38.報告と恋バナ
◆王宮 国王執務室 リオン視点31
「それではあのテル-はミノタリオ男爵の実の子では無いと…」
この間の【テルー】の話をしに王宮へ来ている。俺一人では心元無いので、リカルド伯父上にも同伴してもらった。
義父の宰相と陛下は驚きを隠せない。伯父上には前もって相談してあるのだが、その時はやはり同様に驚いていた。
なにせ【貴族籍の詐称】となる重大案件だ・・・処分は免れない。
かといってこのまま見過ごせば、悪意のあるものに最悪のかたちで利用され兼ねないのだから…
「はい。マオ本人に悪意等は無く、本当に成り行きでそうなってしまったようです。この事はカゲ丸達や他の魔獣からも確認が取れています」
俺はマオを守る為、すべては話さずウソも混ぜた。 話したのは、
テル-と言う少女が【聖属性】に目覚め【神】と旅立った事。
テル-はその際に親しかったマオに後の事を託し、託されたマオはわけのわからないまま男爵家に引取られた事。
消えたテル-の事を思って、マオは真実を言い出せなかった事。
マオは魔獣と話せるスキルを持っている事。
リオンはカゲ丸を介して、マオに関わった魔獣たちから確認をとった事。
「確かに魔獣と話せるようですね。学園からも『従魔のお悩み相談係をしている』と報告がきてますし」
ヨハン宰相が、報告書をパラパラめくっている。
ステファン陛下はこの話を始めてから、ずっと考え込んでいらっしゃるようだ。
「……あいわかった。詐称に関しては、営利目的でも無い様だしな…『私たちは何も見ていないし何も知らない』…なぁリカルドそれにヨハンも」
何故か伯父上とヨハン宰相は苦笑いをしている。
「うわ…いつぞやと同じセリフ…」
「ああ!『見ざる聞かざる言わざると言う事ですね!』ハハハ」
「??お咎めは無しという事でしょうか?」
「フフッ…【知らない事】を罰するなんて出来ないだろう?安心しろ」
陛下はどうやら認めて下さったようだ。よかったなマオ・・・
と、ほっとしていると、
「しかし、魔獣と話せるとは優秀だな……逃がさないようにしておかないと…」
ステファン陛下はフイッと俺を見て、にやりと笑った。
「リオン。その娘と婚約しておかないか?」
「えぇっ⁉」
「「既視感‼」」
伯父上と宰相の声が執務室にこだました・・・
どうやら昔に、俺の知らない何かがあったんだろうな~と、なんとなく察せられた。
◆王宮 王太子の私室 アレクセイ視点14
「で、テル-嬢と婚約するのか?フフッ…」
「アレク…面白がっているだろ?悪趣味だぞ…まったく」
リオンが俺の部屋のソファでぐったりしている。
この部屋に来る前に、父上にずいぶん遊ばれたらしいな。
「ククッ…悪い……なかなか見られない姿だから…」フフッ
リオンは父上たちには話していない情報がある…と、【影】に悟られないように、コッソリ闇魔法で阻害しつつ俺に色々と教えてくれた。
その信頼にはキチンと答えたいと思っている。
詐称の件については、
真正テル-殿の母親はもう亡くなっているし、父親の男爵はマオ殿の顔しか知らない。
逆にマオ殿も親は無く、その素性は【魔王】である彼女の配下の魔獣達しか知らないのなら、素性がばれる事も無いだろう。本人かどうかの確認は極めて難しい。
それに、陛下が白と言ったら白になるのだから、概ね問題は無いだろう。
「婚約の件は拒否したのか?」
「拒否というか……保留かな? そもそも、テル-が俺をどう思ってるかも不明だ。勝手にどうこうして良いモノじゃないだろう?」
あれ?じゃあ彼女がいいと言ったら婚約もやぶさかでは無いと・・・
俺が驚いている事に気付いて、リオンは『ふーーーっ』と大きくため息をついた。
「誰かさんが婚約して、肉食系女子の婚活ターゲットが俺に全集中なんだぞ!察しろ!」
・・・何か、スマン。そう言えばそうだった・・・
「で、アレクは本当のところ、いつからミスティが好きだったんだ?」
「エッ?…」
いきなりな話題をふられて、ハタと考える・・・いつだったかな。
物心ついた時には、リオンと遊んでいたな。ミカゲを親兄弟姉妹と触れ合わせたくて、頻繫にアエトース公爵家やパルセノス侯爵家に行っていたし、彼らが王宮に来る事もあった。
そんな中にいつの間にかミスティがいて・・・
すってんころりんさせて『アレクしゃまのえっちぃぃ~!』って言われたりしたな…
ああそうだ!一番最初に王宮に来た時!
迷子になったミスティは、丁度そこにいたミカゲに泣きながら助けを求めて…
それでミカゲは仕方なく俺の所に連れて来たんだ。
「きみ、どうしたの?」
「うぅ…おとう…しゃま…ヒック…おかあしゃま…うえぇぇ~ん」
俺に必死で縋りついてきて……
その時『なんて可愛いいきものなんだ』って思ったなぁ。
その日から『ミカゲと結婚する』と言わなくなったから、きっと
「多分、7歳位の時だな!」
「はあぁーーーっ⁉ そんな前からだったのか!」
[おまけ]~幼少期のふたり(10歳)~
アレク「(魔犬って)ホント可愛いなぁ…大好きだ!」
リオン「俺も!(魔犬)大好きです!」
それをじーーーっと見つめるミスティ(8歳)
メイド「お菓子をお持ちしました」
ミスティ「シーーっ!好き好き大好き~♡の二人のじゃましちゃダメダメよ!」
メイド「‼⁉……お二人は…まさか……そうなのですね…」
BL疑惑の主犯格が判明した。




