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辺境の錬金術師  作者: 木偶の坊
序章
33/65

依頼と新人冒険者もどき。その五

「ボア自体はそんなに強くなくても今の二人の実力は、村人より多少は強い程度の子供なんだ。ボア相手に全力で行かないと怪我だけじゃ、すまないよ」


 ケルトはそういいながら次のボアを【迷い森】の幻術に掛ける。今のケルトの役目は二人にボアを狩らせるための猟犬といった感じだ。本来ならこの幻術を使わずにボアを始末してほしいものだが、二人はケルトの正式な弟子というわけではない。そのためケルトも二人にはそんな要求はしない。


 普段、あまり戦闘するところを見せないケルトだが、ケルトの弟子がいないわけではない。普段は錬金術師としてギルドに立ち寄ることが多いが、それなりに特別な依頼を受けたりするかなり高位の冒険者でもある。


 薬師のような仕事をしているため街の近くからあまり離れることはないが、それでも今いる冒険者で対応できない場合なんかは指名依頼という形でケルトに届くことがある。


 幸いにも【夜】の期間中は高位の冒険者がこの辺境に集まるため、ケルトが直接出るようなことはない。そのおかげでのんびりと新人の様子を見ることが出来ている。


 ただ、この二人を新人と扱うには少しばかり変な感じもする。すでに初陣を済ませ、その初陣の相手がドラゴンだったのだ。普通なら死んでいるところだが、二人は生きて帰ってきた。討伐したわけではないが、ドラゴンに会って生きて変えるだけでもかなり違う。


 恐怖は人を成長させるというらしいが、この二人はまさにそうだろう。


「はっ!!」


 ケルトが二人のことに関して思考しているとその二人には多少の変化があったようだ。


 ボアに向かって走り出すアルの体が一瞬だけ淡い光を放つと剣戟の速度が上がる。普段持っている剣と同等の芸当が出来ている。


 しかし、タイミングを少し外したため、ボアに致命傷を与えるまでには至っていない。


「ライトニングスピア!!」


 ダメージを受けたボアが一瞬立ち止まったところを雷光が貫く。


「ナイス!射撃!」


「アル、こっちはいいから。次くるよ!」


 後方で弓を構えて指示を出すメル。切れかけた集中力をもう一度点火させるアル。


「悪くはないな。負荷を掛けられている状態から魔力を使えるようになったか」


 ケルトは二人の様子を見て、上達が早いと感じていた。


「二人とも。それを片付けたら少し早いが昼食にしよう」


 既に討伐した二対のボアを素早く解体しながら、ケルトは足元に錬成陣を描く。そしてその上に小石を何個か積み上げ、【陣】の一部を足で消した。


「解体」


 【陣】が一瞬だけ光を放つとボアは部位ごとにきれいに解体され、血が一切流れることなく服を汚すこともなかった。


 積み上げられていた小石は砕け、砂───塵になって消えた。

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