新人冒険者と錬金術師。その二
夜に更新出来なったな……寝ちゃったし。
あと、投稿ボタンをクリックするだけで良かったのに。
「俺はメリットとか考えたことがないんだ。ただ冒険者をやっている以上、確かにメリットは大事だね。銅貨よりも銀貨、銀貨よりも金貨。それだけでより高い収入の依頼が受けられるようになるかもしれないし、家族を養うことが出来るかもしれないし、満足に飯にありつくことが出来る。確かに大事だね、報酬やメリットは」
フードを外したこのケルトは何とも言えない雰囲気に包まれていた。ケルトの言葉を静かに聞く少女はそう感じた。
「ケルトさんはどうしてメリットを考えたことがないんですか?」
「それは俺にも分からない、俺には昔の記憶がないからね。もしかしたら昔の記憶が影響してるのかもしれないけど、正直どうでもいいと思ってるよ。俺も冒険者の端くれだから、誰かと一緒に行動したときくらいは仲間を優先するけどね」
「だから、みんなから好かれるのもかしれませんね、ケルトさんは。『永遠の栄光』のクローディアさんは言ってました、バカがつくほどのお人好しだって。同じレギオンのシンリーさんは、憎めないやつだって言ってました。ダークエルフとエルフは仲が悪いのに、シエルハイムだけには憎めないって」
かつて自分が面倒を見たことがある二人がそんなことを言っていたことを嬉しく思う。
「どうでもいい話はここまでにして、報酬は5級の回復薬と俺特製ボア鍋と鉱石に応じて武器を作ってあげる」
「……は、破格過ぎです。それに5級って軽く金貨数十枚はしますっ!」
「それは問題ないな、どうせ俺が作るから」
「へ?」
「俺、錬金術師」
ケルトはそう言うがメルの頭の上には疑問符が浮かんでいた。メルは錬金術師が何なのか分からないようだ。
「……なんで、錬金術師になろうと思ったんですか?」
「なんでだろうね、ただ錬金術師たちは決まって魔法が不得手なんだ」
ケルトは小声で何かを唱えるとそれを空中に向けて放つ。
「……対人攻撃魔法、ファイアボールですね。でも」
隣にいたメルにははっきりと聞こえていた。詠唱があまりにも遅い……メル自身も魔法が苦手だとはいえ対人、それも養成学校で覚えられるような魔法は5秒もあれば発動できる。式の構築だけであれば2秒はかからない。
それがケルトの使ったものは対人とは名ばかりで、あまりにも発動までの時間が掛かり過ぎる。
「こういった魔法はどうしても精霊たちの力の一部を借りるから、俺の場合は精霊たちが魔力の強さに逃げちゃって、構築に時間が掛かるんだ。書物によれば、他の錬金術師も似たような悩みから錬金術師になったって者が多いみたい」
ケルトは『錬金術師』とだけ記された本を見せながらそう言った。
読んで下ってありがとうございます。




