34.ジジさん家へお宅訪問
◆ダイナモ霊山山麓キャンプ地 リオン視点27
ブートキャンプの日から今日まで、ずっと忙しすぎてキャンプが出来なかったんだ。
今日は久々のソロキャンプ!楽しむぞ~と森の中を歩く。
飛べば早く着くだろうけど、こうして歩いて食材になる物を見つけるのがキャンプの醍醐味なのだ。
《ガサッ!ガササッ!》
突然目の前に、大きな牙と角を持つ猪が現れた! 魔獣かっ! 思わず魔法を練る…
シーーーーン・・・・・”ペコリ”
お辞儀をして去って行く魔猪・・・
???いったいなんなんだ???
いつものキャンプ地に着くまで、3回魔獣と遭遇し、3回ともペコリと去って行く……ジジさん案件だなこれは!
そう考えながらキャンプ地に足を踏み入れると、やっぱりジジさんがそこに居た。
「ジジさん久しぶり!釣れる?」
「!」(シーじゃシー!魚が逃げる!)とジェスチャーのジジさん。
いつものやり取りを楽しむ。そしてやっぱり釣れないんだ。
「明日は養い子が久しぶりに帰って来るのじゃ。それで魚をのう…」
はいはい、捕ってあげますよ。と、いつもの調子で風魔法を使う。今日も大漁だ。
「ところでジジさん。この辺の魔獣に俺の事何か言ったの?」
「リオンはキャンプ仲間だから手出しするな…とは言うてあるがのう」
そっか……でも…なぁ
「挨拶しおったのは、別の件じゃろうて…ふぉふぉふぉ」
「別の件?なんだそれ?」
ジジさんは『ひ・み・つじゃ~』と魚を拾い集めている。別の件て…気になるじゃないか!
「じゃあ今日はもう魚持って帰るんだね。明日はもう来ない?」
魚は悪くならないように、氷魔法を付与した袋に入れてあげた。ジジさんの家族は喜んでくれるだろうか・・・
「そうじゃ!明日迎えにくるから、儂の家に遊びに来んか?」
ジジさんの家?…興味あるな!行ってみたい!けど・・・
「せっかく家族が帰って来るのに、俺がお邪魔したら気を使わせてしまうよ」
「大丈夫じゃ!それに儂が紹介したいんじゃ」
ジジさん…きっと家族の事を自慢したいんだな。
悠久の時を過ごしてきたジジさんは、今まで家族というものは無かったんだと思う。
友人と呼べる者も居なかったと前に聞いたことがあって、俺の存在もジジさんにとってはとても新鮮で楽しいと言っていたからな。
「わかった。じゃあ明日迎えにきてくれる?」
「うむ!楽しみじゃわい」
そして、次の日の正午前にジジさんがやって来た。……竜の姿で。
『リオン!迎えに来たぞ。昼メシを作って待っておるから、ほれ行くぞ!』
と、背中を促がす・・・
「えっ…乗っても良いの?」
『リオンは友人じゃから、特別に乗せてやるのじゃ!光栄に思うがよいぞ』
前に竜に乗ってみたいって思ったけど、まさか叶うとは・・・でも、
「ご老体に無理させるのは…ちょっと…」
『言っておくが、儂はオヌシよりもっともっと長生きするぞい』
ああ、そうですね。見た目で判断しちゃだめですね。
風魔法を使って背に乗ると、ジジさんがふわりと舞い上がる。
飛竜と違って、羽ばたきでは無く【魔法】で飛び上がっているのだ。ミスティじゃないけど『ふわぁ!』って感じだな…フフッ
確かにこの巨体を飛ばそうと思ったら、羽ばたきだけで周囲に大きな影響があるだろう。飛んでいる間も羽ばたきしないので静かなものだ。
『ついでに隠蔽魔法も使っておるぞ♪』
静かなスローライフを望んでいるジジさんだから、その辺も抜かりないんだ。俺が初めてジジさんの竜体を見た時は、よっぽど油断していたんだな。
「そうだ!ジジさん…だいぶ前になるけど【三国会議】の時は色々ありがとう」
ずっと来れなくて、お礼を言いそびれていたんだ。
ジジさんとゲイブが魔道具を処理してくれたお陰で大事にならなかった…と【解析】した魔導師団の団長が言っていたのだ。
あのまま放置していたら、魔道具は崩壊して大きな魔素だまりになってしまっていただろう。
魔素は人間にとって魔法に欠かせないものだが、ジジさんのような大型の魔獣にとっては餌のようなモノらしい。過剰摂取はこの前のジジさんのような魔素酔いを引き起こすのだが・・・
故に魔素だまりは大型魔獣たちには恰好の餌場なのだ。危うく王都が彼らの酒場になるところだった…
千鳥足の魔獣に蹂躙される街……想像したくないな。
『なんのなんの~儂らも楽しかったぞい。たまには人間の街に行くのもアリじゃのう』
…ジジさんがほろ酔い加減程度で済んでよかった。酔っぱらって暴れる古代竜を止めるなんて、ぜっ~たいやりたくないからな!
『ほれ!あそこじゃ!』
ジジさんが言う方を見るが、何も見えない・・・いや、これも隠蔽魔法だ!
魔力を目に集めて、ジッと目を凝らすと小さな家や畑と広場?があった。
これは【王家の影】がいつまで経っても見つけられない訳だな・・・
『じゃあ降りるぞい』
ジジさんは広場になっているところへ降り立った。ジジさんの離着陸場だっだのね・・・
[おまけ]~その頃カゲ丸は~
カゲ丸「ワ~ン!(コカゲ~!)」
ペリステラ家のコカゲの様子を見に来ていた。
カゲ丸『……居ないのか?・・・‼』
カゲ丸の後ろからスッと影が差した!
ルチア『今日はいないのよ!あなたはだぁれ?可愛いね♪遊びにきたの?』
カゲ丸『こっ…光竜…さん?』
ルチア『コカゲのかわりにルチアがいっしょに遊んであげるぅ~♪』
カゲ丸『ヒョェ~!?‼!?』
何だかちょっと過激な妹が増えた気分のカゲ丸であった。




