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9.ヒロイン(予定)を観察してみたい!

◆王都中心街 菓子店「ステラ」の前  カゲ丸視点9


 今日が決行の日だとクロミから聞いて、リオンには『パルセノス家の弟妹に用事がある』と別行動を申し出た。

 従魔契約を結んでいるとはいえ、授業なんかでオレが使役される事は無い。魔法の実技も対戦授業もリオン一人で十分事足りるのだ。

 案の定『伯父上たちに迷惑かけるなよ。夕飯までには戻って来いよ』と快く送り出してくれやがった……寂しくなんてないからな~~。


「わん…(長くないか…)」

 ミスティが菓子店に入ってから、オレ達は外でおとなしく待っているのだが…

「きゃんきゃん(いっぱい買うって言ってたよ)」

 クロミは『おかし!おかし!』とウキウキしている。君ら本来の目的を忘れてないかい?


 結局、自分がリカルドに言うのはヤバいと気付いたミスティは、ハロルドを巻き込んだ。

「姉上…。僕をダシにするだけじゃ飽き足らず、荷物持ちまでさせる気じゃ……」

 ハロルドの『買い物の社会勉強』と称して、お菓子を買いに行くミッションだとリカルドからお小遣いをせしめたのだ。意外と策士だな…


「わんわん!(大丈夫、ボクが持って帰ってあげるよ!)」

 マシロが一生懸命ハロルドを慮っている。うちの弟妹可愛いが過ぎるぞ。


 そんな一人と三匹の様子を、行列に並ぶ人々が微笑ましく見ていた。

 この中にもしかしたら【ヒロイン】がいるかもしれない…。年はリオンと同じ16歳。ブラウンの髪に赤い瞳。造作は小説なのでわからない。

 ざっと見渡して…いち・にぃ……5人か。一人で来ている筈だから…、う~ん…今日は居なさそうだな。


 菓子店の扉が開いて、店員が出てきた。

「申し訳ありません!本日の限定クッキーはただいま完売いたしました!」

 と、丁寧に腰を折る。『あらまぁ』とクッキー目当ての数人が列から抜けて行った。

 その中に一人、茫然と立つ女子がいて…あれは…


「いっぱい買ってしまいましたわ!」

「姉上…買いすぎです!買占めは良くないですよ!」

 買った荷物を店員に持たせたミスティがお店から出てきた。

 限定クッキーが無くなった原因は、お前か…


「いえ、限定クッキーはお一人2箱迄で、丁度お嬢様で終わりだったのです」

 店員の女性はハロルドに荷物を渡しながらそう言うと、お店に戻っていった。


 やはり【悪役令嬢(予定)】には冤罪が付きまとうんだな。疑ってスマン…

「すみません。勘違いしました…」

「べ…別にいいですわ!悪役令嬢っぽく見えたならOKですもの」

 …まだこだわってたんだな。ソレ…


 ていうかオレはさっきから、あの娘が気になって仕方がない……。

 限定クッキーが買えなかった風な、髪はキャメルブラウン…ブラウンより薄いが一応【ブラウン】か?瞳は赤…というよりは濃いめの茜色?…歳もリオンくらいだな。


「ワンワン!」

 ミスティの視線をさり気なく彼女に誘導する。ハロルドが『ああ』と気付いたようだ。

「限定クッキーが買えなかった方ですね。…ずいぶん項垂れていらっしゃるような」


 彼女は暫く茫然としていたが、やがてトボトボと歩き出した。


「(ボソッ)ウォン(追うぞ)」

 小声で吠えて、彼女の方を促がす…ハロルドならこれで気付くだろう。

「(ボソッ)姉上。カゲ丸はあの女性が気になるみたいですよ。尾行しましょう…」

「(ボソッ)…わかったわ」




◆ミノタリオ男爵家の前  ミスティ視点4


 わたくし達は市街地図を広げて、探し物をしているかの様に装い尾行を続けましたの。彼女は一度も振り向く事は無く、一軒の屋敷に入って行きましたわ。

「姉上…ここ、ミノタリオ男爵の屋敷ですね」

 ハルが私の持つ地図を指して教えてくれました。さすが次期侯爵ですわ!


「因みに逆向きですよ…地図。もう少し勉強して下さい」

 ムムム……。ちょっとリオ兄様に似てきたのではなくって?可愛げがありません事よ!


 

《ガッシャーーーン‼》 ミノタリオ男爵家の屋内から破壊音

「きゃあ‼」

 すると、突然扉が開き、先ほどの女性が転がり出てきましたの!


「テル-!この役立たず!」

「御菓子の一つもまともに買って来れないのぉ?ホント愚図ねぇ」


 …テル-【ヒロイン】の名前ですわ。

「(ボソッ)中年の女は義母?もう一人は義姉?」

 こっそりとカゲ丸ちゃんに確認すると、頷きが返ってきました。


 この前のリオ兄様経由でカゲ丸ちゃんから聞いた情報によると【ヒロイン】はこの二人に扱き使われ、虐待されているとのことです。

 お母様はとても悲しんでいらして『同じヒロイン枠として、何とか出来ないかしら』と仰っていたわ!

 

 フフフ……これは【悪役令嬢(わたくし)の出番(ターン)(※ミリア語録)】というヤツではないのかしら!





[おまけ]~デュエリスト・ミスティ~(ある日のパルセノス邸)


ミスティ「わたくしのターン!ドロー!…クロミ?」

  影からクロミの代わりに現れるアリサ…


アリサ 「お嬢様、またこちらでサボっておられましたか」

  侍女頭アリサの効果発動!この効果によりミスティは30分間のお小言タイムに突入する。


ミスティ「い~~~や~~~~!」


ハロルド「……ターンエンドですね」


  母ミリア 前世の肩書【ゲーマー】【鉄オタ】【デュエリスト】etc・・・




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