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55.聖獣(予定)のピーちゃん①

◆パルセノス邸 ミスティ視点10


「へ~ヒヨコにしか見えないけどなぁ。これが聖獣になるんだ~」

 お父様がピーちゃんの頭を指でカキカキしていますわ。ピーちゃんも気持ち良さそう・・・


「前世のカゲローも聖獣らしからぬ聖獣だったし【聖獣】って意外とアバウトな感じなのね♪」


 カゲローは今は魔犬ですが、前世は唯一無二の生物で真っ黒なスライム的な容姿だったそうです。

 お母様は元ヒロインですが聖女にはならなかったそうで、エステル叔母さまにそのお鉢が回ってきたとかなんとか?・・・まぁ、お母様が【聖女】は正直違和感しかありませんものね。



「では聖女が見つかるまで、ピーちゃんはこちらで預かるって事だが、見つかると思うか?リオン」

「はい・・・本(・)物(・)の(・)テ(・)ル(・)-(・)は恐らく戻って来ないかも・・・ですね」


 お父様とリオ兄様、お二人でコソコソ内緒話していますが、気になる単語がありましたわよ・・・。


「リオ兄様!本物テル-とは」

「「わあぁぁ~~~‼‼」」


 突然言葉を遮られましたわ!しかもお二人揃って‼仲良しさんですのっ⁉


「・・・伯父上」

「ああ・・・ミスティとリオンはちょっと執務室に来てくれる?ピーちゃんもね」


 なにやら深刻そうなお顔ですわね。いったい何のお話でしょうか?わたくしはピーちゃんを連れてお二人の後についていきます。カゲ丸ちゃんもリオ兄様の隣についていました。


 お父様の執務室は、陛下の所と違ってこじんまりしてますの。かくれんぼしても直ぐに見つかってしまうサイズですわ。そもそも執務室をかくれんぼに使うな…というお話ですわね。ええアリサによく叱られました…懐かしい思い出です。



「リオン、一応外に漏れないように頼む」


 執務室に入りドアを閉めると、リオ兄様が闇魔法でこの部屋を外部と隔絶したようでした。

 たまにアナ様が内緒話される時も使っておられます。主にハルの事を聞いてこられる時が殆どですけれど・・・


「さて・・・座ってゆっくり話そうか」

 テーブルを挟んで、二人掛けのソファに向い合せでわたくしとリオ兄様が座ります。上座の一人用ソファにはお父様。


「ミスティ。今から話す事は、限られた者しか知らない。君は王族に名を連ねる事になるから話そうと思うが、もしもその覚悟が無いと言うのならやめておく・・・どうだろう?」


 お父様は、わたくしがアレク様と結婚するつもりがちゃんとあるのか聞いておられますのね。


「勿論ございますわ!」


「そうだよな。無ければアレクの為に【土の精霊石】を取りに行こうなんて思わないもんな」

 リオ兄様ががわたくしのワンピースのポケットを指さして仰います。


「なに!精霊石が手に入ったのか⁉見せてくれっ!」


 お父様も見た事無いんですね。ハンカチに包まれた精霊石をお渡しすると、

「凄いな~魔力が凝縮してる! 肌触りもスベスベで気持ちいいなぁ~」

 と、頬擦りして・・・・・リオ兄様が顔を背けて、肩を震わせておりますわ…お口チャックですわよ!


「・・・コホン!リカルド伯父上、そろそろ本題に・・・」


「ああ、リオンが話した方が早いだろう。頼む」


 それからリオ兄様が、今この話を知っている人間は【陛下・宰相・アレク殿下・リカルド侯爵・リオン・当事者テル-】のみだと前置きして、


「ミスティの知っているテル-は【本物のテル-】では無い」と仰いました。


 あのテル-はミノタリオ男爵の実子では無くて、実子テル-の知人の『マオ』という方らしく・・・

 本物のテル-が【聖属性】に目覚め、親しかったマオに後の事を託し【神】と駆け落ちしたそうです。

 託されたマオはわけのわからないまま男爵家に引取られたが、消えたテル-の事を思って真実を言い出せなかったとの事。

 それであの虐待に甘んじていたとは・・・ご苦労なさいましたわね。


 これは【貴族籍の詐称】となる大問題で処分は免れない筈なのですが、マオに悪意は無かった事や彼女が『魔獣と交流出来る』稀有な能力を持っている為、陛下は事実に蓋をする事を決められたようです。

 確かに…処分してその後放置すれば、悪意のあるものに最悪のかたちで利用されるかも知れません。陛下にすれば、目の届くところに居て欲しいのだと思いますわ。



「で、この聖獣は本物のテル-が【聖属性】に目覚めた時に生まれたらしいんだが…【聖女テル-】を4年近く探しても見つからなくて、弱って死にかけてたって事だな」


「まあっ!何てこと!4年もひとりぼっちで探し回っていたなんて!可哀想過ぎますわ!」

 そんな薄情な【聖女】なぞもう知りません!ピーちゃんはうちの家族にいたします!


「ピヨピッピ!ピーピヨ!(ピーの聖女!ミーちゃん!)」

 あら、何か言いたいのかしら?・・・リオ兄様がカゲ丸ちゃんに聞いていますわね。


「ピーちゃんはミスティが聖女だと思ってるらしいぞ。ミスティの光魔法で上書きされたんじゃないか?ってさ」


「まぁ!いけませんわ!ピーちゃん宜しくて?わたくしは【聖女(ヒロイン)】では無く【悪役令嬢】ですの!この2役は相反するもので、両立は不可ですのよ!おーーーほっほっほ~」


「ピヨヨヨヨーー!(ガーーーーン!)」





[おまけ]~リオ兄様ツボる…の巻~


ミリア 「へぇ!これが精霊石なのね!スベスベ~」

 頬擦り、スリスリ・・・


ハロルド「確かに魔力が凄いです。ずっと持っていたいですね」

 にぎにぎ、さわさわ・・・


ミスティ「・・・リオ兄様。もうお帰りになって・・・」

 腹を抱えてうずくまるリオン・・・


 腹筋が崩壊する前にカゲローに強制退去させられました…とさ。




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