30.交流パーティー ②
◆パーティー会場 リオン視点24
「まぁ!もしや我が国の者が粗相を?申し訳ございませんこと…後でキッチリ叱っておきますわぁ♪」
イザドラがそう言うと、座り込む女性はより一層震え出した。
なるほど…そういう事か。
「あら!パートナーが居ないのですか?ならぁ…お詫びといってはなんですけれどぉ、あたくしがお相手いたしま」
「結構です!」「ッ‼‼」
被せ気味に断られて驚いているな。魂胆は見え透いているんだよ・・・
事故を装ってアナ殿下にワインをかけ、着替えに退出したところで俺に声を掛ける…。
カゲ丸の事前情報が無ければ、異性関連に鈍感な俺は気が付かなかったかもしれないな。
きっとこの震えている女性は、イザドラに何か弱みがあるのだろう。
「それより、この方はやっぱりカサンドーラ帝国の方でしたか…ケガをされているかも知れない。私が救護室までご案内します。さぁ行きましょうか」
にっこりと笑ってそう言うと、女性はブンブン首を横に振る。俺の背後には鬼の形相の女が居るのだろうな。
「なっ!(何でこのあたくしに靡かないの!?)いえ!その者は自国の者に任せますから!リオン様はあたくしと一緒にダンスでも如何かしらぁ」
そう言って、自分の従者を彼女へと促す。
やれやれしつこい・・・なかなか離して貰えそうにないな。…カゲ丸でも呼ぶか?
「ところでぇ…アナスタシア殿下とリオン様は、本日限定のパートナーとさっき聞いたのですけどぉ♪お互い婚約者がいないのは本当の事ですのね♪」
イザドラは胸を寄せ、上目遣いでこちらを見てきた…自分のアピールポイントを熟知しているんだろうな。俺にはぜんぜん刺さらないけどね。
「今のところは公表していませんが、そうなる(かもしれない)人は既に決まっておりますので」
悪いテル-…防波堤に使わせてくれ!
「まぁ!もしかしてミスティ様の侍女の?公子様ともあろう方が平民なんかと?ありえない!」
「平民ではありません。(昨日から)伯爵令嬢です。侮辱しないで頂けますか?」
時間を惜しんだ宰相が瞬く間に書類作って、渡された陛下がその場で御璽をポン!異例のハイスピードだったそうだ。
「はぁ!?…それでも!あたくしは隣国の皇帝の血縁者だし国益にもなるから、あたくしの方が相応しいと思いますわ!」
まだ食い下がるか…。うちの国は帝国と縁を繋いでも国益が無いんだよ。あるのはそっちだけじゃないか…もう諦めてくれ。
「それにあ~んな地味な女、公爵夫人には向いてませんわ!華がありませんもの!」
「だいたい王太子殿下も、あんな色気の欠片も無い乳臭い娘を選ぶなんて!あたくしが本当の女性の素晴らしさというモノを、教えて差し上げるのにぃ」
キーキーうるさいぞ・・・そろそろカゲ丸を呼ぼうかな。
◆王宮 廊下 アナスタシア視点4
一方その頃、
控室でドレスを着替え終えたアナスタシアとライラは、会場に向かって廊下を歩いていた。
「さっきの女性はカサンドーラ帝国の者でしょうか?」
「恐らくね。わたくしとリオンを引き離すのが目的だと思うわ」
何か仕掛けて来ると想像していたので、驚きもありませんでしたわ。
ドレスも、一見豪華に見えてそれ程でもないモノを着ていましたし……皆一様に飲み物をかけてくるのは、小説か何かをお手本にしているのでしょうか?毎回毎回、迷惑ですわ。
「アナ様!」
突然ライラがわたくしの手を引き、自らが前に出ます。
「これはこれは!アナスタシア殿下…この様な場所で会えるとは!運命なのでしょうか?ねぇ…」
廊下の曲がり角から、カサンドーラ帝国の皇太子が現れました。
「ビクトル皇太子…何か御用でも?」
ライラを制して後ろに下がらせます。隣国の皇太子相手ではライラには分が悪い…。
カツカツという皇太子の靴の音が響きます。
今この場にはわたくし達以外、誰もいない…人払いをさせたのでしょうか……マズいかも知れませんわね。
「せっかくですから、こちらの部屋で一緒に我が国のワインでも・・・おっと王女様はまだ未成年でしたね。フフッ…ではお茶でも如何でしょう?」
「わたくしパートナーを会場に待たせておりますの。では失礼いたします」
年長者を鼻にかけた、こちらを小馬鹿にしたもの言い……一番キライなタイプですわ!
「まぁそう仰らず。お話しましょうよ…二人きりで…」
いつの間にか皇太子の後ろから2人、ライラの後ろからも2人の男たち…。
ライラを封じて、わたくしと皇太子を密室で二人きりにする事で【既成事実】を捏造しようとしているのでしょう。全くもって下衆の極み・・・
「さぁ手荒な真似はしたくないので、どうか大人しく・・・」
ビクトル皇太子が手を伸ばしてきます。万事休すか・・・と、諦めかけたその時、
「アナ殿下っ‼」《パシッ!》
突然…目の前に現れたピンク色… そして払われる皇太子の手……
「ご無事ですか!?」「わんわん!」
わたくしの最愛のコンビの登場ですわ‼
[おまけ]~デュエリスト再び~
リカルド「王太子とミスティは護衛が多いから、大丈夫そうかな?」
ハロルド「父上…アナ殿下だけがいません…」
リカルド「…本当だ。ハル…動けるな?マシロと行け!」
ハロルド「はい!ナイトの出番ですね!いってきます!」
リカルド「・・・ハルにまで浸食してるぞ。ミリア・・・」




