64.隣国の反乱と新たな課題
◆王太子執務室 アレクセイ視点17
テル-嬢誘拐の一件は、黒幕のカルブンコ子爵が尋問ですべて白状し、闇オークションにもメスを入れる事が出来た。
カルブンコ子爵家は爵位剥奪、親子は平民の犯罪者となり開拓地で労役に従事する事となったが、この件以外にも色々余罪があって、そちらは親族やお友達も絡んでいたので、皆同じ【開拓地送り】になったから、きっと寂しくはないだろう。
まぁまぁの規模の粛清になったから、きっといい見せしめになったと思う。
危惧していたジジ師匠の心象もリオンが確認してきてくれたので、何とか逆鱗に触れずに済んだようで一安心と言うところか・・・師匠が寛大な竜で良かった。
一番驚いたのが、カゲローとコカゲが本来の魔王予定者だった事だ。しかもコカゲに至っては【転生者】だった。・・・とても可哀想な生い立ちで、ミスティが大号泣していたが…うちのお妃様(予定)はホントに優しくて可愛い・・・。と、ブローチを撫でていたら、何故かリオンが『ブフッ!』と噴き出していた・・・たまにああ成るけど、何故だ??
「闇取引の件に関してはこれで一件落着ってところかな?」
リオンに報告書類の草案を渡し確認してもらう。父上に提出するものだが、テル-が魔王の代役であった事と古代竜である師匠の事は秘密の為、おかしなところが無いかチェックが必要なんだ。リオンは闇属性持ちで父上と思考が似ているからな。
「・・・ん。大丈夫じゃないか?」
どうやらチェックは無事通ったようだ。
《コンコンコン》
「王太子殿下!陛下から緊急の呼び出しでございます!」
外に居る近衛兵が焦った声を挙げている。何が有った?
「公子様もご一緒にとの事です!」
リオンとふたり顔を見合わせる・・・あまり良い予感はしないな。
「父上!お呼びと伺いましたが?」
「入れ」
侍従が開けた扉から中に入ると、執務室には父上の他に宰相とパルセノス侯爵がいた。皆どこか表情が硬い・・・。
「・・・とうとう隣国カサンドーラで反乱が起きた」
開口一番に父上がそう言う・・・確かに『とうとう』とか『やっと』とかの部類なのだが、何故こんなに表情が硬いのだろう?
「父上の思惑通り・・・では無かったという事ですか?」
「いや、概ね計画通りだったんだけどね。・・・あの王族3人を逃がしてしまったんだよ。まったく使えない奴らだ・・・」
父上は計画の一環として色々根回ししていた筈だ。元凶の王族の捕縛は最優先事項だろうに・・・俺からしても頭が痛い。当の父上や宰相にとってはもっとだろう。
「それでどうしたらいいか分からない反乱軍から助力を求められた。故にわたしと宰相は暫く留守にするから、アレク…後は頼んだ」
「へ?な…なぜ、父上自ら⁉ それに危険です!あいつら捕まっていないのでしょう⁉」
一国の王が、反乱間もない地域に赴くなんて! 有り得ない‼
「このまま放置してはおけん。リオン・・・レオン夫婦は領地に行ってるのだろう?何故だか聞いているか?」
リオンの両親?少し前から領地住まいだと聞いているが・・・。
「はい。うちの領は隣国カサンドーラに面しています。最近ソコからの移民が増えて、両親はその対応の為に領地に戻っています・・・」
そうだったのか・・・確かにこのまま放置すれば、国として成り立たず国民の流出は火を見るより明らかだ。そしてこのヴァリオス王国に移民が溢れる。
「という訳だ。サッサとあの国を作り変えてくる。わたしの得意分野だ。腑抜けた奴らの根性を叩き直してくるよ。フフフ」
ああ・・・黒いのが降臨してしまった。もう誰も父上を止められない。
「アレク殿下。事態の収束に王都軍を半分連れて行きます。陛下の護衛にはリカルド・パルセノス侯爵とカゲローが付いているのでご安心ください」
ヨハン宰相が苦笑して言う。パルセノス侯爵はちょっと頼りなさそうに見える、一見普通の紳士だが…実はかなりの魔法の使い手らしい。それに聞いたばかりだが、カゲローは【魔王】にあたる実力を持つ魔獣だ。・・・なら安心かもしれないな。
「アレク、カサンドーラの反乱原因である天候不順について調べておけ!今後の為にも打開策が必要だ」
新たな課題を出されてしまった。闇取引の件が終わったばかりなんだが、こればっかりは仕方ないな・・・。
「わかりました」
それから3日後、父上達はカサンドーラ帝国に向かって出発して行った。
[おまけ]~カーくんが来た日~
アレク 「さて、このカーバンクルをどうするか・・・」
ミスティ「自然に帰しても、またすぐ捕まりそうですわ・・・」
カーくんはちょっとのんびり屋さんタイプだった。
カーくん「キュウ?」
ディアナ「アレク?ちょっといいかしら?・・・あら!可愛い魔獣ねぇ♪」
王妃をじーーーっと見つめるカーバンクル・・・。
カーくん「キュウ!キュンキュン!(宝石いっぱい!キレイキレイ!)」
座った王妃の膝にちょこんと座り、ご満悦のカーくん。
カーくん「キュウゥン!(でもボクの宝石が一番キレイ!)」
他の宝石達は、自分の引き立て役なのであ~る♪




