勇者と錬金術師。その三
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ルルリアのところに手紙が届く少し前。
辺境の地では幼き錬金術師見習いが年齢不明な師匠のもと今日も材料と釜を相手に術を行使していた。
魔力制御の修行がひと段落すると、今度は釜を媒体として術を行使するまるで御伽噺に出てくるような魔女を思わせるそれをひたすらに行っていた。
「ケルトお兄ちゃん、錬金術って願いみたいだね」
幼き錬金術師は近くで椅子に座り難しそうな書物を読んでいる銀髪の青年はその言葉を聞いてうれしそうに、
「そうだね」
と言った。
「確かに錬金術は便利だけど、使い方を間違ってはいけないよ。いつも言ってるから大丈夫だと思うけど」
「わかってる、わかってるよ。それにまだまだお兄ちゃんみたいに【陣】なしに術使えないし」
「普通は【陣】を使うからね。俺のはちょっと特殊で戦闘用の技術だから。魔法が苦手だから錬金術で補ってる」
積み上げられた本が倒れそうになりそれを支えると数段ずつわけまた積み上げた。その行為に視線が移るが、すぐケルトに視線を戻した。
「俺の場合は戦うことが多いからね。戦うで思い出したけど、少し王都に行く用事があるんだけど一緒に行こうか」
「いいの?」
「リックさんからも許可もらってるしね。道中、魔物とか盗賊とか戦う機会もあるだろうし、少し戦い方を教えてあげるよ」
「錬金術師の?」
「魔法使いとしても、だね。戦士としてはあんまり教えられることないから、養成学校で覚えるといいよ。今度から錬金術師、魔法使いの両方の戦い方を教えてあげる。あんまり変わりはないしね」
「でも、杖で戦う自信ないよ」
「杖で戦うの?」
ケルトは聞き返す。
「だって、錬金術師って杖で戦うんじゃ……」
「中にはそういう人もいるだろうけど、杖限定ってわけじゃないよ。使いたい武器を使えばいいよ。俺だって普段何ももってないでしょ」
「そういわれるとそうだね。お兄ちゃん、弓うまいよね」
「武器で言えば、確かに弓は使いやすいよ。魔法を使うときに攻撃系統の魔法は自分が扱いやすい武器をイメージすると発動しやすいよ」
素直に聞くティアに一瞬視線を移すと後ろで黒い煙いが上がっている。
「ティア、話を聞くとき視線を合わせるのはいいことかもしれないけど、作業中に目を離すのはいただけないよ」
爆発までしなかったものの、釜からは黒い煙が昇り天井を黒くした。
「あはは……ごめん、お兄ちゃん」
煙をなんとかしようとしたためティアの顔は煤だらけになってしまった。
「ははは。かわいい顔が台無しだね、ティア。とりあえず顔を洗ってきなさい。こっちは俺の方で片付けておくから」
「ほんと、ごめんなさい」
「いいよ。それより怪我がなくてよかった」
無意識に言っているのだろうが、聞いている方が気恥ずかしくなるような言葉ばかり言ってくるケルトに多少の苛立ちを覚えながら、庭裏にある井戸へと向かった。
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