56.聖獣(予定)のピーちゃん②
◆アエトース公爵邸 マオ(テル-)視点13
「ワンワワン~(いや~見事なスライディングDOGEZAだったな~)」
カゲ丸に思いっきり笑われてしまいました…。この世界に【DOGEZA】の作法が無い為、見ていたリオン様と使用人にはドン引きされてしまいましたよ。トホホ・・・
今日はリオン様に呼ばれて、アエトース公爵邸にお邪魔しているのです。
昨日、学園で【聖女テル-】の聖獣が瀕死の状態で保護されたと聞き、謝罪に訪れたわけです。
公爵邸のエントランスでピーちゃんに謝り倒して、今はガゼボに用意されたアフタヌーンティーを頂いています。
「ピヨッピ…(おやつ美味しい・・・)」
「クウ~ン…(おいしいねぇ・・・)」
ピーちゃんのご機嫌も何とか良くなって安心しました。さすが公爵家のおやつです。
コカゲの隣でツンツンと啄ばむ姿に癒されますね~♪
「今日はミスティが外せない用事があって、マオも光属性だし面倒見てもらえないか?ってさ。丁度いい機会だし連れて来たんだ」
上書されたミスティ様の魔力に干渉出来るか試しにやってみてくれと言われ、治癒魔法を流してみましたが普通に通ったので、問題無しとなりました。
これで多忙なミスティ様のお手伝いが可能となって、少しでも恩返しが出来そうで良かったです♪
「元気に育ってね~♪」
「ピヨピッピ…ピヨ?(ピーの聖女…マオ?)」
…うう……つぶらな瞳で見つめないで…罪悪感が半端ないから・・・。
「ワンワンワン(マオは【魔王】だから違うぞ)」
「ピヨピッピ…ピピ…(ピーの聖女…やっぱり居ない…うう…)」
ああ!つぶらなお目目から大粒の涙が~~~~!
慌てて拾い上げて、両手のひらで包み込みます。心が落ち着くように、優しめの光治癒を発動・・・
「ピーちゃんの聖女は今は居ないけど、どうしても見つからない時はわたしがなるよ!ただ、それは【魔王】を引退した後になっちゃうんだけど・・・いいかな?」
そもそもわたしの【魔王】も(仮)なんですが、【聖女】も(仮)になるし・・・新種の出世魚にプラスの肩書が複雑過ぎん?
「ピッピヨ!(うんわかった!)」
はぁ~~良かった・・・。手のひらの中がほんのり暖かくて、何だか幸せな気持ちになりました。
「・・・解決したか?…ふふっ」
ハッ!リオン様を放置していました!一部始終を見てたのか、ニヤニヤ笑われています・・・。
恥ずかしい・・・
「リオン様って、【セイテン】でこんな笑うキャラだったかしら?」
「ワンワン…ワン(リオンは昔からこうだぞ…小説と違って)」
確かあまり表情の変わらない孤高のイケメンで、ヒロインにだけ笑顔を見せる・・・的な設定だったような・・・
そんな人が今、目の前でコカゲを抱きかかえて背中に顔を埋めて『す~は~』しています。
「日向のニオイ・・・最高・・・」
その気持ちは分かる・・・けど、キャラ崩壊が留まるところを知らない…。
カゲ丸はリオン様が2歳の時から一緒で、ずっと小説との差異を見てきたそうです。
最初の【属性】の段階で違うし、そのせいなのか性格も違う。ゆえに、ストーリーも改編気味だし、異世界転生者によるイレギュラーも勃発・・・
「ワンワン…(でもオレはこっちのリオンがイイかな)」
「わたしもこっちのリオン様が好き!もうココはあの小説の世界じゃないって思った方が良いのかも?」
小説のリオン様は、誰もが認めるヒーローの中のヒーローで、人間くささも無かったアンドロイド風イケメン。普段の描写も無いから、憧れはするけど親近感とかわかなかったし、なんならヒロインはどのあたりに惚れたのか……顔か?やっぱりビジュアルなのか?と思った程だった・・・。
現実のリオン様は、確かにイケメンでカッコいいけど、面倒くさがりで表情も豊か・・・魔獣達にも甘々で、趣味はソロキャンプ(たまに+おじいちゃん)なのだ。
清濁併せ持つ普通の人間くさい青年だと思う。だからわたしは彼を好きになれたのね。
「・・・きゅうん(…まお)」
「どうしたコカゲ?」
「コカゲ?呼んだ?」
『リオンがしつこく吸ってるからイヤなんじゃないか?ニシシ』
コカゲはカゲ丸やわたしの言葉に項垂れたまま首を振って、そのまま黙ってしまいました。リオン様はどうしたらいいかとオロオロしています。
「・・・ピッ!(元気だして!)」
ピーちゃんが咥えてきた自分のおやつを、コカゲの前にそっと置きました!やさしいっ!
「・・・きゅん(あり…がと)」
コカゲはおやつを食べましたが、それからもどことなく元気が無い状態でした。
[おまけ]~思い出語り~
カゲ丸『スライディングDOGEZAはいつ習得したんだ?』
マオ 「前世で、視聴したアニメのシーンを再現したくて友人と体育館で・・・」
カゲ丸『・・・それジャージでやったら穴空くヤツだな』
マオ 「母親にめちゃ怒られました・・・ふっ」
学生時代は何でも意味なく楽しいものだ!




