31.交流パーティー ③
◆王宮 パーティー会場 ハロルド視点2
パーティーが始まって、今は各々がばらけて動き出しています。
僕は父上母上の側で周りを観察していました。勿論マシロと一緒です。
パーティーに動物を連れてくるなど前代未聞と思われるでしょうが、僕はまだ子供だからと【特別に陛下の許可】が下りたのです。勿論、陛下と宰相の思惑からです。
この面子の中で身軽に動けるのは、僕だけなんですから!しっかりと見張ります!
姉上とアレク殿下は護衛に囲まれていて、簡単には手は出せないでしょう。安心です。
アナ殿下とリオ兄様は…どちらに……あれ?
リオ兄様は、どうやらカサンドーラ帝国の公女に絡まれているようです。
……アナ殿下がそのまわりにいません!悪い予感がします!
「父上…アナ殿下だけがいません…」
「…本当だ。ハル…動けるな?マシロと行け!」
父上の言葉で、足早にこの場を離れました。【お花摘み】で退出しているだけなら良いのですが…。
廊下に出て、人目のない柱のかげに入ります。
「マシロ、アナ殿下は…無事?」
マシロは目を瞑って、何かを探っているみたいです。
「!!わんわん!わん!(アナさま!ピンチ!)」
急に騒ぎだしました!きっと何かあったんだ!
「マシロ!殿下のところへ!大至急お願い!」
「わん!(りょうかい!)」 ”とぷん”
「アナ殿下っ‼」
アナ殿下の影から飛び出すと、ビクトル皇太子の手が目の前にありました。じゃま・・・
《パシッ!》…鬱陶しいので払い除けます。
「ご無事ですか!?」
「わんわん!(間に合ったね!)」
「ハロルドきゅ…ゲフンゲフン!助けに来てくれたのですね。ありがとうハロルド…」
アナ殿下?お風邪でしょうか?
「何だ?邪魔する気か!このクソガキ!」
「わんわん‼わんわん‼わんわん‼」
凄んでくる皇太子をマシロが吠えて牽制しています!
「ビクトル様!犬の鳴き声で人が来てしまいます‼」
「チッ!ガキと犬と女の護衛を排除しろ‼」
皇太子がそう叫ぶと、
「わお~ん!(ばいば~い!)」
「「「「‼」」」」
”とぷん”
周りにいた男たち4人は、瞬きの間に自分の影に沈んで行った。
「なっ!?!?何が・・・おいっ‼ 何処に消えたんだっ!?!?」
さぁ?それは僕にもわかりません。後でカゲ丸とリオ兄様に通訳お願いしないと。
「マシロ!この人も・・・ね♪」
「わん!(はぁい!)」
「ひっ」 ”とぷん”
これでもう大丈夫!茫然としているアナ殿下に手を差し出して、
「会場までリオ兄様の替わりを務めますね♪」
と、歩き出した。
会場であんなことが起こってるとはつゆ知らず・・・
◆王宮 パーティー会場 アレクセイ視点12
「(コソッ)アレク殿下…リオ兄様の方をご覧になって…」
小声で囁くミスティ。
ふと目をやると、イザドラに絡まれているリオンが居た。
死んだ目をしているな…自分が【ヒーロー(予定)】だと報告しに来た時以来…だな。
「(コソッ)助けにいこうか?」
「(コソッ)はい!」
護衛の数を2人にして、そ~~っとリオンのところへ向かった。
「平民ではありません。(昨日から)伯爵令嬢ですよ。侮辱しないで頂けますか?」
どうやらテル-の話をしているみたいだった。リオンのあんな冷たい声は久しぶりに聞くな…。
「はぁ!?…それでも!あたしは隣国の皇帝の血縁者だし国益にもなるから、あたしの方が相応しいと思いますわ!」
イザドラ嬢はかなりの強気だな。やはり関わりたくないタイプだ。
「それにあ~んな地味な女、公爵夫人には向いてませんわ!華がありませんもの!」
「だいたい王太子殿下も、あんな色気の欠片も無い乳臭い娘を選ぶなんて!あたしが本当の女性の素晴らしさというモノを、教えて差し上げるのにぃ」
おっと矛先がこちらに向いて来たぞ…と、気分を害しているであろうミスティの顔を覗き込む。
「ウフフフフッ…悪役令嬢の腕の見せ所ですわ…」
「ミスティ?」
「アレク殿下!わたくしにお任せあれ!ですわ」
「え?…ううん??ちょっとま…」
ミスティは扇子をバサリと開くと、一直線にその場所へ向かった!
◆王宮 パーティー会場 カゲ丸視点17
(そろそろこの女をどうにかしたい)
と、念話でリオンに呼び出されてやってきたんだが…
「オーホッホッホ~~~~♪乳臭くて悪かったですわね! リオ兄様~助けに参りましたわよ~」
「お、おぅ…何か、悪役令嬢っていうより正義のミカタっぽいぞ?…ミスティ」
「あら!本当ですわ!オーホッホッホ~~♪」
どうやら一足先に、ミスティが乱入して来たみたいだ…なんだこれ? 喜劇か?
「あら?アレク殿下♡ようやくいらして下さいましたのねぇ♪」
ミスティを無視して、アレクにしな垂れかかろうとするオバサンを護衛が阻止している。
『リオ~ン…オレは何すればいいのさ?』念話で聞く。
(さっきのワインの女と侍従はどうした?)リオンも念話で聞いてきた。
『城の牢屋に送っておいた』
オバサンの手先は、後で事情聴取が待っている筈だ。
(王族の傍系を【牢屋】はマズイか…)と、リオンは考えているっぽい。
キャットファイトが始まる前に決めたほうがいいぞ…と思っていると、
「わんわんわん!(にぃ!ボク悪者やっつけた!)」
マシロとハロルドとアナがやってきた。
「ワンワン?(悪者ってオバサンの仲間か?)」
何処へ送ったのかマシロから聞き出す。……な~るほど♪ ニヤリ
『リオン!名案があるぞ!』
「アレク様は、わ・た・く・しの婚約者ですの。おば様の香水臭いのが付いてしまいますわ!近寄らないで下さいまし!」
「まぁ!女の色気の欠片もないお子ちゃまが、婚約者気取りとか!アレク殿下もお可哀想にぃあ・た・く・しなら、色々と満足させてあげられますのに♪ねぇ」
おっと、キャットファイト寸前だな。これ以上はミスティの評判にも関わるだろうから・・・
「ワン!ワン!(マシロ!やれ!)」
「わうん!(オッケー!)」
「えっ!?…」
”とぷん”・・・
オバサンもバイバーイだな。
突然イザドラが姿を消した事で、周囲がざわめきだした。
当然の事なんだろうが・・・
「おお!これはもしや【影ちゃん】の影魔法では?いや~懐かしい」
「本当に!久しぶり!20年ぶりに見ましたわ!」
「わたくし影ちゃんとリコスちゃんの大ファンだったの♡」
「可愛かったよな~」
会場には、20年前に学園生だった貴族も多かった。
当時の話に花が咲き出し、知らない者はその話を聞き『な~んだ余興か』と、消えたイザドラを心配する者もいないのであった。
[おまけ]~影ちゃんだから黒っぽい歴史~
女性貴族A「影ちゃんたらよく悪戯もしてましたわね」
女性貴族B「そうそう!性悪令嬢を男子トイレに転移させり!クスクス」
男性貴族C「オイオイ、男にとっちゃ笑いごとじゃないんだぞ~ハハハ」
男性貴族D「そうだぞ…当時の被害者は【私】だ…」
A・B・C 「「「ひょえっ‼‼」」」
気になった方は『モブ兄様』をどうぞ・・・です。




