト様は剣術を嗜んでいるとか、ぜひご教授お願いしたいものです」
「はは……そんな大したものじゃありませんよ」
「ケルトお兄ちゃん、また謙遜してる」
「美徳とは言い難いっすね。嫌味にしか聞こえないっす……努力が否定される気分っすよ」
昔こんな話を聞いたことがある。何かの大会に優勝した人間が優勝できたのはただ運がよかったのだと。
それは負けた人間に対しての侮辱だと思う。
負けた人間は確かに運が悪かったのかもしれない。でもそれだけで片づけていい話ではないし、今まで死ぬほど修行を積み重ねてきたはずが口軽くそんなことをいう人間に負けるはずがないのだ。
才能の差はあるだろう。
要領の違いはあるだろう。
ケルトの言葉はそれらを否定しているようにルルリアには聞こえた。魔王の脅威に怯えている人類は運が悪い。
そういっているようにも聞こえた。
本来なら思いっきり殴ってやりたいところだが、ケルトはおそらく避けるし、何よりグレイフィア様の思い人だ。
ルルリアはどうしようもない、行き場のないこの気持ちをため息とともに吐き出すことにした。
「お兄ちゃんはもう少し、考えてものを言わないと」
「俺は結構考えて話してると思うよ?本当にそう思ってるだけなんだけど……弱ったな」
「では、小官はこれで」
門番は鍵を開け、三人を中に入れるとまた鍵を閉める。
「と、とりあえず俺はどうして呼ばれたんです?」
「剣舞祭で王都に来るってことだったっすから、ついでっす」
ついでで王都に呼ばれるものなのだろうかと考えながらも王宮へ続く長い道を歩き出した。
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