勇者と錬金術師。その四
場面飛び飛びまくって申し訳ない。
切り替えのコツというものがよくわかりません。
「僕は勇者になったんだね」
先ほどまで剣が突き刺さっていた台座を眺めながら、女性受けしそうな優男がそう口にする。
「……厨二乙」
下校中に木の棒を拾ってはしゃぐ小学生のようなことを言っている目の前の男に呆れたように呟くいろんなところが子供っぽい少女。
「でも、やっぱり京ちゃんが勇者だったね。ビジュアル的に勇者勇者してるし」
「意味がわからないよ……ミヤビ。そういえば竜胆先輩は?」
「先輩だったら、『俺には関係ないから、こちらで勝手にやらせてもらう』ってどっかいった」
それでいいのかと項垂れつつも台座から引き抜いた剣を用意されていた鞘へと収める。
「京ちゃん、その鞘すっごい能力があるんだって」
「これで、竜胆先輩にも勝てるかな」
「たぶん、無理」
ミヤビははっきりと告げる。
「そこまではっきりと断言しなくてもいいじゃん。僕は勇者だよ」
「京ちゃんが勇者だったら先輩は神様かなんかだね、それくらい実力が違うよ。先輩って日本帝国軍所属だって」
「自衛隊じゃないんだね」
「聞いてびっくりだよ。日本って自衛隊だけが軍隊じゃないって話。能力者だけが所属する裏の組織が日本帝国軍。都市伝説だって思ってたんだけど……」
ミヤビは未だ信じられないのか言い淀む。
「先輩も能力者なんだよね」
「珍しい能力らしい。僕は能力者のこと良く知らないからなんとも言えないけど、聞くとエースだったらしいよ、竜胆先輩は。僕らの仲間としては最高だね」
「でも、巻き込まれただけの人って大抵一人でどっかに言って、異世界生活を謳歌しつつそのうち魔王とか倒してそうだよね」
言われてみればそんな感じがすることに納得しつつ、鞘に収めた剣を腰に吊るした。
剣を腰に吊るしたところで煌びやかなドレスを身に纏ったお姫様をイメージさせる女性が京一郎のそばへと歩み寄ってきた。
「勇者様、やはり勇者様は勇者様でしたね。ミヤビ様の言うとおりでした」
「ふふふ。巫女たる巫女様に間違いはないのだーー!」
「ミヤビ……キャラぶれがひどいよ」
楽しそうに巫女?らしい振る舞いをしているミヤビの隣で少々疲れた様子で京一郎は二人を見ていた。
「ところでメルフィア様、その勇者様っていうのやめません?」
「でも、勇者様ですよ」
「僕は京一郎です。親しい人は京と呼びます、姫様も出来れば」
「わかりました、京様」
勇者の剣以上に黄金の輝きを放つメルフィアの笑顔に心を奪われる勇者京一郎だった。
いつも読んでくださってありがとうございます。




