46.報・連・相 ②
◆王宮 王太子の私室 アレクセイ視点15
「はあぁぁぁぁ~~~~~~・・・」
リオンが俺の部屋のソファで盛大に落ち込んでいる。フフッ…
「アレク…何が可笑しい…?」
「ククッ…悪い……なかなか見られない姿だから…」 この前とは違うタイプで・・・
何故リオンがこんなにも落ち込んでいるかというと、端的に言えば【プロポーズ】を【一旦留保】にされたからだ。
やりとりの経緯は聞いたが、リオンの自業自得に他ならない。
テル-嬢からすれば、もう結論は出ているだろうけど・・・まったく・・・
『あ、実は陛下からも君との婚約を推奨されていてね。君は魔獣と交流できるから逃がさないようにってさ。あと、君と結婚すれば必然的にコカゲもついて来るし、これはミリア伯母上の言う”Win-Win”ってヤツじゃないか?』
なんて、プロポーズに付け加えられた日には、俺でも留保するな。間違いなく!
「何でそんな事付け加えたんだ?本当に自分の事が好きなのかなって疑うだろう。普通に」
「…あとで知るより、先に知ったほうが良いかな?と思ったんだ…。あとで気まずくなるのは絶対イヤだからな」
わかった。リオンは頭はキレるけど、気を回し過ぎて自滅するタイプなんだな・・・
身近にいたのがアナやミスティでは、普通の女子の乙女心の参考にはならなかっただろうし、【俺との(不本意な)噂】で寄って来る女性も強者しかいなかったし・・・
リオンが女性に鈍いのは仕方ないと思う。でも今回のはちょっと赤裸々過ぎたな……以後ガンバレよ!
「ワンワン!ワンワン!」
「カゲ丸?・・・そうなのか??」
落ち込むリオンを見兼ねたのか、カゲ丸が慰めているようだ。会話できるのが本当に羨ましいな。
「カゲ丸は何て言ってるんだ?」
「ジジさん達が、外堀を埋めまくってくれてるから安心しろってさ・・・??」
おお!師匠は色んな意味で頼りになるお方だな!これは最強の味方を手に入れたんじゃないか?
「詳細はわからないけど…良かったな!リオン!」
◆ペリステラ伯爵家執務室 マオ(テル-)視点10
「ほ~…リオン公子からそんな申し出があったのかい?」
ヨハンお義父様の執務室にお邪魔して、先日の件を報告しました。
おじいちゃんにも相談した結果、やはりリオン様の庇護下に入るのが一番だという事で、決着がついたのです。
「はい。わたしのこの能力は、どんなトラブルを引き寄せるかわかりませんし…リオン様は『婚約者の立場になれば堂々と介入して、片っ端から排除する』と言ってくれています」
ヨハンお義父様は『へぇ~あのリオン公子がソコまでねぇ』と感心していらっしゃいました。
「あと…『陛下にも逃がすなと言われた』とか・・・お義父様はご存知で?」
「あ~~~~・・・うん。まぁ、陛下は…ほら闇な方だから、黒い部分がちょこちょこ顔を出すというか…もうデフォルトというか…悪気はないんだけどね。ハハハ」
どうやらお義父様もその場にいらしたようですね。苦笑いが物語っています・・・
「でも、リオン公子は『テル-の気持ちが第一です』と陛下のご意見を突っぱねたんだよ。君の義父である私は、あの時のリオン公子の姿勢がとても嬉しかったんだ」
それを聞いて、何だか胸がいっぱいになりました。
おじいちゃんの言葉が脳裏を過ぎります・・・
『それにアヤツは誰かに強いられたとしても、嫌な事なら絶対やらんタイプの男じゃ!マオを好いておるのは本当じゃろうて。マオのほうはリオンがキライかの?』
・・・キライじゃない。むしろ・・・『好き』なんだと思う。多分・・・
リオン様は『Win-Win(相互利益)』だと言ってらしたけど、それ以外の部分もあると思う。これからは、そっちの比率を大きくしていけたらいいな。
「わたしはリオン様の申し出を受けたいと思います」
リオン様は喜んでくれるかしら・・・
「義姉上…」
執務室から出ると、外にシリウスが立っていました。悲し気な表情ですね。何かあったのでしょうか?
「リオン様と…婚約…するのですか?」
どうやら話が聞こえていたみたいですね。
「はい。お受けしたいと思っています」
「…確かに、リオン様は次期公爵で大きな権力をお持ちです……が、私だって義姉上の事はお守りできます!私では駄目でしょうか⁉」
「へ・・・???」
「くう~ん?(リオに…ライバル…?)」
[おまけ]~あの日ぐったりしていた理由~
リオン 「テル-の気持ちが第一です!」
ステファン「甘いぞ。悠長に構えていたら、横から搔っ攫われる時もある」
ヨハン 「ええ、陛下は搔っ攫われ防止に、隣国留学中のディアナ様と毎日文通していらした。有名な話ですね」
リオン 「毎日……。応じていたディアナ王妃が…凄いと思います…」
このあと『文通の話』を延々と聞かされた・・・




