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50.恋心と決闘と婚約と

◆竜騎士団訓練場 マオ(テル-)視点12


「きゅ~ん!きゅう~~ん!(けっと…!リオと…シリウス!)」

 な・・・何でまた、そんな事に・・・


「きゅう~~ん(とめに…いく…?)」

 コカゲがとても心配そうに見上げてくる。

「行く!行く!連れてってコカゲ!」と、コカゲの能力で影に沈む・・・そして・・・


「決闘はんたーーーーーーいっ‼‼‼」

「きゅん!きゅ~ん!(けっと!はんた~~い!)」


 影からシュプレヒコールと共に飛びだ~す! ルチアとカゲ丸が、隣でビックリしている。


 ・・・離れたところで、地べたに座って話をしてる風な二人もビックリ。・・・あれ?決闘は?


「「・・・」」


「・・・お呼びで無い・・・しつれいしま」

 そのまま、しょんぼりなコカゲと一緒に影に沈もうとすると・・・


「あっ!義姉上!こっちに来てください!」

 慌ててシリウスが声をかけてくれました。え…恥ずかしいんですけど…


「私は用事があるのでルチアと帰ります。リオン様とゆっくりお話ください」

 最後に見た時はとても思いつめたような顔をしていたけど、今はすっきりしたお顔ですね。問題は解決したのでしょうか?


「リオン様!リオン様が本当に義姉上を好きな事が分かって良かったです!でももし義姉上を泣かせるような事があれば、私がもらい受けに行きますからね! では、行こうルチア!」


 そう言ってルチアに飛び乗り、華麗に去って行くシリウス。


「マオ・・・顔、真っ赤だぞ。フフッ…」


 おふたりが何故【決闘】していたか・・・何となく想像できました・・・。



「マオにもシリウスにも誤解させてしまった事は謝る。俺が軽率だった…すまない。陛下が仰った件は事実だし、君にコカゲがくっ付いて来て俺が嬉しいのも事実だから、後で君が知って気まずくなるのを避けたくて・・・アレクには『気の回し過ぎだ』と言われたよ」


 訓練場のベンチに移動し、リオン様の隣に座ってお話を伺います。わたしに『留保!』と言われて結構落ち込んだと、恥ずかしそうに話してくれました。


「リオン様が、陛下のご命令に『テル-の気持ちが第一です』と言って下さった事を、お義父様から聞きました。陛下が『逃がさないように』と仰ったのも、実は私を守る為なんですよね」


 わたしのこの能力は、どんなトラブルを引き寄せるかわかりません。リオン様は『婚約者の立場になれば堂々と介入して、片っ端から排除する』と言ってくれています。


 おじいちゃんにも相談したら、やはりリオン様の庇護下に入るのが一番だと言っていたし・・・

 マオとして接してくれるリオン様は、想像してた小説のようなヒーローと全然違っていて…魔獣達に対してもフレンドリーだし・・・何より【異世界転生者】のわたしに、とても気安い・・・


 貴族の養女になったからには、いつかは家の為にお嫁に行く事になる。

 それがリオン様のもとであるのなら、波(・)乱(・)万(・)丈(・)を(・)絵(・)に(・)描(・)い(・)た(・)よ(・)う(・)な(・)わたしでも、幸せになれる気がします。


「リオン様は前に『Win-Win(相互利益)』だと言ってましたよね?確かにこの婚約はその意味合いが大きいと思います・・・けれど、わたしは『愛の有る家庭』も築きたいです!強欲でしょうか?」


 リオン様は目を見開いて驚いていらっしゃいましたが、やがてソレがわたしの返事であると気付かれたのか、とろりと目を細めて・・・


「いや。真っ当な要求だよ。俺もマオと『愛の有る家庭』を築きたいと思う…」

 そう言ってベンチから立ち上がり、私の前に跪く。


「マオ…そしてテル-・ペリステラ伯爵令嬢。どうかこの私、リオン・アエトースと婚約して頂けないでしょうか?」


 お義父様に『了承』をお伝えした事で、きっともうアエトース公爵様とはお話が進んでいると思います。リオン様は家に帰って驚かれる事でしょうね。


「わたしはリオン様の申し出をお受けしたいと思います。よろしくお願いいたします」


 そう言って、差し出された手にそっと自分の手を乗せたのです。





◆アエトース公爵邸 リオン視点35


 屋敷に戻ると、父上の執務室に来るように言われた。マオの事を伝えようと思っていたから、ちょうど良かったと思い執務室へ向かう。


「父上!リオンです」

「入りなさい」


 部屋の中には何故か母上も待っていらした。珍しいな・・・


「父上、実は折り入ってお話が・・・」

「テル-嬢の事だろう?婚約なら調ったぞ、ほら」


 へ・・・? 父上に渡された書類には、俺とテル-(マオ)の婚約の届出と陛下の御璽・・・


 仕事速過ぎん?これはまたアレか?

 時間を惜しんだ宰相が瞬く間に書類作って、渡された陛下がその場で御璽をポン!のヤツか!

 何か陛下の手のひらの上で、転がされている気がして仕方がない・・・


「良かったですわね。テル-さんならキャンプも付き合ってくれるのではないかしら?今度のお茶会は盛り上がりますわね。きっと♪」

 ホホホと笑う母上・・・一応、心配なさっていたの…かな?

 




[おまけ]~ある日のVIP席 再び~


ミリア 「今日の議題は再び『リオン君の婚約者について』ですよ♪」


ディアナ「リオン君の婚約者が決まったそうね!おめでとう」


ミリア 「えっ!テル-と⁉ マジっすか⁉」


エステル「そうですの!一緒にキャンプしてくれる女性ですの~!」


3夫人 「「「そんな子がホントにいたのね~」」」


~・~・~・~・~・~・~・~・~


マオ 「へ…クシュ……また風邪??」





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