35.テル-とマオのお話 ①
◆ジジの家 リオン視点28
到着してジジさんの背から飛び降りる。
広場から見る景色は牧歌的で、まさにジジさんにピッタリの風景だった。
その中に一軒の家……人間のひと家族が住むくらいの大きさで、飾り気も無く素朴な感じだ。
人化したジジさんに促され家に向かう。
「マオよ~~!帰ったぞ~い!」
ギィ~と音を立てて木の扉が開いた。
「おかえり~!おじいちゃ・・・えっ…?」
出てきたのは、良く知っている女性…【テル-】だった・・・
「えっ???なんで?」
◆ジジの家 マオ(テル-)視点2
『昔お世話になったお家に、養女になった報告をしに行きたい』とヨハンお義父様に許可を貰い、休みを利用しておじいちゃんの家に帰ることにしたのです。
コカゲがいるから大丈夫、と馬車もお断りして…。だって【おじいちゃん=古代竜】な事は絶対秘密にしなければだし……
特に、リオン様には・・・なのに・・・
「えっ???なんで?」
「な!何故‼リオン様がここに~~~っ!?!?」
「マオよ!キャンプ仲間のリオンじゃ!おまえも知っておろう。どうじゃ!驚いたか?ふぉふぉふぉ」
お…じいちゃん…確かに…知ってる…けど!・・・そんなサプライズは要らないから~
何で【古代竜】と、打ち倒す筈の【リオン様】が、ほのぼのキャンプ仲間になっているのか!誰か説明して~~!
「えーっと、つまり……君は【テル-】では無く【マオ】だという事?」
「…はい」
「マオは【異世界転生者】で、スピンオフ小説の内容も知っている?」
「…はい」
「小説の中で【古代竜】が倒されるのを知ってるから、そうさせまいとして【元凶の俺】と接点を持つ為に、本物のテル-と入れ替わった…という事か?」
さすが…パルセノス侯爵家で鍛えられていらっしゃるから、異世界の理解度がはやいです。
「入れ替わった…というか、押し付けられたんです・・・」
実は【ヒロイン・テル-】には、リオンが【古代竜】に手を出さないように見張って欲しいとお願いに行ったのだ。
その時に『もうすぐミノタリオ男爵家が引取に来る事』『男爵家では虐待があるらしい事』でも『公爵令息のリオンと知り合って、恋に落ちる事』を語ったら・・・
『いや~!貴族も虐待も!絶対にいや~~!!』って、突然教会に行って祈り出し・・・
そうしたらなんの因果か【聖属性】に目覚めてしまい。
『私を呼んだのは君かな?清らかな乙女・・・』って、
目の前にいきなり現れたイケメン神様に、何だか一目ぼれしたみたいで・・・
「『あとはよろしくね~』って神様と去って行きました・・・・とさ」おしまい
「・・・苦労したな」
リオン様がコカゲを撫でながら労ってくれました。
「はい・・・」
テル-に【テル-】を押し付けられて最初は混乱したけれど、よく考えたら自分が【古代竜】を守ればいいのだ!と思い直して、テル-役を演じる事にしたのだ。
虐待されるわ、こき使われるわで心が折れそうになっていた時に、ミスティ様達が助けてくれた。
『オーーホッホッホ!そんなにこの菓子が欲しいのでしたら、くれてやりましてよっ!』
あの時は、女神さまが降臨したのか!?と思ったものです。
それからは関わる人がみんな優しくて、苦労が報われた気がしました。
◆ジジの家 リオン視点29
「・・・苦労したな」
「はい・・・」
一見冷静に受け答えしているように見えるだろうが、内心動揺してるんだぞ!
何故かコカゲも居たので、思わず捕まえて撫でる事で心を落ち着けているんだからな!
「クウ~ン?」
「それで今後はどう呼べばいい?【マオ】なのか【テル-】なのか?」
「えっ?あの…私テル-を続けても良いのでしょうか?」
彼女は心底驚いているようだった…。
ああ、そうか…ずっと自分は偽物だって思いながら【テル-】をやってきたんだもんな。俺たちにとっては、最初から君が【テル-】なんだけどね。
俺は彼女が懸念しているような事は絶対にしないし、なら彼女がテル-を続ける必要は無いのだ。だから聞いてみたんだけど・・・
「ペリステラ伯爵家の方々は君を歓迎してる。君に関わった皆にとっては君が【テル-】なんだから」
そう言うと、彼女は何かを噛みしめているようだったが、
「はい!わたし【テル-】を続けて、皆さんに恩返しします!」
と、吹っ切れた笑顔を見せてくれたのだった。
[おまけ]~お腹すいたね~
古代竜「話が長いのう。コカゲは腹減っておらんか?」
コカゲ『おはなし…だいじ…がまん…できる』
古代竜「ほんに、良い子じゃのう。よしよし」
コカゲ『ちがう…コカゲ…ずるい子…なの」
古代竜「ふぉふぉふぉ」
to be continued




