43.街デート? ①
◆王都市街地 リオン視点33
コカゲの能力で市街地にやって来た。
「さすがコカゲは優秀だな」と、頭を撫でる。
「きゅ~~ん(リオの…ナデナデ…すき)」
嬉しそうに目を細めている。やっぱり可愛いな…
『また性懲りもなく『うちの子に…』って考えてるんだろ~』
うるさいぞアラフィフ・・・
テル-の用事は買い物だと言うので、そこへ向かう事にした。
「ココです!」
と、文具屋の前で止まる。庶民が利用する普通の店だった。
《カラ~ン》
中に入ると、初老の主人が『いらっしゃいませ』と優しく迎えてくれる・・・いい空間だな。
大抵の高位貴族は必要な物がある時には、店の方を呼び付ける。自分で店に入る事があまり無い。
まぁ、俺に限っては当てはまらないけどね。だって、キャンプ用具はあちこち回って決めたいじゃないか!美麗な高級品より実用性重視!
だからアレクに『リオンは見た目に反して貴族っぽくないな』とよく言われる。きっと貴族思考の女性方には俺の趣味は理解してもらえないだろうな…。そんな女性と結婚した日には、ソロキャンプに行くと言ったら【浮気】を疑われそうだ。・・・その場合、浮気相手はジジさんになるのかな?フフッ…
「リオン様?何か面白いモノありましたか?」
おっと、どうやらニヤけていたらしい…。
店内を物色していたテル-が、いつの間にか隣に来ていた。
手にはノートを数冊持っている・・・
「会計済ませてきますね」
さっさと店の主人の所へ行き、お金を払って戻ってきた。…俺に買わせようとはしないんだな。
「この後、ステラの喫茶店で少し話をしないか?もちろん誘った俺の支払いでね」
これ言っておかないと【ワリカン】とか言い出しそうだし・・・俺の沽券にかかわるから。
「ステラの喫茶‼ 行った事無いですっ!ゴチになります!」
めちゃくちゃ喰い付いてる・・・目もキラキラしてるし…なんか可愛いな。
ステラは常に行列が出来る程の人気店で、喫茶もいつも満席なのだが、実はVIP席があり使用するには高額な席料が必要なのだ。その使用も高位貴族限定となっているから、裏口から案内してくれて人目に付かずスムーズに席に着ける。席自体も一般席とは隔絶されていてコチラは見えない仕様なのだ。
何故こんな事を知っているかと言うと、月1ペースで【お忍びお茶会】をココで催している3人のご婦人を知っているからだ…。(※ディアナ王妃・エステル公爵夫人・ミリア侯爵夫人)
更に言うと、この3人の為にキープされた席で、実は一般には公表されていないのだ。
「ふわぁ~…VIP席とか…一生の記念になります!アンビリーバボーです!」
テル-のキラキラが最高潮に達している・・・
そしてやっぱりミリア伯母上に通ずるところがあるな…フフッ
「コカゲとカゲ丸も出ておいで。一緒に食べよう」
俺たち用のアフタヌーンティー以外に、魔犬用のおやつも出してもらった。
文具屋入店前から隠れていた二匹は、いそいそと影から出て嬉しそうに尻尾を振っている。
「ワンワン!(見ろコカゲ、高級おやつだぞ!)」
「きゅ~きゅん!(…こうきゅ…おやつ…うれしい!)」
「よかったねぇ~わたしもめちゃくちゃ嬉しいよぉ♪」
喜んで貰えて良かった…俺も嬉しい。
幸せそうにケーキを頬張るテル-達を見ていると、何だか幸せな気分になった。
「ところで、ノート沢山買ってたけどそんなに勉強してるのか?」
「あ・・・えっと・・・これは~」
何だかとても言い辛そうだ。
「きゅ~~ん(テル-…いじわる…されてる…の)」
「ワンワン?(どういう事だ?)」
言い辛いテル-の替わりにコカゲが話してくれたみたいだ。
『学園で休憩時間のあと席に戻ったら、ノートがボロボロになっていたらしい』
それで、新しいノートが必要になったのか・・・
『虐めの原因は多分、お前やシリウスだな。ノートにそんな事が書いてあったんだと。嫉妬した令嬢の仕業だろうな。ホント次から次へと湧いてくる……』
そうだったのか…そんな事も知らずにノンキにお茶に誘ってるとか…。
「あっ!あの、こういうの別に気にしないので!男爵家の時に比べたら全然マシですし!…ただちょっと…ノートは勿体ないかな…って…アハハ」
俺が原因なら、彼女と距離を置けば良いのだろうか・・・いや、シリウスの事もあるのなら、恐らく変化は微細だろう…。何よりも、俺が彼女と距離を置きたくないと思ってしまっている。
そうか…そうだな、俺はマオ(テル-)が好きなんだ・・・
俺がマオから手を引けば、シリウスが動き出すだろう…さっきみた瞳にはそう言う感情が宿っていた。
悪いが譲るわけにはいかない。…自分でもびっくりだ。事なかれ主義で人との争いごとは好まないこの俺にこんな感情があったとは・・・
なら話は簡単だ。逆に距離を詰めてしっかり守れば良い。中途半端な距離だから、入り込む輩が出てくるんだ。
それに、あのあと陛下も言っておられた。『逃がさない…は冗談だ。彼女を狙う輩から守る【防波堤】…だよ』と…、今まであまり使ったことの無い【権力】を使ってでもマオを守ろう!
「テル-…いや【マオ】俺は君の事を好ましく思っている。これからは、どうか俺に君を守らせてほしい。俺と婚約してくれないかな?」
「えっ!ええぇぇ~~~~~~⁉」『はあぁぁ~~!?』「きゃわん⁉」
一人と二匹の絶叫が店内にこだました……営業妨害になるじゃないか。
[おまけ]~おじいちゃんは考えた~
古代竜「なんじゃと⁉マオがいぢめられておるじゃと⁉こうしてはおれん!魔鼠よ!出動じゃ!」
魔鼠A「ぢゅ!(イヤれす!)ぢゅ~~~!(魔王様に怒られるのれす!)」
魔鼠B「ぢゅ~ぢゅぢゅ~~~!(オジジ様もう口きいて貰えないれすよ!)」
古代竜「それは嫌じゃ!ぐぬぬぬ……おお!そうじゃリオンにマオを守らせるのじゃ!誰ぞカゲ丸に伝言してくるのじゃ!」
外堀が埋まりつつあるマオであった。




