勇者と錬金術師。その二
13時間も投稿遅くなってしまったー!
『長い前置きが苦手なので、率直に窺います。グレイフィア王女殿下の体調はいかがですか?ルルリアさんにしっかりと対処法を教えているのでたぶん大丈夫だとは思いますが、一応俺の方で調合した薬を送っておきます。あ、そうそう忘れるところでした。今度王都で剣舞祭があるみたいですね、そのときはルルリアさん案内の方お願いします。
辺境の錬金術師ケルト・シエルハイム」
「とまあ、こんな感じっす」
ルルリアは手紙の内容を読み上げ、二人を見る。王族に手紙を送る場合、上級貴族であれば、自分の領地の状況を述べ王族の対する崇拝にも似た言葉を書き連ねるものなのだが、この男はそんな感情を持っていないということがこの手紙からは読み取れる。
上級貴族で何しろ、例えば村長が王族に手紙を書いたとしても多少の違いはあるものの、基本的には国民でよかった的なことを書いてそれから本題に入るものだが、どうその手のことはしないらしい。
いきなり本題に入る手紙の主に呆れるメルフィアと楽しそうに笑うグレイフィア。
「とても無礼な方ね」
「ねぇ、お姉ちゃん。誰もわたし宛って言ってないよ」
それを聞いて慌てて、宛先を見る。
グレイフィアの言ったとおり、一見グレイフィアに手紙を送ったように見えるが、この手紙にはふたりの名前が出てきている。
「ややこしいっすよね、ケルケルは。でも、たとえグレイフィア様宛に書いても長い前置きなんて飛ばしてしまいそうっすけど」
「確かに」
手紙の宛先はグレイフィア直属のルルリア宛のものだったが、それでももう少し書きようがあったのではと考えてしまうメルフィア。
「ところで、お姉ちゃん。勇者様たちは剣舞祭に参加するの?」
「そうしようと思ってるわ。そのために今は訓練を積んでもらってるのだし」
「勇者様たちの訓練見てて思ったんすけど、その他さんの方が圧倒的に強くないっすか?」
ルルリアが疑問に思ったのは、勇者と巫女。そしてその他にあたる無精髭の男。年齢的には勇者と大した違いはないはずなのに十歳くらいは老けてみえる。言い方を変えれば大人に見える。
「竜胆様ね。何でも向こうの世界では軍人だったらしいわ。カイエンを赤子の手を捻るかのように倒してしまったのには驚いたわ」
竜胆は学生の身であるのにも関わらず、能力者だったため幼少のころから少年兵として戦場を駆け巡っていた。
その事実をこの場にいる人間は知らない。
もっとも勇者にはそういった純粋な力は必要ない。勇者とは選定によってのみそれを名乗ることが許される存在だからだ。
今現在勇者と呼ばれている人間は確かに選定によって認められた人物だった。
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