47.恋心と決闘と ①
◆ペリステラ伯爵家 シリウス視点3
義姉上が父上の執務室に行ったと聞き、私も向かう・・・
どうしても義姉上に伝えたい事があったからだ。
「ほ~…リオン公子からそんな申し出があったのかい?」
部屋の前まで来ると、少し開いた扉の向こうから父上の声が漏れ聞こえてきた。
しまった…リオン様に先を越されてしまったようだ・・・
「はい。わたしのこの能力は、どんなトラブルを引き寄せるかわかりませんし…リオン様は『婚約者の立場になれば堂々と介入して、片っ端から排除する』と言ってくれています」
「へぇ~あのリオン公子がソコまでねぇ~」
確かに、あのリオン様がそこまでハッキリ仰るとは……これを聞いた大抵の貴族は、私たちと同じ反応をするだろうな。
リオン様は非の打ちどころの無い貴公子ですが、どんなに愛想良くなさっていても、他人を懐に入れたりしない方だ。興味がない人間などは、心に留め置かない主義みたいだ…。
王太子殿下や王女殿下、親族等の身内以外には常に一線を画して接しておられます。空気を読める貴族はその事に気付いているので、貴族家当主も令嬢達も安易に近寄らないのです。
そんなリオン様が、義姉上に対してそこまで執着されるなんて・・・
「あと…陛下にも『逃がすなと言われた』とか・・・お義父様はご存知で?」
(えっ?・・・)
「あ~~~~・・・うん。まぁ、陛下は…ほら闇な方だから、黒い部分がちょこちょこ顔を出すというか…もうデフォルトというか…悪気はないんだけどね。ハハハ」
・・・陛下のご命令で?
それでは、義姉上の気持ちは…どうなるんだ…?
「わたしはリオン様の申し出を受けたいと思います」
凛とした義姉上の声が聞こえた。
父上が宰相とはいえ、私たち位の爵位では受け入れるほか無いだろう・・・
「シリウス?」
どこかすっきりしたお顔で、義姉上が執務室から出てきました。
「義姉上・・・リオン様と…婚約…するのですか?」
「はい。お受けしたいと思っています」
決意の籠った表情……我が伯爵家の為に、義姉上が意に沿わぬご苦労をなさる事は無いのです!
「…確かに、リオン様は次期公爵で大きな権力をお持ちです……が、私だって義姉上の事はお守りできます!私では駄目でしょうか⁉」
私が義姉上と結婚して、ずっとお守りしていきます!
「へ・・・???」
◆聖バルゴ学園 カゲ丸視点21
《バサバサッ!ズザザーーッ・・・》
「リオン様!少しお時間を頂けないでしょうか」
放課後、生徒会の仕事が終わり帰宅の途に就いていたリオンの目の前に、ルチアに乗ったシリウスが降り立った。
「シリウス?物々しいな。いったい何の用だ?」
目の前に飛竜が突然降りてきても、リオンはまったく動じない。そりゃまぁ、古代竜様に比べたら飛竜なんぞ、ライオンと子猫ほどの差があるからな。
それに…まぁ…ルチアは可愛いし…。『カゲ丸ぅ~~!会いたかった~~♪』とブンブン尻尾を振っている。砂埃が凄いからヤメロ~!ほら見ろ、ふたりがメチャクチャ迷惑そうだぞ!
「テル-義姉上に婚約を申し込まれたそうですね」
「ああ、テル-から聞いたのか?その通りだよ」
何だ?シリウスは何で怒っているんだ?公爵家からの打診だぞ、喜ばしい事だろう?
『(コソッ)あのね、シリウスってばテル-の事が好きみたいなの♡』
ペタペタとオレの隣にやってきたルチアが、こっそりと教えてくれる・・・
マジか…。
「そうですか…。では私と決闘してください!義姉上を守ると仰るからには、私より強いと証明して頂かないと‼」
「・・・シリウス。横恋慕かい?」
「なっ‼ まだ婚約は成立してません!下世話な事言わないで下さい‼」
シリウスは真っ赤な顔で反論している。対してリオンは涼しい顔だ・・・
リオンの奴め、実はこうなる事を予想してたな。
「いいよ。受けて立つ。方法も場所も時間も君に任せよう。…何なら今からでも構わない」
ニヤリと笑うリオン……。【闇属性】の黒い笑顔だ。久々に見たな。
『リオン…しゃま…コワイぃぃ~~』ブルブル
光属性のルチアは本来【闇】に強い筈なんだが・・・レベルが違うからなぁ。
『ルチアは絶対【決闘】に参加するなよ。あの笑顔のリオンは容赦が無いからな!』
『シリウスは?だい…じょう…ぶ?』
『さすがに殺しはしないと思う』・・・多分
ルチアが『うひゃぁ~~~』と頭を抱えてしまった。リオン…ルチアの為にも【再起不能】とかは止めてあげろよっ!
[おまけ]~取り扱い注意~
古代竜「前にも言うたが、リオンにはぜ~ったいに手を出しちゃならんぞ」
魔獣Ⓐ『前に古代竜様をボコボコにしたからですね』
古代竜「ボコボコ言うでない!普段爽やかそうに見えるが【闇】が見え始めたら、すぐさま逃げるんじゃぞ!まったく容赦が無くなるからのぉ」
魔獣Ⓑ『それでボコボコにされたのですね!』
古代竜「だから!ボコボコとか言うでない!」




