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41.魔獣お悩み相談所 ③

◆聖バルゴ学園 マオ(テル-)視点7


 わたしの目の前には、髪を素敵に巻いたご令嬢がひとり・・・

 どうやら待ち伏せされていたみたいですね。ご苦労様です。


「あなた、テル-様ですわよね?ペリステラ伯爵家に養女に入られた・・・」

 とても不機嫌そうなお顔で仰いますが、人にものを訪ねる態度では無いと思いますよ~。


 彼女は同じクラスでは無いので、恐らくこれが初対面となるのでしょうけど…本音を言うと、もう会いたくないタイプのご令嬢ですね…ミスティ様より【悪役令嬢】がお似合いですよ。きっと・・・


「そうですね。失礼ですが、あなた様はどちらの?」

 

「まぁ!わたくしをご存じ無いなんて!やはり下位貴族ご出身だからでしょうね。わたくしはマンティス伯爵家のシルビアと申しますわ!後々シリウス様と婚約する予定ですから、身内となるのでちゃんと覚えてくださいましね!」


「・・・・」


 やはり…貴方がシルビア・マンティス伯爵令嬢でしたか・・・何となくそうじゃないかとは思ってましたが、絵に描いたような【性悪令嬢】でしたね。…標的になったシリウスが不憫です。


「ところで、お宅の竜は…その…元気ですの?」

 シルビア様が挙動不審に聞いてきます。ドストレートですね~。貴方こそ本当に貴族なんですか?


「うちには2匹の竜がおりますが、どちらの事でしょう?」

 ルチアの他に、お義母様の飛竜シングもおりますよ。聞きたいのはルチアの事だと分かっているけれど、あえて惚けてやりました!


「白い竜ですわ!シリウス様が乗っていらっしゃる!」


「ああ!ルチアですね!今日も元気にシリウスを乗せていましたよ」

 あなたの指示で仕込まれた薬など、コカゲとカゲ丸の活躍で無事回避してますからね。


「…そんな…どうして、」


「『邪魔な竜を排除できるはずだったのに』・・・ですか?」


「なっ‼ 何を言っているのっ⁉変な事言わないでくださいまし!」


 思いっきり焦っていらっしゃいますね。その態度が既に白状しているのと同義ですよ。名探偵のにはお見通しなのです!


「わたし、最近有名人になってる筈なんですけど…『魔獣と話せるスキル持ち』だって」


「何よソレ‼ 知らないわ‼」

 あら、思いのほか知名度が低かったです。まだまだでしたね、精進せねば…。


「あなたの手の者が、ルチアが苦手な虫やニオイの酷い草を竜舎に仕込んでいた事も、昨日とうとう飲み水に【興奮剤】を入れて、ルチアを暴れさせようとした事も、全部魔獣達が見ていました」

 まるっとお見通しです!


「見ていた…ですって…」

 驚いていますね。人には警戒していたでしょうが、まさか魔獣自身から報告されるとは思ってもみないでしょうからね。


「ルチアに手を出すなんて悪手ですよ。シリウスに嫌われるだけです。それに、ルチアが暴れれば一番最初に被害に遭うのはシリウスですが、まさか考えて無かった…とか、仰いますか?」


「わたくし!何も知らないわっ!たかが魔獣の戯言でわたくしを貶めようとするなんて!なんて酷い人なのかしらっ‼ この事はマンティス伯爵家より、正式に抗議させて頂きます!」


 あ…まだ惚けるおつもりなんですね。まったくこの手の方は・・・



「義姉上を愚弄なさるとは…酷いのはいったいどちらなのでしょうね」


 曲がり角から義弟の登場です。




◆聖バルゴ学園 シリウス視点2


「ルチアに手を出すなんて悪手ですよ。シリウスに嫌われるだけです。それに、ルチアが暴れれば一番最初に被害に遭うのはシリウスですが、まさか考えて無かった…とか、仰いますか?」


 廊下の角の向こうで、テル-義姉上とシルビア嬢が対峙しています。


「(コソッ)そろそろ止めに行くか?」

「(コソッ)アレク生徒会長の初仕事だな」

 今回、王太子殿下とリオン様も一緒に待機してくださっているのです。


「お手を煩わせてすみません。先に私が行きます」



「わたくし!何も知らないわっ!たかが魔獣の戯言でわたくしを貶めようとするなんて!なんて酷い人なのかしらっ‼ この事はマンティス伯爵家より、正式に抗議させて頂きます!」


「義姉上を愚弄なさるとは…酷いのはいったいどちらなのでしょうね」


「‼ シリウス様っ⁉ これは…その」

 すべて聞かれた事に気付いたのか、シルビア嬢の顔が青ざめていきます。


「シルビア・マンティス伯爵令嬢。色々調べはついてるよ。大人しく事情聴取を受けて貰おうか」

 後ろから、王太子殿下とリオン様が出て来られました。そう、もうあの男も確保したそうです。


 ルチアが危険だと、家から排除される事を目論んでいたのだろうけれど、ずいぶん甘く見られたものだ。自分の騎竜が暴れて私に危害を加えたとて、それは制御出来ない己の未熟さゆえの結果なのだ。


 彼女のようなご令嬢には理解できないだろうが、騎竜と竜騎士は互いに命を預けあっている関係上、魂の伴侶のようなもの。【死別】以外で離れる事は無い。母上とシングも【引退】したが、ずっと一緒にいる。

 

 魂の伴侶ルチアが認めた人でないと、私はきっと結婚は出来ないだろう。シルビア嬢を選ぶことは無いと断言できる。





[おまけ]~シリウスの伴侶~


テル-「ルチアはシリウスのお嫁さんに理想ってあるの?」


ルチア『ん~とねぇ、ルチアと遊んでくれて~守ってくれて~』


テル-「ふむふむ」


ルチア『カゲ丸みたいな人♪かなぁ』


テル-「うん!人(・)間(・)の女(・)性(・)で選んであげようか。シリウスの為に…」


 ルチアの理想は、優しいおにいちゃんタイプ♡




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