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63.魔王と魔王の仔

◆ジジの家 カゲ丸視点23


「おじいちゃん!この間はありがとう!精霊達と一緒に、わたしを探してくれたんだって聞いたわ!」

「ふぉふぉふぉ~マオが無事でよかったのじゃ」


 今日はあの拉致事件の結末を話しに、古代竜様の家に来ているんだ。

 初めて来たけど、田舎の家って感じで落ち着く・・・老後はここで暮らしたい。古代竜様がスローライフに拘るの何か分かるわぁ~。

 

「これお礼の【魚】さっき捕ってきたから新鮮だよ」

「おお!大漁じゃの~」

 リオンに魚を貰ってホクホク顔のご老人だ。


「で、その後どうなったのじゃ?」


 古代竜様に促され、リオンがあの後の話を始めた・・・因みに古代竜様はテル-を助けた後、竜に戻ってそのまま帰って行った。馬車はお尻が痛いからの~と言いながら・・・。


 オレ達はヴァリオス王国王都に戻り、凍っていた拉致犯を王宮の地下牢に放り込んだ。

 その時リオンは氷魔法を解いてやったわけだが、思った程ダメージが無かったようで『チッ』と舌打ちしてるのが聞こえた・・・。


 その足でアレクの執務室へ向かうと中にミスティもいて、入ってきたテル-を見るなり抱き着いて『よがっだですヴぁ~』と号泣していた。悪役令嬢の泣き方じゃないな・・・うん。


 弱っていたらしいカーバンクルも、アレクとミスティが回復させて一旦王宮に連れて来たそうなのだが、希少種ゆえにどうするか悩んでいたら、丁度やってきたディアナ王妃の身に着けている宝石に、カーバンクルが興味を示し、そのままディアナ王妃のペットになってしまったそうだ。

 額に赤い宝石を持つカーバンクルは、どうやら『宝石の似合う王妃様には、きっと自分も似合う筈!』と確信したらしい・・・。


 一連の黒幕はカルブンコ子爵という下位貴族で、現場の倉庫でアレクが現行犯逮捕した。今は貴族牢にいるらしいが、取り調べが終わって有罪確定したら【爵位剥奪】で一般牢行きになるそうだ。

 アレクは尋問して洗いざらい話させる!と息巻いていた。きっと芋づる式で捕まる奴らが出てくるんだろうな。


「ジジさんは【魔獣の闇取引(オークション)】についてどう思ってる?」

 リオンは率直な意見を聞きたいと、古代竜様に言った。多分この返答を持ち帰って、アレクや王様や宰相と対策を練るんだろう。


「ふむ…。前も言うたが竜にせよ魔獣にせよ、そのモノ達が何も思うておらんなら、それが闇取引であれ良いのではないか?儂は魔王ではないし、どちらかと言うと傍観者に近い存在じゃ・・・ただ、あまりにも目に余る…と思うた時は怒ってしまうかも知れんがのぉ。ふぉふぉふぉ」


 あれ?寛容だな…小説ではもっと狭量な性格だったのに・・・スローライフにどっぷり浸かってるせいなのか??

 

「そっか!わかったよ。それと、その【魔王】についても相談があって来たんだ」


「ほう、何じゃ?コカゲの事かのぉ?やっと決心がついたのじゃな…」

 ・・・なんだ、古代竜様は知っていたのか。


 コカゲはあの後皆に『自分の前世の生い立ちと魔王転生』について話してくれたんだ。


 正直驚いたさ。自分の妹も転生者だったなんてな。しかも中学生で亡くなってたなんて…みんな言葉を失ってたぞ。『すべき事を放棄してごめんなさい』って謝ってたけど、そんな可哀想な生い立ちの娘に誰も文句は言わねぇよ。当事者のテル-も『ぜんぜんいいよ~』と泣いてたし…関係ないミスティも号泣してたけど…。


「キャンキャン!(コカゲが魔王やるの!)」

 コカゲは自分の役目を果たす決心をした。


 不遇な前世のせいで転生しても内向的だったけど、皆に愛されて少し自信を取り戻したみたいだ。

 勿論、未熟なコカゲだけじゃ若干不安だし・・・

「ワウワウッ(ボクも手伝うよ♪)」

 オヤジがフォローする事が決まった。


「当り前じゃ!そもそも20年前おヌシが【次期魔王】の筈じゃったのに!可愛い嫁さん見つけて放棄しおってからに!この謎犬めが!」

「「ええっ⁉⁉」」「ワン⁉」「キュン⁉」


 なんてこった・・・オヤジ。『手伝い』じゃなくて『メイン』でやれよ!


 規格外の力持ってるなぁと思ってたけど、魔王の予定だったんだ・・・じゃあ小説でリオンが戦ったのはオヤジ?・・・いや、小説の魔王は人型だったぞ!

「ワウン?(オヤジ、まさか人型になれる…とか?)」


「バウ?バウ!(人型?なれるよ!)」

  ”ボフンッ!”

「「ええっ⁉⁉」」「ワン⁉」「キュン⁉」


 黒髪にケモ耳+尻尾の超絶イケメンが立っていた・・・。


『リコスが拗ねちゃうから普段はやらないよ♪』

  ”ボフンッ!” 魔犬に戻る

 

 くっそ~~~~~‼ 羨ましいぞ!オヤジ~~~~! チクショ----!!




 

[おまけ]~消えた護衛達は~


アレク 「リオン!倉庫にいた子爵の護衛達をどこにやったのか、ミカゲに聞いてくれ」


リオン 「わかった。ふむふむ。…え?それヤバくないか?」

 カゲ丸の通訳を聞くリオン。眉間に皺が寄っている・・・


アレク 「?何処なんだ?まさか女子トイレ…とか?」


リオン 「別倉庫の闇取引用の魔獣の檻・・・IN…ユニコーン」


アレク 「え?ユニコーンの檻の中に…男? ゲッ‼ おい!誰か!急いで倉庫に迎え!」


 倉庫では憤慨したユニコーンに、ボコボコにされた護衛達が見つかりました…とさ。





※ユニコーンは処女の女性以外には手厳しいという有名なお話ですね。もちろんミカゲは分かってやっていますよ。

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