58.マオとコカゲと魔王と…②
◆王宮 王太子の執務室 リオン視点39
「そうか・・・カサンドーラ帝国はそんな状態なのか・・・」
まぁ自業自得だが、ざまぁみろ…だな。
三国会議から2年近くが経ったが、あの国の上層部は何の代わりも無く悪政を布いていた。あの会議から何も学ばなかったみたいだからな。
一方のリブラリア王国は、鉄道に着手して経済も一層良くなっているとか・・・雲泥の差だな。
「天候不順は相変わらずで、それに対して国は何の対策もせず…税だけは徴収するのだからな。税が払えなくて犯罪に手を染める者が増え、最近は貴族も被害者になっているらしいぞ」
アレクがため息交じりで書類を捲る。
「結局ビクトルとイザドラは結婚したんだろ?全然情報が無いけど、式の招待とかは無かったのか?」
あの迷惑な二人が片付いてホッとしていたんだが、その後の話が新聞にも載らないし、どうなったのか気になっていたんだよな~。
「二人ともいい歳だから籍は入れたみたいだぞ。ただ【式】はな~・・・。対外的には『国内の情勢が落ち着いてから』と言っているんだが・・・」
「本当は?」
「金が無い。いや出来なくは無いらしいが、イザドラ妃が希望する盛大な結婚式をするほどの予算が無い…と言うべきかな?」
なるほど、しょぼい式ならやらない方がマシだとゴネているんだろうな・・・。
民の現実を省みず盛大な式でも挙げてたら、もうとっくにあの王家は終わっていただろうに…残念だ。
「でもそろそろ国内が限界だろう・・・。反乱分子が他の国に渡りをつけ始めている」
ステファン陛下のところにも来ているのだろう。
「支援や援軍か?」
「まだソコまでじゃない。・・・静観してほしいって話みたいだ」
クーデターの際に、王家が救援を打診してきても手を貸すなって事か・・・
2年前に、うちの陛下が描いてたビジョンが現実味を帯びて来たな。陛下は今頃嬉々として、その骨格に肉付けを始めているに違いない・・・。
「カサンドーラの件は父上に任せておけば安泰なんだが、もう1件国内の問題事があって、リオンの意見を聞こうと思ってな。多分無関係じゃないと思うし・・・」
そうしてアレクが語った内容は『魔獣の闇取引』に貴族が複数絡んでいるらしい…というものだった。
魔獣の闇取引自体は昔からあって、取り締まっても後から後から湧いて来て、いたちごっこの状態なのだ。それに輪をかけて貴族までもがこの商売に介入し始めたと聞き、国も頭を悩ませているという。
「民の見本であるべき貴族が率先して法を破るとはな…もうそいつらは貴族と見做さなくて良いんじゃないかなぁ・・・フフッ」
『リオン・・・笑顔が王様と一緒だぞ~』
「リオンの黒い笑顔が父上とアナにそっくり過ぎてコワイ」
おっとまずい、また隠し子疑惑が復活するじゃないか・・・。
まぁアレクがこの話に俺が関係すると思うのは、マオの事があるからなんだろう。
そういった奴らにとって、魔獣と意思疎通できるマオは脅威だ。今までならどうとでも誤魔化せた事が、魔獣からの訴えにより赤裸々になってしまうのだから・・・。
「ああ、俺も今回のこれは【見せしめ】が必要かな…と思ってる。その為にはテル-嬢の協力が不可欠だから、今日リオンに相談したんだ」
なるほどな。闇取引の現場に押し入ってマオに魔獣との通訳をお願いするつもりかな?
その際に悪徳貴族達を一網打尽にして、後に【処分】・・・恐らく爵位はく奪か降爵が待っているのだろう。それを公で発表して今後の抑止力とする・・・ってところか?
「そうか。じゃあ、テル-に相談して…」
「キャインッ‼‼‼」
「なっ⁉」
突然俺の影から何かが飛び出した‼
それは、今まで見た事無いくらい動揺しているコカゲだった・・・。
[おまけ]~一方のリブラリア王国では~
コンコード「前王様のご協力で作業員の成長が著しいです!感謝いたします!」
アンドレア「いやいや、皆さん素直で教えがいがあって楽しいですから・・・うちの息子と違って・・・」
コンコード「ステファン陛下?ですか?名君でいらっしゃると思いますが?」
アンドレア「ココに行くと伝えた時も、黒い笑顔で『へぇ…いってらっしゃい』って!絶対、前倒しで引退した事を未だに根に持ってる!帰るのコワイ!」 ガクガクブルブル
アンドレア前王様は【鉄道工事】がやりた過ぎて、まだ20代半ばのステファンに王位を丸投げした過去があったりします。




