新人冒険者と古参冒険者。その二
更新予定は活動報告やツイッターの方に掲載してますのでよかったら見てください。
「シンリー、団長であるうちを殴るって頭がどうかしてると思うぜ。たかが胸の話程度で」
「たかが?わたしは結構気にしてるんですっ!!」
怒りマークが頭の上に見えそうなシンリーの横でケラケラと笑いながら、高級そうな酒瓶を躊躇なく開けていく。
「話が大分逸れたな。あいつの話はあいつ本人に会って確かめればいいんだが。少しあいつのことを知っていてもいいだろう。な、シンリー」
「彼のことはしっておいても損はありません。見た目は弱そうで大した魔力も感じられませんが、彼の場合見た目で侮ると痛い目に合いますから」
そう言ったシンリーは目の前にいる少女、メルの手に握られている紙に目を向ける。
「それは?」
「ケルトさんって人の依頼書です。依頼を受けるかどうか考えてて……」
「成程。依頼者を知るというのも冒険者としては大切なことです。中には悪質な依頼主もいますから。それで団長からシエルハイムの話を聞いていたのですね」
「は、はい」
「わたしから教えられることは彼はダークエルフだってことぐらいですね。その他は、彼も冒険者ですので実力云々は本人に会ってみせてもらうといいでしょう」
メルはダークエルフというものが何なのか分からなかった。
「おい、シンリー。このひよっこちゃんはダークエルフを知らないみたいだぞ」
その言葉にシンリーは呆れた口調で返答する。
「そもそも知っている方が可笑しいですよ。彼らはいるかもわからない伝説的な存在ですから。ただでさえ繁殖能力の低いエルフが別種族と交わるなんて普通考えられませんし。それに他種族との子供が出来る確率なんて零に等しいくらいの確率なんですよ」
「は、はぁ」
「森の民である我々が同種以外と交わるなんてそもそもおかしいんです!!」
シンリーは急に生殖についての話を熱く語り始めた。他の種族は盛ってばかりだとかみんな胸ばかりで決めたりとか、清い交際をするべきだとか。
「こうなるとシンリーはダメだ。で、ダークエルフってのは理解できたか?」
「つまりはエルフ様とのハーフってことですよね。半分エルフ様ですっ!!」
「……お、おう。あながち間違いではないな、うん。ただダークエルフってのは魔族とのハーフだ。そしてダークエルフは子供が産めない。ま、例外はあるが」
「ま、魔族ですか?」
「そうだな、世間一般には人間の敵だな」
そう告げるとコップに入った酒を一気に飲む。それを知ったメルは何も言えなくなった。アルは……相も変わらず停止状態だ。
クローディアでは内心、「大丈夫なのか、こいつ」といった視線を向けるが当分戻ってきそうもないので、そのまま話を続ける。
「世間一般にはってだけの話だ。実際に会って話をしてみるといい。根はいい奴だ。それにさっきもいったが、この依頼は出来るのなら変わって欲しいくらいだ」
そういうと酒がなくなったのか、また注文していた。
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