新人冒険者と錬金術師。その一
文字数がばらつくな。
うーん。
ま、いっか。
ケルトが自分の家に帰ってから数日が経過していた。いつも通り薬を作ったり庭先で剣術、体術の型を一通りこなしながら身体を動かす。
それから朝食を食べ終わる頃にこの家を訪ねる二人組の人間がいた。一人は小柄な少女、もう一人は少女より少し背丈の高い少年だ。少女の手には紙のようなものが握られている。
一瞬だけ見えた絵柄から推測するにどうやらここまでの地図のようだ。誰かにここまでの道を教えてもらったのだろう。
二人をウッドデッキまで案内するとそこにある木製の椅子に座るように促す。
「それで、君たちは俺の依頼を受けるということでいいのかな?」
「条件次第で受けてやってもいいぜ!」
「……条件次第?依頼の報酬は依頼書に書いてあると思うけど……」
少年とケルトとの会話に少女が口を挟む。
「アルじゃないけど……依頼書にある討伐に同行ってどういうことです?それに報酬の銀貨三十枚は少し高いって聞きました」
ケルトがギルドに依頼した内容であれば銀貨五枚が妥当なところだろう。それを数倍以上の報酬を出すと言っている以上、明らかに普通ではない。ベテランの冒険者であれば、警戒して受けないのが普通だ。
「あとは、ケルトさんの話を少し聞きました」
「で、……メルちゃんだったね。俺をどう思った?」
「……わかりません。クローディアさんや、シンリーさんに話を聞きましたが……わかりませんでした。ただ二人ともとても信頼していることが分かりました」
「君は?」
話を振られた少年はクローディアやシンリーから直接話を聞いたわけではなく、隣にいる少女に聞きかじった程度のようだ。
「俺はそんなことより──討伐についてくるって何考えてんだ?俺らは冒険者だ!!!依頼者に監視されなくても仕事は出来る。それについてこられても足でまといだ」
「アル!!」
流石にここまで言われれば機嫌が悪くなると思ったメルは咄嗟に少年の名前を叫ぶ。けれど、怪しげな外套で顔を隠した男はとくに何も言わず次の言葉を待っている。
おそらく試されている。
メルは直感でそう思った。アルはどこか夢見がちで現実を見ていないことが多い。態度にしても、言葉遣いにしてもそう。クローディアはそう言うやつはいつか失敗してから初めて分かると言っていた。それもただの失敗ではダメらしい。
クローディアの知り合いは仲間を失って初めて、自分の言動の責任に気付いた。メルはアルがそんなことにならないように、そうなっては欲しくないと思いながらアルを見る。
その視線に気付いたのかアルは居心地が悪そうに依頼主の家から少し離れたところにある川へと移動する。
「すみません、ケルトさん」
「いや、いいよ。それよりも報酬がどうして多いかだったね」
「はい」
「依頼が多いのは二週間程拘束するからなんだ。つまり長期依頼だね……。あの子が言った討伐系について行くのは、俺がボアの捌き方をレクチャーするため、薬草採取は薬草の見分け方を教えるためについて行くし、鉱石のとりかたも同様だね」
これを聞いたメルは思う。これではこの人にとってあまりにもメリットがない。
「今、俺にメリットがないとか思った?」
ケルトはメルの顔を窺うとケラケラと笑う。嘲笑うような笑い方ではなく、楽しそうに笑う。
図星をつかれたメルはぎょっとなるが、その表情を見てケルトはさらに笑った。
「確かに俺にはメリットがないね。でもさ、人を助けるためにメリットなんているかい?」
そういうケルトは怖いくらい真剣だった。
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