新人冒険者と錬金術師。その四
PC復活。
これで勝つる。
「家の中に入ろうか……何だか、天気も悪い」
「そ、うですね。そうします」
メルは空を見上げると、雲行きが怪しくなっていることに気が付く。今にも雨が降ってきそうだ。
中に入って間もなくすると、ぽつり、ぽつりと雨が降り出す。メルは家があって助かったと思った。一応、雨の日でも野宿できる簡易結界石を持っているとはいえ駆け出しの冒険者には少々値が張る。
「もう一人は大丈夫か?」
ケルトはメルに尋ねる。
「大丈夫です。彼は少し、いえ、結構精神的によわいんです。でもでも、いつもひょっこり元気になってメルを元気づけてくれるんです。たぶん、今も精神的に少し落ち込んでるだけなんです。心配しなくてもすぐに戻ってきますよ」
アルのことを口にする彼女はどこか楽しそうにそして愛おしそうに話しているとケルトは感じ取った。この子はきっと彼のことが好きなんだろう。
「君はアルってことのことが好きなんだね」
そう言われたメルは一瞬熟れたトマトのように顔を真っ赤にするがすぐに落ち着きを取り戻し、はっきりと言った。
「メルはアルのことが好きです。初恋なんです、彼は。ケルトさんにもそんな経験ありませんか?」
「どうだろうね、記憶がないから。でも、その気持ちは分かるよ……とてもとても昔に君と同じような気持ちになったようなことがある気がするんだ。霞がかかってうまく思い出せないけどね、それでもとても幸せな感情だ」
ケルトは絵本を本棚から一冊の本を取り出した。
「これは時々夢見るものを書き起こした物語なんだ」
それをメルに手渡すとドアをノックする音が家の中に響く。
「お兄ちゃん。いる?」
可愛らしい、幼い声が玄関の方から聞こえてくる。
「いらっしゃい、ティア」
「あれ、お客さん?出直す?」
「構わないよ、それに雨も降ってるし。これで返したらリックさんに後で滅茶苦茶怒られる」
そう言うと小柄な少女ティアはとことことケルトの後ろをくっついて歩くと、ケルトの隣に座った。ちょうどメルの真向かいに位置する場所。
「お姉ちゃん、こんにちは」
「こんにちは、えーとティアちゃんでいいのかな?」
「そだよ。そういうお姉ちゃんは?恰好から見ると、冒険者?」
メルは頷いた。
「いーな、いーな。冒険者いーな」
「ティアちゃんも冒険者、目指してるの?」
「ううん。冒険者にはならないかなぁ、でもれんきんじゅつしにはなろうって思うんだ」
「錬金術師?」
ティアは満面の笑みで頷いた。
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