54.未来の王太子妃は悪役令嬢?④
◆ダイナモ霊山キャンプ地 リオン視点38
「ミーちゃんや。どうじゃろう…聖女が見つかるまで、この聖獣の幼体を預かってもらえんじゃろうか?儂らのところに居ってもまた弱ってゆくだけじゃろうし・・・」
ジジさん達も困っていたんだな・・・
確かに…ミスティの魔力に馴染んだ今の状態のこのヒヨコを、ミスティと離すのは残酷だろう。
「ピヨピヨ♪ピー♪」
「わかりましたわ!ピーちゃんはわたくしが立派に育てて、聖女が現れた暁には熨斗を付けてお返しして差し上げますわ!おーーほっほっほ♪」
何故いちいち悪役令嬢ぽくするのか・・・もう、皆ソレを『お前の芸』として見てるんだからな…。
そして、さり気なくもう名前つけてるし…ミーちゃんがピーちゃんを世話するのか。フフッ…
「バウッ!(そろそろ日が落ちるよ)」
『リオン!オヤジが、もう帰らなきゃってさ』
そうだった!遅くなると伯父上達を心配させるからな。なるべく早く帰れるようにって、カゲローも貸してくれたし・・・
「ゲイブ殿。土の精霊石は貰えるのだろうか?」
『あら!そうね、ちょっとまってて~~♪』
そう言って、ゲイブ殿はガサガサと茂みに消えて行く・・・あっちにあるのだろうか?とミスティと眺めて待っていると・・・
『オヴエゑぇェ~~~~~~・・・ゴフッ‼』
「「ッ!!!!」」
何だ!この野太い嘔吐きはっ‼‼‼ ミスティもとっさにピーちゃんを抱きかかえ、俺の後ろに避難した。
『あ~~すっきりしたわぁ♪』
茂みからガサガサと戻ってくるゲイブ殿・・・・・手には石・・・まさか・・・
「ふぉふぉふぉ、これまた大きな石じゃのぉ」
『うふふ♡ 吐き出すの苦労しちゃったわぁ~人間の姿は難儀よね~』
はいど~ぞ!とミスティの手を取って、石を乗せる・・・
「(ヒィッ・・・)‼‼‼」←ミスティの声にならない悲鳴
精霊石はとても高価で一般に流通はしていない。ミスティは王宮で見たが、俺は見た事すら無かった。
それがまさか・・・精霊の・・・
『ちょっとぉ~バッチくないわよ~この石は魔素が固まって石化したモノなの!今は人化してるから吐き戻しただけよ!ゴーレムの時ならお腹辺りから取り出せたんだから~ぷんぷん!』
・・・良かった吐瀉物じゃなかった。猫が吐く毛玉のようなモノか?? なら一旦ゴーレムに戻れば良かったのでは?とも思うのだが…
「ミスティ・・・石の出処の真相は、アレクには言うなよ」
身に着けるのを躊躇するぞ・・・俺なら絶対する!
「…お墓まで持って行きますわ。リオ兄様も、うっかり口を滑らさないよう気を付けて下さいまし」
その表情から確固たる決意が見えた。・・・俺も気を付けよう。そして、次の機会があれば必ず人化は解いてもらってからにしよう。
「ふぉふぉふぉ、ではミーちゃんや。ピーちゃんを宜しく頼むぞよ。ピーちゃんも元気でのぅ」
ジジさんがミスティの頭を撫でている。聖獣もすっかり『ピーちゃん』呼びに慣れたようで、コクコク頷いていた。
『グリフォンに成長しても”ピーちゃん”か……。将来反抗期に入らないか心配だな』
カゲ丸の言葉に、立派なグリフォンに成長した聖獣が『ピーちゃん』と呼ばれ、威厳を損なう未来が垣間見える・・・。
何かのタイミングで改名を勧めよう…と俺は心に留め置いた。
「バウッ!(では帰ろう!)」
「じゃあまたね」
「感謝いたしますわ!」
手を振るジジさんとゲイブ殿に挨拶をして、影に沈む・・・。
次の瞬間には、パルセノス邸のリビングルームに立っていた。やっぱりカゲローの力は桁違いだな。
「ピッピ?(ここはどこ?)」
『リオン。ピーちゃんがいきなりの転移で不安がってるぞ』
俺たちには『ピッピ』としか聞こえないが、カゲ丸には分かるんだな・・・じゃあマオにも分かるかも知れない。マオも光属性だし、ミスティが忙しい時はマオにお願いするのもアリか…。
「やぁ、おかえり・・・おや?可愛いお客様だね。ようこそわが家へ!歓迎するよ」
「まぁ!ヒヨコちゃんね♪なんて愛らしいのかしら!」
リカルド伯父上とミリア伯母上は、ピーちゃんに気付いて興味津々だ。
「ピーちゃん!ここはわたくしのお家ですの。今日からここで生活いたしますのよ!こちらはわたくしのお父様とお母様ですわ!優しいおふたりです。安心なさって・・・あ、でも侍女頭のアリサには細心の注意を…」
「わたくしが…な・ん・と?」
「(ヒィッ・・・)‼‼‼」←ミスティの声にならない悲鳴パート2
いつの間にかミスティの後ろに立つアリサさん。カゲロー…仕事が早いぞ…。
[おまけ]~後日の対面~
マオ 「誠に申し訳ございませんでしたーーーーっ‼」
スライディングDOGEZAの【魔王】
ピー 「ピッピヨ…(聖女が覚醒したから慌てて行ったのに・・・)」
マオ 「うぐっ‼ ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい…」
心臓を抉られ、謝り倒す【魔王】
カゲ丸「ワンワン(魔王最弱説)」




