51.未来の王太子妃は悪役令嬢?①
◆聖バルゴ学園生徒会室 カゲ丸視点22
なんだかんだで、リオンも三年生になった。昨年婚約したテル-ともいい感じだし、このままいくとテル-が卒業したら即結婚かもしれないな。
本物じゃないけど一応【ヒロイン(ポジ)】と結婚は、小説内容に沿っている。ホントこの一点だけなんだけど・・・
「よし!そろそろ時間だな。講堂に向かおう」
生徒会長アレクの言葉で、全員立ち上がる。そう今日はこれから入学式なんだ!
『ミスティが入学して来るな!また面白い事するのかな♪』
「高位貴族は親同伴だから、今日は身動きが取れないとおもうぞ」
そうか!流石に今日は、リカルドとミリアががっちりガードしてるかぁ~残念!
「まったく何を期待してるんだ・・・ミスティはあれから一年以上頑張って、王太子妃教育もこなしてるし、勉強も頑張ってAクラスにも入れたんだから、もう可笑しな事はしないと思うぞ。ハハッ」
と、リオンは言っていたんだよな・・・確か、
「おーーーほっほっほ~~~!カゲ丸ちゃんお久ですわ~~」
入学式から二日経った今日、テンション高めの未来の王太子妃がオレの前に立っている・・・
ほんの一週間前に会ったけどな。リオンと【エステルからの入学祝い】持って行った時…オマエ嬉しすぎてオレの事見えてなかったんだろ~。まったく!
「リオ兄様を呼んで下さいまし!」
放課後リオンは大体生徒会室に居るので、それを聞いてきたんだろうが…アレクに用事じゃないんだな。
「ワンワ~ンワンワン!(リオ~~ン、面会者だぞ~!)」
扉の前で吠えると、リオンがひょっこり顔を出した。
「何だ面会者って…ミスティ? アレク殿下~婚約者様ですよ~」
人目があるから敬称付きだけど『婚約者様』って…ミスティに『様』付けたくないんだなぁ~ワカル~
「あ、用事があるのはリオ兄様だけですわ!」
いいかた~!見ろ、いそいそ出てきたアレクがガックリ膝ついてるじゃないか!
「何の用事ですか?私も忙しい身ですので、簡潔にお願い致します」
「まずその気色の悪い話し方を止めて下さいます?そして、ちょっと【裏庭の噴水】まで面を貸して下さいませ!おーほっほっほ~」
オマエはどこのヤンキーだ!…きっとまた『ミリア語録』だな。いちいちチョット古いんだよな~。
「で・・・この噴水に何の用事があるんだ?」
人気の無い裏庭の噴水は、一応動いてはいるが苔が生えまくってて水も濁っている。ハッキリ言って『汚い』の一言に尽きるな・・・
「リオ兄様はこの噴水を見て、何も思われませんの?」
「・・・めちゃくちゃ汚れてるな」
「そうですわ!こんな汚いトコロを落とされては病気になってしまいますわ!」
あ~~何となく読めてきたな。なるほどなるほど・・・
『リオ~ン。ミスティはテル-を心配してるんだ。【ヒロイン】は噴水に落とされたり、カバン捨てられたりしがちだからな~』
「しがち…って・・・はぁ~また小説か」
そうだぞ!強制力は侮れないんだぞ!なにかの拍子でテル-がココに落っこちたらどうする!この汚さはトラウマになるレベルだぞ!
「お父様は学生時代この噴水を【ヒロイン】の為に、キレイにしたと仰っていましたわ!なので、今度はリオ兄様がキレイにする番なのですわぁ!おーほっほっほ~」
「なんで・・・俺が・・・」
「もしも強制力のせいで、わたくしがテル-をこの噴水に落としてしまったら…と思うと気が気じゃありませんもの!リオ兄様は【水属性】をお持ちでしょう?『チャッチャッとやっておしまい!』ですわ!」
やっぱミスティはミスティだな♪ 未来の王太子妃の筈なのに、まだ【悪役令嬢】に拘ってるぜ。
「きゃん!きゃん!(にぃ様も!手伝って~!)」
クロミもミスティと従魔契約をして、一緒に通っている。見るもの全部珍しくて楽しいんだろうなぁ。
仕方ない。手伝うとするか・・・
「・・・はぁ。これって学園側の怠慢じゃないのか?なんで俺が・・・」
とブツブツ文句を言いながらも、水を抜いた噴水の中をデッキブラシでこするリオン。
因みに排水溝が詰まって水が一気に抜けなかったので、オレとクロミの影移動で近くの川に捨ててやった。
「お母様のお話ですと、お父様は魔法を使ってとても華麗にお掃除されたと仰っていましたわ!さすがお父様ですわ!」
「ほぉ~魔法か~」
やり方を聞いたリオンは、そこから怒涛の勢いで瞬く間に掃除を終わらせた。まるでデッキブラシとアイスダンスしてるみたいだったな・・・ちっ!これだからイケメンは!
「何をしてたんだい?」
生徒会の仕事が終わったらしいアレクが護衛とともにやってきた。
「アレク様!見ての通り、噴水のお掃除ですわ!汚い噴水にヒロインを落とす等、悪役令嬢としては三流ですもの!真の悪役令嬢の矜持が許しません!やる事、そしてやる場所も美しく!ですわ~」
「そうか!ミスティは色々考えているんだな!偉いぞ!」
エライエライとアレクに頭を撫でられご満悦のミスティ・・・
ツッコミどころも色々あるぞ・・・と、クロミ・ミカゲとため息をついた。
「はぁ~~…掃除したのは【俺】だけどな・・・あと、アレクは未来の王妃が悪役令嬢になろうとしてる事を阻止しろ!」
[おまけ]~ビフォー・アフター~
アレク 「せっかくだから【光】のエフェクトを付けよう」
噴水がキラキラ輝きだす。
ミスティ「まぁ素晴らしいですわ!わたくしにも教えて下さいませ!毎日光魔法を掛けにきますわ!」
アレク 「いいよ。こうやって・・・キラキラ・・・」
ミスティ「ふむふむ・・・こう…でぇ…キラキラ~」
なんということでしょう!人の寄り付かなかった裏庭の寂れた噴水は、こうして光り輝くパワースポットとなり、生徒たちの憩いの場として生まれ変わったのでした~。




