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3.親友がヒーロー(予定)だと言うのだが…?

◆王宮 王太子の私室  リオン(15歳)視点3


 父であるレオンハルト・アエトース公爵と現王のステファン陛下、ついでに伯父上のリカルド・パルセノス侯爵は幼少期からの幼馴染だそうだ。

 そして、その子供である俺と王太子のアレクセイ殿下も必然的に幼馴染となった。


 俺の部屋の2倍近い私室には、カゲ丸の妹【ミカゲ】の為の豪奢なベッドが鎮座していた。カゲ丸がじーーーっとこっちを見てくるが、俺はペットは甘やかさないタイプだ! (コカゲなら甘やかす自信はあるが…)


「カゲ丸が【異世界転生者】だって?……入学式を明後日に控えて、とんでもない爆弾をぶら下げてきたな」

 アレクがグレーの魔犬、ミカゲの頭を撫でながらため息をついた。


「学園に連れていくから従魔契約したんだ。カゲ丸達の【影移動】の能力は絶対必要になるだろう?アレクは契約してないのか?」

 アレクの希望で、他人がいない時は基本敬語は無しにしている。


「したよ。けど、リオンみたいに会話は出来ないな。俺の思考を読んでいるみたいだけど、声は聞こえない」

「なるほど……それも【異世界転生者】って事が関わっているのかな?」


 アレクはミカゲをめちゃくちゃ可愛がっていて、2歳の時にパルセノス家に行ったとき『ちゅき!』とミカゲにプロポーズして連れ帰ったというエピソードがある。会話が出来なくてとても残念なのだろう。


『アンニュイなイケメン…絵になるな~』

 確かに、王妃譲りのプラチナブロンドに王家特有の青い瞳。黙っていれば大層なイケメンだ。


「きゅんきゅ~ん(アレクさま元気だして)」

「なんだい!?ミカゲ‼慰めてくれてるのかい!?」 デレデレ 頬ずり…


 …黙っていれば…な。

『相変わらずビミョーに残念なヤツ…』


 アレクは【光・土属性】持ちで、前王のアンドレア様と同じ……性格もステファン陛下よりは前王に似ているとリカルド伯父上が言っていたな。正義感が強くて、現場で活躍するタイプの王様だったそうだ。


 ステファン陛下は【光・闇属性】で、一見優しそうなイケオジなんだけど周りの近しい人間は一様に『腹黒い』と評価しているし、もちろん俺もそう思っている。

 怒らせたら理詰めの説教が待ってるし、アレクと一緒によく食らったのは良い思い出だ……(ウソです。今でも食らってます)

 【闇】を持たないアレクと前王なんかは一緒に叱られて『うちの父上コワイ』『うちの息子コワイ』ってよく言ってるし……





◆王宮 王太子の私室  アレクセイ・ヴァリオス(15歳)視点1


 親友が『自分はヒーロー(予定)だ』と言い出した。……とても嫌そうに。


 従魔契約したカゲ丸が【異世界転生者】だったとはな。

 意思疎通が出来るようになっての情報らしいが『なにソレ羨まし過ぎる』俺もミカゲと会話したかった。


 俺たちは明後日、聖バルゴ学園に入学する。

 王家や高位貴族は15歳までは各家で家庭教師に教わるから、下位貴族や平民がミドルスクールで既に学校に通っているのと違い、学園生活は初体験になるのだ。


 ちょっと浮足立っていたところで、学園生活で起こりうる『あれやこれや』を聞かされて、正直理解が追い付かない。頭は悪いほうじゃないと思っていたんだけど…


「ええっと【精霊】【竜】【天命の神子=神の存在】は理解できるんだが…」

 リオンがうんうん頷いている。


「【魔王】と【ミスティの断罪】がよくわからない」

「俺とリカルド伯父上も同じ意見だ」

 よかった…。【転生者】のリカルド・パルセノス侯爵ですらも意味不明なんだ。


「ワンワン!(魔王は、魔物…この世界で言うと魔獣かな?その王様の事だぞ)」

「魔獣に王様がいたんだ?魔犬も魔獣だから、魔王の配下って事になるのか?」


 カゲ丸の声をリオンが通訳してくれる。 え…ミカゲと敵対なんて絶対無理なんだけど!


「よし!【魔王】とは仲良くする!王太子の権限で国中に御触書を」

「待て待てっ‼確定もしてないのに、そんなの出したらパニック起きるぞ!」

 う…確かに……俺がパニクってたな。危うく父上から『説教1時間コース(正座にて)』を頂くところだった。

 脳裏に『フフフ』と笑う父王……【魔王】とかってあの人の事じゃないのか…ブルブル


「危なかった。リオン、止めてくれて感謝する」

「俺ももれなく連帯責任になるから、本当に止めてくれ…」


「【ミスティの断罪】とやらは本人に話したのか?」

 ミスティとも幼少からよく顔を合わせているが、【嫉妬】や【虐め】とは無縁の太陽みたいな娘だぞ?


「いや…それが…『悪役令嬢!マジ卍!』ってめちゃくちゃ乗り気でさぁ」

「ブフッ‼」

 容易く想像できる。拳を掲げてガッツポーズの侯爵令嬢…

 【悪役令嬢】なんて言葉とは無縁だと思うんだが、どちらかというと俺の妹のほうが……そうすると令嬢じゃなくて【悪役王女】か…めちゃくちゃ似合ってるな!


 脳裏に、金髪青い目の父上の色味に超美人の母上に似た3歳下の妹の姿が浮かぶ。

 属性も父上と同じ【光・闇】で、腹黒い部分もよく似ていると思う。ときどき俺じゃなくて、アナスタシアが王太子やればいいのでは?と思ったりもする…一度、とても向いてるぞ!と言ったら、鼻で笑われた…父上そっくりだったな。





◆王宮 王太子の私室 カゲ丸視点3


 アレクは小説では【冷静沈着】【物静か】なタイプだったんだけどなぁ。


『相変わらずビミョーに残念なヤツ…』

「キャンキャン(アレクさまはミカゲにやさし~だけなの~)」

 

 え…ちょっと待て、もしかして…

 いや!もしかしなくても‼このバグは、作中に存在しなかった【俺ら魔犬兄弟妹】のせいかーーーーーっ!?


 あぁ……心当たりがあり過ぎる。ヤバい!どうしよう!取り敢えずこの事は俺の胸に仕舞っておこう。うん!






[おまけ]~2歳でプロポーズ~ (アレク2歳パルセノス家にて)


アレク  「ちゅき!」

   胸に飾ってあった薔薇を引き抜き、グレーの仔犬に差し向ける2歳。


ステファン「おや…そんなのどこで覚えたのかな?」


リカルド 「誰かさんの遺伝だろ?」


   ステファン陛下は2歳で天井裏の【影(女性)】にプロポーズしてた(モブ兄談)




 



 

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